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砂漠の陣15-サイレント・ネオ-boy meets girl-

「二刀流か!?」 慌ててゴブセンもソードを抜いて切りかかる。両者が交錯し、すれ違う。すると、ゴブセンの乗るパンツァーの頭部がごろりと落ちてしまった。

15

「ああ!」
3砦の陣営から悲鳴に似た叫びがあがる。
そのさなか、今度は左砦の門が開き、やはり指揮官用パンツァーに乗った将軍トトウが姿を現した。
「ララのトトウ。よくも我が親友のゴブセンをやってくれたな!」
「ほう、少しはできるか!?」
ヤシャは突進してくるパンツァーに対し、顔の前でサーベルを交差させて身構えた。そして相手が間合いに入ると一閃、水平にそれぞれのサーベルをふるった。カキンと剣が交わった音がしたかと思うと、パンツァーの胸部が二本のサーベルで貫かれ、背中をするりと通りぬけて体ごと宙にもちあげられていた。それから、ヤシャがソードを引き抜くと、トトウの乗るパンツァーがどさりと地面に倒れて数秒後、エンジンを破損して派手に爆発してしまった。

「二将をうちとったぞ、さあ、大将もでてこい!」
ガスズが叫ぶ。
中央砦にいる大将デナ・リッチモンドは、「シャギ党には北閥随一といわれるムドーが加わったと聞いていたが……他にもこのような凄まじき将がいようとは…」と絶句した。

一方、リーダーを失った左右の砦は混乱をきたし、怒った兵士たちが勝手に砦から出陣してしまった。
「相手はただの一機、将が打ち取られるのを指をくわえてみていたとあっては末代までの恥だ!」 というわけである。
左右の砦を守るほぼ全機がヤシャに向かって出陣した。

それを見てヤシャは身体を丸め重心を下げたかと思うと、両肩から肘部にかけて外側を開き、中から追撃ミサイルを搭載したポッドをせりださせた。そして、殺到してくるララのCAたちに向けて、左右8発ずつ、合計16発の追撃ミサイルを発射させた。 ミサイルは不規則な弾道を描きながらスピードを上げると、そのうち数発が命中してララCAが爆発した。
それから、ガスズはすぐに踵を返すと、撤退をはかったのである。

サイレント・ネオ-boy meets girl-(砂漠の陣/先行配信中)

BGM

-登場人物-

テディ・D:ゴスロリの格好をし、腕には9.8と数字をほり自死がんぼうがある少女。
オジャム:お飾りの提督をしていたが、父親をころされたあげく、砂漠に追放された。命からがら助かり、ゴサクの家で豚小屋などを掃除して糧を得ている。心優しい少年。
サシャ:誘拐船でオジャムと出会った6歳の女の子。勘が鋭く、ゴサクに気に入られている。その正体は…!?

ムサシ:地球(テラ)・ネオ東京出身の19歳の青年。愛機サイレント・ネオをあやつり、第5次地球・コロニー戦争において100機墜としを達成、英雄認定及びスーパーエースの称号を得た。地球のCAリーグにも参加している人気パイロットでもある。しかし、戦う意味を見失い、月歌に放浪の旅に出る。

ソック:ムーンキングダム・斥候隊副隊長。ボーナスをなくしてしまい、恐妻トド子に家を追い出された悲しき中年男性。

シャギ:極悪非道の仮面騎士と呼ばれる男。若いころは、義侠を持ち黄金のシャギと呼ばれていた。青年時代に地元の若者たちと悪党を結成、砂漠地帯で暴れまわったが、ゲンバ提督の娘に手を出したことで怒りをかってしまう。顔を切り刻まれ、腕と足を切り落とされたあげく、投獄された。しかし、復活後は人が変わったように残酷になり、シャギ党を結成して、ついにはカイバの提督の座を強奪するに至った。

ムドー:月歌だけでなく、コロニー連合などで十数年の間、傭兵として戦場をわたりあるいてきた猛将。残酷な攻撃をすることもあるが、騎士道と義理を尊ぶ武人。シュトライツァー党では義兄弟のシュトライツァーの副将として活躍、北国随一の武将とまで呼ばれるにいたった。ダークブルーのパンツァーを愛機としており、精鋭の青備え50機を率いる。

ガスズ:ムサシのライバル。CAリーグでは常にムサシと同時に昇級しており、何度か土をつけている。黒いCAヤシャをあやつる。唯我独尊を地で行く男。

マギー教授(おねえ)とみなみちゃん(アイドル):一年前に地球(テラ)から月歌に向けて出発したが、未だに到着せず。
かつてスーパーエースだったマギーは戦闘での怪我のため、現役を引退して士官学校で教授をしている。裏の顔はおねえである。


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