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騒動8-サイレント・ネオ-boy meets girl-

「ともかく、サシャをリムリに渡してはダメよ!」
「で、でも、そしたらどうするんだよ!?」
珍しくオジャムも感情的になり、意見をぶつからせた。
「簡単なことよ、私たちがサシャをララへ連れて行くのよ!」
「僕たちが!?」
突拍子もないテディ・Dの提案に、思わずオジャムが声を上ずらせた。

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「ええそうよ、それが一番だわ。シャギ党だって、まさか、私たちだけでサシャをつれてララに行くとは思わないでしょ!」
「そ、そうかもしれないけど…」
オジャムは眉をへの字口にさせ、難しい顔をして腕組みした。オジャムと同じ気持ちのゴサクもオネも、無言でいる。しかし、ムサシは笑いながら言った。
「テディ・Dの意見にサシャも賛成のようだぜ、な!」
すると、サシャはにっこりと笑って、勢いよく立ち上がった。
「うん、わたしはテディ・Dにさんせいよ、またいっしょにいられるもの!」
さらに、その場で手を合わせてうれしそうに飛び跳ねた。

「これで決まりだな……さてと、俺はそろそろ退散するとしよう」
ムサシは満足そうにお腹をさすると、立ち上がった。
「え、ムサシ君も来てくれるんじゃないのかい!?」
オジャムが呼び止める。
「なんで俺がお前たちに付き合わなきゃいけないんだよ!」
「だって、サシャもムサシ君と一緒がいいだろ」
オジャムが尋ねると、サシャは笑顔で言った。
「うん、そうよ、ムサシもいっしょよ」
こういわれるとムサシは、
「冗談じゃねえ、やっかいごとはもうごめんって言っただろ…」 と首を横に振った。けれど、にっこり笑うサシャを見ると、不思議なものでそれも悪くないかなと思い直した。というのも、ムサシは超感覚を持ち、サークルを使えるテディ・Dが気になったいた。加えて、偶然だがムサシもこの後にララに向かうちょっとした用事を抱えていたのである。
「仕方ないな……まあ、俺もララに野暮用があるし、少しの間だけ付き合ってやるか。 だけど、言っとくぜ。もう、やっかいごとはごめんだからな」
ムサシが念を押すのだが、喜ぶサシャは拍手をしている。
「ムサシもいっしょ、ムサシもいっしょ!」
こうして一行はララに向かうことになったのだった。

サイレント・ネオ-boy meets girl-(騒動/先行配信中)

BGM

-登場人物-

テディ・D:ゴスロリの格好をし、腕には9.8と数字をほり自死がんぼうがある少女。
オジャム:お飾りの提督をしていたが、父親をころされたあげく、砂漠に追放された。命からがら助かり、ゴサクの家で豚小屋などを掃除して糧を得ている。心優しい少年。
サシャ:誘拐船でオジャムと出会った6歳の女の子。勘が鋭く、ゴサクに気に入られている。その正体は…!?

ムサシ:地球(テラ)・ネオ東京出身の19歳の青年。愛機サイレント・ネオをあやつり、第5次地球・コロニー戦争において100機墜としを達成、英雄認定及びスーパーエースの称号を得た。地球のCAリーグにも参加している人気パイロットでもある。しかし、戦う意味を見失い、月歌に放浪の旅に出る。

ソック:ムーンキングダム・斥候隊副隊長。ボーナスをなくしてしまい、恐妻トド子に家を追い出された悲しき中年男性。

シャギ:極悪非道の仮面騎士と呼ばれる男。若いころは、義侠を持ち黄金のシャギと呼ばれていた。青年時代に地元の若者たちと悪党を結成、砂漠地帯で暴れまわったが、ゲンバ提督の娘に手を出したことで怒りをかってしまう。顔を切り刻まれ、腕と足を切り落とされたあげく、投獄された。しかし、復活後は人が代ったように残酷になり、シャギ党を結成して、ついにはカイバの提督の座を強奪するに至った。

ムドー:月歌だけでなく、コロニー連合などで十数年の間、傭兵として戦場をわたりあるいてきた猛将。残酷な攻撃をすることもあるが、騎士道と義理を尊ぶ武人。シュトライツァー党では義兄弟のシュトライツァーの副将として活躍、北国随一の武将とまで呼ばれるにいたった。ダークブルーのパンツァーを愛機としており、精鋭の青備え50機を率いる。

マギー教授(おねえ)とみなみちゃん(アイドル):一年前に地球(テラ)から月歌に向けて出発したが、未だに到着せず。
かつてスーパーエースだったマギーは戦闘での怪我のため、現役を引退して士官学校で教授をしている。裏の顔はおねえである。



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