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フウコと小オアシス10-サイレント・ネオ-boy meets girl-

「でも、私はふうこちゃんを助けるわ。あなたと違うからね」
「どう違うんだよ!?」
「どう違うですって…そんなこと、自分で考えなさいよ!」
売り言葉に買い言葉がヒートアップし、もともと馬が合いそうにないこの二人は、また口げんかをはじめた。

10

このままではらちが明かないと、オジャムが口を挟んでたずねる。
「ね、ねえ、テディ・D。どうするのさ?」
「大丈夫よ、私がなんとかするわ。オジャムはもちろん協力してくれるわよね!?」
「え! そ、それはその…う、うん、そ、そうだね…」
しどろもどろになりながら、オジャムはテディ・Dの怒った顔と押しの強い言葉に、さそいを断ることはできなかった。
「でも、僕たちだけでそのモーラ一家と戦うなんて、難しいかもしれないよ」
「そうね、2人だけでは、難しいかもしれないわね……」
テディ・Dがぎゅっと下唇を噛むと、
「さーたんもたたかうわ!」
とサシャは叫んだ。
「ありがとう、サシャ、心強いわ!」
「ね、ねえ、ムサシ君、なんだかんだいったって、君も手伝ってくれるんだよね?」
オジャムが助け船を求めるが、ムサシは首を横にふった。
窓のヘリに足を曲げてのせ、その上にかたひじをのせて、頬杖をついている。
「おれは断るぜ…やっかいごとに首突っ込むほど暇じゃねえんだ」
「そんな、ふうこちゃん見捨てるのかい!?」
「いいかオジャム、これはこの村の問題なんだ。俺たちよそものには
関係ないはなしだ。村の連中が自分たちで何とかして立ち上がるしかないんだよ」
「そうかもしれないけど、だからって、何もせずに見過ごすなんて…」
オジャムが力なく言うが、
「一時的にどうこうしたって、同じことを繰り返す未来が目に見えているさ。そのたびに、この町にやって助ける気かよ!?」
ムサシがこういうと、オジャムもサシャもフウコもうつむいてしまった。
テディ・Dのみ、きっとムサシをにらみつけるばかりだ。
「それにな…」
ムサシはこういうと、黒い瞳にかすかに火を灯しテディ・Dを見た。

サイレント・ネオ-boy meets girl-(フウコと小オアシス/先行配信中)

BGM

-登場人物-

テディ・D:ゴスロリの格好をし、腕には9.8と数字をほり自死がんぼうがある少女。
オジャム:お飾りの提督をしていたが、父親をころされたあげく、砂漠に追放された。命からがら助かり、ゴサクの家で豚小屋などを掃除して糧を得ている。心優しい少年。
サシャ:誘拐船でオジャムと出会った6歳の女の子。勘が鋭く、ゴサクに気に入られている。その正体は…!?

ムサシ:地球(テラ)・ネオ東京出身の19歳の青年。愛機サイレント・ネオをあやつり、第5次地球・コロニー戦争において100機墜としを達成、英雄認定及びスーパーエースの称号を得た。地球のCAリーグにも参加している人気パイロットでもある。しかし、戦う意味を見失い、月歌に放浪の旅に出る。

ソック:ムーンキングダム・斥候隊副隊長。ボーナスをなくしてしまい、恐妻トド子に家を追い出された悲しき中年男性。

シャギ:極悪非道の仮面騎士と呼ばれる男。若いころは、義侠を持ち黄金のシャギと呼ばれていた。青年時代に地元の若者たちと悪党を結成、砂漠地帯で暴れまわったが、ゲンバ提督の娘に手を出したことで怒りをかってしまう。顔を切り刻まれ、腕と足を切り落とされたあげく、投獄された。しかし、復活後は人が変わったように残酷になり、シャギ党を結成して、ついにはカイバの提督の座を強奪するに至った。

ムドー:月歌だけでなく、コロニー連合などで十数年の間、傭兵として戦場をわたりあるいてきた猛将。残酷な攻撃をすることもあるが、騎士道と義理を尊ぶ武人。シュトライツァー党では義兄弟のシュトライツァーの副将として活躍、北国随一の武将とまで呼ばれるにいたった。ダークブルーのパンツァーを愛機としており、精鋭の青備え50機を率いる。

ガスズ:ムサシのライバル。CAリーグでは常にムサシと同時に昇級しており、何度か土をつけている。黒いCAヤシャをあやつる。唯我独尊を地で行く男。

マギー教授(おねえ)とみなみちゃん(アイドル):一年前に地球(テラ)から月歌に向けて出発したが、未だに到着せず。
かつてスーパーエースだったマギーは戦闘での怪我のため、現役を引退して士官学校で教授をしている。裏の顔はおねえである。

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