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ウソから始まる恋と仕事の成功術

鑑賞時の感想ツイートはこちら。

2009年のアメリカ映画。コメディ作品です。原題は “The Invention of Lying” で、直訳すると「嘘の発明」。まさにぴったりなタイトルですね。

設定&脚本が面白い!

本作の舞台は、人類に「ウソ」という概念がない世界です。

ん? どういうこと?
と思ったあなたに、例え話を。

サルの進化の過程で、ある日、はじめの一匹が道具を使うことを覚えました。つまり、その前までのサルたちには「道具を使う」という発想すらなかったわけですね。

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『2001年宇宙の旅』みたいに。
(パ~ パ~ パ~♩ パパ~~~♩笑)

同じように、本作の世界の人たちは、ウソが発明される前なので全員が本当のことしか言えないのです。

頭の中で思っていることが、そのまま口から出ます。直球ストレート!
お世辞も社交辞令もないし、オブラートにも包まない。見栄も張らない。

もう気持ち良いくらいに……笑。

・・・

主な登場人物は、この二人。

◯ マーク(リッキー・ジャーヴェイス)
 主人公。冴えない中年男性。独身。小太りでブタ鼻。
◯ アンナ(ジェニファー・ガーナー)
 美人。独身。過干渉な母の勧めでお見合いデートをする。

映画の冒頭、主人公マークがお見合いデートの相手アンナを迎えに行きます。お互い初対面なのに、のっけから身も蓋もないスゴイ会話が始まって、びっくり!

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正直、若干引きます。笑

でも、冒頭のこのシーンから、だんだんわかってくることは--

1.
普段は意識していないけれど、わたしたちが一番オブラートに包むように気を遣っているのは「性」と「シモ」関連なんだなぁ、ということ。(オブラートが取り払われてみて、はじめて気づかされる、というのが面白い!)
2.
「ウソ」の概念のない世界、と言われても、実際どんな社会になるのか想像もできないので、制作側は序盤から「こんな世界なんだよ」とブラックなジョークと共に観客に示してくれてるんだなぁ、ということ。

ね、面白くないですか?

「もし、みんなが本当のことしか言わない(言えない)世界だったら?」というアイディアから、こんなふうに架空の世界を構築していったのが、すごく独創的だし、面白い♩

脚本は、マシュー・ロビンソンの原案を元に、主演のリッキー・ジャーヴェイスと共同で書かれたそうです。グッジョブ!

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リッキー・ジャーヴェイスは『ナイト ミュージアム』(2006年)で博物館の館長さんも演じていましたね。

ウソの存在しない世界が笑える

“ウソが存在しない” という設定から描かれる、社会の様子。これがまた笑えるんですよ~! 現実の “ウソがある” 社会との違いにご注目。

コカ・コーラのテレビCMは、商品とナレーターだけが映っている地味なスタジオ映像で、「世界で一番有名です」とか「ほとんど砂糖です」とか言うだけ。華美なイメージ演出はしないのです。“事実ではないこと” だから。

映画もフィクション作品はありません。“事実ではないこと” だから。そもそも空想のお話なんて、誰も思いつかないのです。

一応、映画会社は存在しています。映画を作る時は、歴史上の事実から面白そうな出来事を探し出して脚本にし、ナレーターがカメラの前で朗読するだけ――。笑

わたし、空想とかイマジネーションのある世界に生きていて、本当良かったなぁ……って、思いました。もし空想がなければ、ディズニーランドもないよね、たぶん。それは悲しすぎる。無理。涙

何でも素直に信じちゃう人々

全人類が本当のことしか言えない “正直者の世界”。だから、自分以外の誰かが言うことも「すべて本当」という前提でみんなが生きています。

何を言われても「ウソでしょ?」と疑うことがない。「あ、そうなの!」と信じちゃう。この信じっぷりがまた面白くて!笑

(あるシーンで、エドワード・ノートンがカメオ出演しています!  探してみて♩)

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そんな社会の大前提があるからこそ、ウソを発明した主人公マークが大成功してゆくのですが――。

この人、ウソはついても基本的に善人なので好感が持てます。人を傷つけたり、陥れたりするような使い方は、しないんですよね。

はるひイチオシのシーン

まず、マークが病床のお母さんに語りかけるシーンを挙げたいなぁ。美しいの。ウソでも。思わずグッときます。

そして、

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ピザの箱が出てくる、このシーン。

「空の人」(Man in the Sky)の話に興味津々な聴衆のリアクションが、いちいち面白い! 大笑いしちゃいました。(キリスト教に馴染みがある方は、さらに楽しめると思います!)

笑えるコメディでありながら「世の中って、良くも悪くも、いろんなウソで成り立っているんだなぁ」と気づかせてくれたり、「宗教とは?」なんていう深いテーマにもさりげなく触れていたりして、とても好きな良作です♩


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