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愛犬の1周忌に娘がずりばいをした。

実家の愛犬が、この世を去って1年。

長かったはずの1年は、1周忌を迎えた朝には
あっという間に感じた。

昨年の秋、
つわりがやっと終わった妊婦のわたしは
急激に老衰が進んだ愛犬の介護をすべく、実家に帰った。

わたしが帰ると必ず、ジャンプをして出迎えてくれ、
顔をこれでもかとこすりつけてくれたむっくは、
すっかり弱っていた。
わたしが帰った頃にはすでに、歩けなくなっており
ご飯はおろか水さえ飲めていなかった。

ひと時もむっくから離れたくなくて、
お腹が大きくなってきていて苦しかったが、
1日中そばにいて、体を撫で続けた。

介護に帰って3日目の夜、
母、兄、わたしが見守る中、むっくは息を引き取った。
母が、「ここまで頑張ってくれてありがとう」と声をかけたら
こちらこそ、と言ってくれてるかのように、
声をひと声あげて、静かに眠った。

わたしたち家族は、涙が枯れるまで泣いた。
父のあんなに泣く姿を見たのは初めてのことだった。
何度も壊れそうだった家族を繋ぎ止めてくれていたのが、
むっくだった。

火葬中、今まで見たことのない大きな虹が空に架かった。
母は、「むっくだ。むっくが、、、」
と止まらない涙を拭いていた。

むっくの一周忌は、どうしても実家に帰れなかった。
実家の桜の木の下に、納骨したと連絡がきた。

その日の昼、7か月の娘がずりばいをした。
前に進めそうで、あと一歩のところだったが
1度前に進むと、どんどん冒険をし始めた。

むっくも元気だった頃のように、
今はビュンビュン走り回っているのであろうか。

そうであって欲しい。

もう1度だけ、体を撫でたいな。







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