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コンクリオン家の悲劇1 サイレント ネオ-ムーン ソング

月歌 北西部にあるカイバは中型都市である。
都督の入れかわりがしばしば起きていて、当時はレプザが都督をしていた。
カイバには月歌に名がとどろくコンクリオン家という名門の家があった。
かつては都督も輩出するほど由緒正しき家柄であり、忠臣としても有名だった。しばしばエースパイロットを輩出している武勇の家系でもあり、家長であるレッカは猛将として知られていた。
また、息子であるエピは知勇兼備の将の器ありと言われ将来を嘱望されていた。加えて端正な顔立ちもあって住民からの人気も高かったのである。

話しを情勢に戻すと、東に隣接するノーザンライトシティを拠点とする北閥が急激に力をつけると、しばしば国境を圧迫され始めた。
一大勢力である北閥は多くの武将を抱えており、コンクリオン家を中心とするカイバ勢の不利は否めなかった。
それでも、団結力のあるカイバ勢はそのたびに何とか撃退してきたが、北閥の勢いは衰えを知らなかった。
老齢で病気がちのレプザは、たびたび都督の座をレッカ・コンクリオンに譲ると伝えた。レプザは数年の間に2人の子供を病気で失っており、後継者がいなかったのである。
しかし、忠臣であるレッカ・コンクリオンは首を縦に振らず、レプザを励まして思いとどまらせてきた。

そんなレプザには弟がおり名ばかりの内務卿であるソデ大臣がいた。
ソデは金に目がなく酒色におぼれる一方、政治に無関心で多くの家臣たちは陰でばかにしていた。ただ、都督の一族であるため表だって意見するものは少なかった。
レッカ・コンクリオンはそんなソデにも意見する数少ない家臣だった。これは、レプザの信任があってのことである。
ソデはしばしばたてついてくるレッカ・コンクリオンとその一族を非常に憎んでおり、「忠臣づら」をしていると陰口を叩いては、機会があれば殺したいとさえ思っていた。
加えてソデにはできの悪い息子オジャムがいたが、息子を都督にしたかった。オジャムは肥満児で覇気がなく、とても都督の器ではなかった。そのため多くの家臣はオジャムが後継になることを反対しており、その筆頭がレッカだった。
そんなソデにとってコンクリオン一族は目の上のたんこぶであったのである。ついに、ソデは一計を案じた。

カイバの西には「果てしない砂漠」と呼ばれる砂漠地帯が広がっていた。
砂漠にはいくつかの基地もあれば、廃墟となった基地もあった。
また数は少ないがオアシスがあり小さな町も存在していた。
そんな砂漠には悪党と呼ばれる集団がいくつもあった。
悪名高いシャギ党もその一団であり、普段は武装商団や傭兵を行う一方、時に盗賊のようなこともしていた。
シャギ党には10将と呼ばれる命知らずの武将がおり、荒くれ集団として有名だった。
ソデはシャギ党に目をつけ、レプザに招聘するように進言した。
多くの家臣が「ならず者」の「シャギ党」を呼び寄せれば、のちのちに大きな災厄を招くのは明らかだと反対した。
しかし、北閥の侵略著しいおりであり、レプザ都督は弱気になっていた。
そのため、レプザは家臣の反対を押し切り、シャギ党を呼び寄せてしまった。

続く・・・

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