見出し画像

喧嘩するほど仲が良い!? 2-サイレント・ネオ-boy meets girl-

もちろん、仮にこのムサシという青年が、地球(テラ)では現役で3人しかいないスーパーエースに認定されていると知れば、気持ちも違っていたかもしれない。ともかく、今のムサシは、テディ・Dたちにとっては、よくわからない旅人だったのだ。

「ムサシ、あなたは地球では、何をやってるの?」

テディ・Dは窓の外を見ながら、あまり興味があるそぶりはみせずに、さりげなくたずねた。

2

ルート55に入り、すでにあたりは荒涼とした砂漠地帯で、見えるのは砂の海とサボテンくらいのものだった。

「……パイロットだよ」

少しの間のあと、ムサシが言った。

「ふーん、じゃあ、あなたも軍人ってやつね」

テディ・Dはちょっと苛立っている。窓から見えた3つ並んだサボテンが、あっという間に後方に小さくなっていった。

「俺は軍属になった覚えはないさ、最も一年前のコロニー戦争には参戦したけれどな」
「どちらにしろ、あなたはCA乗りってやつでしょ?」
「だったらなんだよ? テディ・D、お前だってCAに乗ってるだろ。 見た目がひどい機体にさ」

売り言葉に買い言葉、テディ・Dの言葉に、ムサシもちょっと熱くなっている。

「ちょっと、あなた、口のきき方に気を付けてくれないかしら!?」

テディ・Dがやっとムサシに視線をうつし、きっとにらみつけた。

「いい!? 私はあなたたちみたいな野蛮なCA乗りに、テディ・Dなんて呼ばれる筋合いはないの!? まして、呼び捨てでね!」
「なんだよ、お前だって、今、おれのこと呼び捨てにしただろう!」

ムサシは思わずブレーキを踏んで車を止めると、テディ・Dを睨み返した。
テディ・Dは美しい海の青色にキラリと星が輝くような瞳をしているし、ムサシはまっすぐなほど黒色の瞳だ。お互いここまで面と向かうのは初めてだから、ドクン、鼓動が相手に聞こえるのではないかと思えるほど、高鳴った。しかし、そんな体の反応とは裏腹に、2人とも不自然なほど序盤から互いに敵対的だった。

サイレント・ネオ-boy meets girl-(喧嘩するほど仲が良い!?/先行配信中)

BGM

-登場人物-

テディ・D:ゴスロリの格好をし、腕には9.8と数字をほり自死がんぼうがある少女。
オジャム:お飾りの提督をしていたが、父親をころされたあげく、砂漠に追放された。命からがら助かり、ゴサクの家で豚小屋などを掃除して糧を得ている。心優しい少年。
サシャ:誘拐船でオジャムと出会った6歳の女の子。勘が鋭く、ゴサクに気に入られている。その正体は…!?

ムサシ:地球(テラ)・ネオ東京出身の19歳の青年。愛機サイレント・ネオをあやつり、第5次地球・コロニー戦争において100機墜としを達成、英雄認定及びスーパーエースの称号を得た。地球のCAリーグにも参加している人気パイロットでもある。しかし、戦う意味を見失い、月歌に放浪の旅に出る。

ソック:ムーンキングダム・斥候隊副隊長。ボーナスをなくしてしまい、恐妻トド子に家を追い出された悲しき中年男性。

シャギ:極悪非道の仮面騎士と呼ばれる男。若いころは、義侠を持ち黄金のシャギと呼ばれていた。青年時代に地元の若者たちと悪党を結成、砂漠地帯で暴れまわったが、ゲンバ提督の娘に手を出したことで怒りをかってしまう。顔を切り刻まれ、腕と足を切り落とされたあげく、投獄された。しかし、復活後は人が変わったように残酷になり、シャギ党を結成して、ついにはカイバの提督の座を強奪するに至った。

ムドー:月歌だけでなく、コロニー連合などで十数年の間、傭兵として戦場をわたりあるいてきた猛将。残酷な攻撃をすることもあるが、騎士道と義理を尊ぶ武人。シュトライツァー党では義兄弟のシュトライツァーの副将として活躍、北国随一の武将とまで呼ばれるにいたった。ダークブルーのパンツァーを愛機としており、精鋭の青備え50機を率いる。

ガスズ:ムサシのライバル。CAリーグでは常にムサシと同時に昇級しており、何度か土をつけている。黒いCAヤシャをあやつる。唯我独尊を地で行く男。

マギー教授(おねえ)とみなみちゃん(アイドル):一年前に地球(テラ)から月歌に向けて出発したが、未だに到着せず。
かつてスーパーエースだったマギーは戦闘での怪我のため、現役を引退して士官学校で教授をしている。裏の顔はおねえである。


この記事が参加している募集

ご覧いただきありがとうございます!