砂漠の陣17-サイレント・ネオ-boy meets girl-

こうしてシャギの号令が下り、シャギ党1000機は出陣すると残る中央砦を取り囲んだ。こうなると、ララの守りはもろいもので、援軍をまつまでもなくあっという間に崩れてしまった。
中央を守るデナ・リッチモンド将軍こそ血路を開いて取り巻き数機と共に何とか脱出したが、残された兵士たちは討ち取られるか、捕虜となってしまったのである。

17

苦戦しながらも前哨戦を大勝したシャギは、二等兵にまで上等な酒をふるまい、上機嫌で祝宴を開いていた。
「ララなどおそるるに足らぬ、千年王国を築く日も遠くないぞ！」
「シャギ様万歳！」
「ムドー様とガスズ様を擁する我々に敵はおらぬ！」
などとシャギを称賛する声が陣営に響き渡っていた。

当然、シャギも気分よくグラスを傾けている。
「ラーカイムよ、今後相手はどう出るかのう？」
「ララ軍も本腰をいれて、我が軍を迎え撃つことになると存じ上げます。この砦の西20キロの地点に軍を集結させておりまする」
「そうか…しかし、今の我が軍の士気、天を突くばかりよ。ララ軍なにするものぞ、我が手におさめる日も遠くはあるまいて！」

シャギが鼻息を荒くしたとき、辺りがわっとざわめいた。帰陣したガスズが姿を現したのである。すると誰もが次にしたシャギの行動に目を疑った。

「これは、これはガスズ…いや、いや、ガスズ殿…おっと、言い間違えましたな、ガスズ先生、よくぞお戻りになられました！ さあ、私の隣にお座りくだされ」 と、シャギは玉座から降り、ガスズのそばまで行って手を取ると、愛想笑いさえ浮かべたのである。
しばらく、ガスズはそんなシャギを眉一つ動かさずに見つめていたが、「若造から先生か…ずいぶん出世したものだ…まあ、良い」 と、シャギについて玉座の隣の席に座ったのだった。

「わっはっは…ムドー先生とガスズ先生がおれば、もはや月歌に敵はおらぬわ！ お前たち何をしておる、ガスズ先生にさっさと酒をつがんか！」

シャギに促され、酒を持った十将たちがガスズの前に列をなした。
ガスズは次々に継がれる酒を飲み干しながら、「ムサシよ、貴様は今にどこにおる…どこにいるにしろ、戦をしていればいずれ、きさまををみつけることもできるであろう。その時こそ、お前と決着をつける時だ！」 とじっと前を見据えていた。

サイレント・ネオ-boy meets girl-（砂漠の陣/先行配信中）

砂漠の陣-サイレント・ネオ-boy meets girl-

ＢＧＭ

-登場人物-

テディ・D：ゴスロリの格好をし、腕には9.8と数字をほり自死がんぼうがある少女。
オジャム：お飾りの提督をしていたが、父親をころされたあげく、砂漠に追放された。命からがら助かり、ゴサクの家で豚小屋などを掃除して糧を得ている。心優しい少年。
サシャ：誘拐船でオジャムと出会った6歳の女の子。勘が鋭く、ゴサクに気に入られている。その正体は…！？

ムサシ：地球（テラ）・ネオ東京出身の19歳の青年。愛機サイレント・ネオをあやつり、第5次地球・コロニー戦争において100機墜としを達成、英雄認定及びスーパーエースの称号を得た。地球のＣＡリーグにも参加している人気パイロットでもある。しかし、戦う意味を見失い、月歌に放浪の旅に出る。

ソック：ムーンキングダム・斥候隊副隊長。ボーナスをなくしてしまい、恐妻トド子に家を追い出された悲しき中年男性。

シャギ：極悪非道の仮面騎士と呼ばれる男。若いころは、義侠を持ち黄金のシャギと呼ばれていた。青年時代に地元の若者たちと悪党を結成、砂漠地帯で暴れまわったが、ゲンバ提督の娘に手を出したことで怒りをかってしまう。顔を切り刻まれ、腕と足を切り落とされたあげく、投獄された。しかし、復活後は人が変わったように残酷になり、シャギ党を結成して、ついにはカイバの提督の座を強奪するに至った。

ムドー：月歌だけでなく、コロニー連合などで十数年の間、傭兵として戦場をわたりあるいてきた猛将。残酷な攻撃をすることもあるが、騎士道と義理を尊ぶ武人。シュトライツァー党では義兄弟のシュトライツァーの副将として活躍、北国随一の武将とまで呼ばれるにいたった。ダークブルーのパンツァーを愛機としており、精鋭の青備え５０機を率いる。

ガスズ：ムサシのライバル。ＣＡリーグでは常にムサシと同時に昇級しており、何度か土をつけている。黒いＣＡヤシャをあやつる。唯我独尊を地で行く男。

マギー教授（おねえ）とみなみちゃん（アイドル）：一年前に地球（テラ）から月歌に向けて出発したが、未だに到着せず。
かつてスーパーエースだったマギーは戦闘での怪我のため、現役を引退して士官学校で教授をしている。裏の顔はおねえである。