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彼と彼女の値打ち

去る人がいれば、来る人もいる。
年が明けて、このところ毎週面接が続いている。振り返ると、コロナ前に比べて3倍くらい面接をした1年だった。
今週も週明けから、歯科医師2名、歯科衛生士が1名アポイントが入っている。

今年1年の世の中の疲労に比べると、歯科医院のダメージは少ない。ぼくの勤める法人も1回目の緊急事態宣言のときは患者さんが減ったが、2ヶ月でほぼ通常営業にもどった。
在宅診療なんかは、売り上げが前年よりかなり伸びた。うちの管理者の先生はかなり敏腕だ。情報収集や関係各所への連絡、現場の取りまとめはすごいの一言につきる仕事ぶりだった。

そんな歯科医院のなかでダメージを受けているのは、都心でやっている先生や高齢者施設ばかりを相手に訪問診療していたクリニックだ。
在宅ワークで都心からオフィスワーカーが減った。都心で多い審美治療も、こういう状況になると優先度が低くなる。経営の安定感があるのは、ふつうに保険診療をしている郊外のクリニックだ。先生方は先端医療が大好きだが、日本の歯科医療の優先度ってこうなんだとしみじみ思う。

今年の業界経験者の面接応募は、こういった都心のきらきらしたクリニックをお暇されたスタッフが多い。
彼や彼女が面接に引っさげてくるのは、高給と、スマートな仕事内容の希望だ。
反対に、コロナ禍で安定して運営しているクリニックにあるのは、安月給と忙しさである。
そこに、彼や彼女の理想はなくて。あるのは地域の求める現実だ。

資格を持っていない事務職のぼくからしたら、必要とされることをやるから意味のある医療であって、医療者やそこで働く人の理想なんて二の次なんじゃないのかなあとよく考える。

木綿のような使い勝手の良い医療がいいなあと、湯豆腐に何をかけようか迷いながら思う。

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