砂漠の陣14-サイレント・ネオ-boy meets girl-
「ふん、口ばかり達者の若造が、泣きわめいて逃げ帰る姿、容易に想像がつくわ!」
シャギは吐き捨てたが、その言葉はヤシャに乗るガスズには届かなかった。ヤシャはうなりをあげてスピードを上げると、真上にある太陽の光をうけて、ボディを黒光りさせながら出陣したのだ。この時、シャギ党の面々にムドーがいないことに気付いているのは、参謀ラーカイムばかりだった。
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前代未聞の一機での強襲を仕掛けたガスズは、数時間後、3砦まで1㎞の地点に迫っていた。この時、オープンチャンネルから3砦に向かい決戦を挑んだ。
「我こそが地球(テラ)のガスズ・アーヴィンソンなり! ララに腕の覚えある将あらば一騎打ちを所望する!」
これには3砦の諸将もざわめきたった。
「たった一機で出向くとは恐れ知らずもいいところ」という意見もあったが、大半が「単独で出陣するのは無謀もよいところ。何か罠があるに違いない」ということだった。
3砦の将デナ・リッチモンドも同意見で、「これは明らかに罠だ。たった一機ででむくはずはない、全軍行動を自重するように!」と命令を下すと、巨大モニターに映し出された黒いCAヤシャをにらむように見つめるばかりだ。
「どうした、俺はたった一機で出向いていると言うのに、ララは腰抜けの集まりか!?」
ガスズの罵倒がオープンチャンネルから3砦に響き渡る。すると、右砦と左砦を任されている将軍がいきりたった。もともと、この3砦にはララでも腕に覚えがある将軍が派遣されていたのだ。
「これは前代未聞、末代までの語り草よ。ここまで臆病者が集まっているとは思わなんだ!」
ガスズがさらに挑発すると、ついに右砦が開き、一騎のCAが躍り出た。指揮官用パンツァーに登場するゴブセンだった。右砦を任されている中年の将軍だが、血の気が多い人物でもあった。
「言わせておけばよい気になりおって!」
これを見たガスズは好機とばかりに、「その意気やよし、ララにも騎士がいたか!」と叫ぶと、ヤシャの背中からサーベルを引き抜き、勢いよく突進した。
「二刀流か!?」 慌ててゴブセンもソードを抜いて切りかかる。両者が交錯し、すれ違う。すると、ゴブセンの乗るパンツァーの頭部がごろりと落ちてしまった。
サイレント・ネオ-boy meets girl-(砂漠の陣/先行配信中)
BGM
-登場人物-
テディ・D:ゴスロリの格好をし、腕には9.8と数字をほり自死がんぼうがある少女。
オジャム:お飾りの提督をしていたが、父親をころされたあげく、砂漠に追放された。命からがら助かり、ゴサクの家で豚小屋などを掃除して糧を得ている。心優しい少年。
サシャ:誘拐船でオジャムと出会った6歳の女の子。勘が鋭く、ゴサクに気に入られている。その正体は…!?
ムサシ:地球(テラ)・ネオ東京出身の19歳の青年。愛機サイレント・ネオをあやつり、第5次地球・コロニー戦争において100機墜としを達成、英雄認定及びスーパーエースの称号を得た。地球のCAリーグにも参加している人気パイロットでもある。しかし、戦う意味を見失い、月歌に放浪の旅に出る。
ソック:ムーンキングダム・斥候隊副隊長。ボーナスをなくしてしまい、恐妻トド子に家を追い出された悲しき中年男性。
シャギ:極悪非道の仮面騎士と呼ばれる男。若いころは、義侠を持ち黄金のシャギと呼ばれていた。青年時代に地元の若者たちと悪党を結成、砂漠地帯で暴れまわったが、ゲンバ提督の娘に手を出したことで怒りをかってしまう。顔を切り刻まれ、腕と足を切り落とされたあげく、投獄された。しかし、復活後は人が変わったように残酷になり、シャギ党を結成して、ついにはカイバの提督の座を強奪するに至った。
ムドー:月歌だけでなく、コロニー連合などで十数年の間、傭兵として戦場をわたりあるいてきた猛将。残酷な攻撃をすることもあるが、騎士道と義理を尊ぶ武人。シュトライツァー党では義兄弟のシュトライツァーの副将として活躍、北国随一の武将とまで呼ばれるにいたった。ダークブルーのパンツァーを愛機としており、精鋭の青備え50機を率いる。
ガスズ:ムサシのライバル。CAリーグでは常にムサシと同時に昇級しており、何度か土をつけている。黒いCAヤシャをあやつる。唯我独尊を地で行く男。
マギー教授(おねえ)とみなみちゃん(アイドル):一年前に地球(テラ)から月歌に向けて出発したが、未だに到着せず。
かつてスーパーエースだったマギーは戦闘での怪我のため、現役を引退して士官学校で教授をしている。裏の顔はおねえである。
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