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祝!! 朝葉ことの&天城れいん 新人公演

『鴛鴦歌合戦』の新人公演主演に抜擢

 今日、宝塚花組のオペレッタ・ジャパネスク『鴛鴦歌合戦(おしどりうたがっせん)』の新人公演の主演に、朝葉ことのちゃんと天城れいんくんが主演することが発表されました!!

宝塚103期は娘役の実力派揃い

 なぜ朝葉ことのちゃんを先に書くのかといえば、友人の関係で応援している娘役さんなのです。ことのちゃんは103期で、音楽学校入団時は一番、在学中に体調を崩して、卒業時は7番、娘役だけなら6番でした。歌・ダンス・演技のバランスの取れた実力派娘役です。103期はご存知のように雪組トップ娘役の夢白あやちゃんや月組の歌ウマ娘役、白河りりちゃん、羽音みかちゃん、星組に瑠璃花夏ちゃんがいますね。顔ぶれを見ていると、105期に比べると少し地味だけど、実力派が揃っている感じです。男役では花組に希波らいとくん(彼はキラキラですが)、宙組には亜音有星くんがいます。

別格娘役路線から脱却のチャンスか?

 ことのちゃんはすでにバウの『殉情』で主演しており、気位高く癇癪持ちで、愛情を素直に出せない春琴を原作から抜け出たように演じていました。本来なら『はいからさんが通る』の新人公演で朝月希和さんが演じていた芸者の吉次を演じるはずだったのですが、残念ながらコロナで流れてしまいました。朝月さんはその後で雪組のトップ娘役に就任しているので、その役がつくということは、実力が認められているということでしょう。ですが、新公の主演が104期の美羽愛ちゃんであることを見てもわかるように、ことのちゃんは大人っぽくてしっかりしている役が付きやすい。なので、華雅りりかさんのような別格娘役路線の人という見方をされていたように思います。

 素顔のことのちゃんは十分に可愛いです。ちょっとサッパリ系のおしょうゆ顔で、むしろ彫りの深いフランス人形のような顔よりも現代受けするお顔かと思います。ただ、『うたかたの恋』の新公で演じたエリザベートを見ても、声の出し方から中年の皇后の貫禄と気品が出ていたし、滑舌も良くて声がよく通り、「上手すぎちゃうのかな」と思ってしまいました。「ああ、こんなに大人の役ができるんだ。じゃあ、次もお願いしよう」とならなければ良いなと。なので、お春の抜擢は本当に嬉しかったです。ことのちゃん、おめでとう!!

昔のトップ娘役は今でいう別格娘役が多かった

 私は子供の頃から宝塚を見てまして、昔のトップ娘役は決して、今のようにアイドル路線ではありませんでした。良くも悪くも歌がすごく上手ければ、多少体型がふっくらしていたり、雰囲気がクラブのママさん風の方でも、トップ娘役を務めていたんですよね。演技もかなりオーバーな人が多かった記憶が・・・。ですから、遥くららさんの『うたかたの恋』のマリーを見た時は衝撃でした。あまりにも演技が自然で可愛らしかったので。宝塚は劇団四季とは違い、美しいトップコンビを見るためにお金を払うエンタメだと思うので、昔が良かったとは思いません。やはり、潤花ちゃんや夢白あやちゃんのように華のある人が隣に並ぶとトップも引き立ちますし、作品も華やぎを増しますから。ただ、いろんなタイプの娘役さんにチャンスをあげて欲しいなと思います。

宝塚に求められる「華」の難しさ

 かつて星組にいた華鳥礼良さん(現在は星乃)は97期の次席入団で、娘役の首席でした。ですが、「華がない」と言われ続け、ずいぶん悩んだと退団後のインタビューで話していました。退団公演でエトワールになれたものの、遂に新公の主演はなかったはずです。同じタイプで歌が得意な夢妃杏瑠さんとキャラが被っており(『こうもり』 の新人公演では夢妃さんが演じた準主役級のロザリンデをやっている)、夢妃さんがいなければ、もう少し役付きが良かったかもしれません。
それを見ていて思ったのは、劇団はアイドル的な可愛らしさを娘役に求め過ぎているのではないかということです。

技量の高い生徒に活躍の場を与えて欲しい

 勿論、トップ娘役はマスコミに出ることが多く、誰が見てもトップにふさわしい美しさやヒロイン力があった方がベターには違いありません。ですが、ハリウッドの主演女優を見ていても、今やグレース・ケリーやイングリッド・バーグマンのような絶世の美女はトップスターにはなっていませんよね。メリル・ストリープやケイト・ブランシェットがいまだにトップ女優であり続けているのは、その際立った演技力によってです。役を与えられなければポテシャルがあってもわからないので、技量の高い生徒さんたちのモチベーションが下がらないような配慮を望みます。一番上手い人をトップにしろと言っているのではありません。ただ、宝塚は生徒を育てる場であり、彼女たちにとって卒業後の人生の方が長いのですから、「華」 の呪縛に囚われすぎるのはどうかなと思うのです。

102期と105期に挟まれた104期男役の不遇

 話が逸れてしまいましたが、天城れいんくんは104期の男役です。104期には先ほど話に出た花組の美羽愛ちゃんと、初詣ポスターに登場した月組の娘役・きよら羽龍ちゃん、そして「A Fairy Tale」の新公ヒロインになったのに卒業してしまった花組の都姫ここちゃんがいます。都姫ここちゃんは本当にお顔が可愛らしい娘役さんで、歌も上手かったと思いますが、花には105期で大本命の星空美咲ちゃんがいるので、宝塚でトップを狙うのは難しいと判断したのかもしれません。
 104期は優秀な102期、娘役が豊作な103期、95期以来の精鋭が集まった105期に押されている不遇な期で、104期の新公主演はれいんくんが初となります。何しろ花には劇団から激推しされている103期の希波らいとくんがいますからね。身長178センチで舞台映えするスタイルの持ち主なので、彼女になるべく良い役を経験させて、技術、特に歌を磨いてもらいたいのでしょう。102期の侑希大弥くんも華やかなビジュアルで、演技力もメキメキついてきたので、この2人が新公学年を外れたら、次はれいんくんの時代になるのかな? れいんくんの入団時の成績は13番。男役では6番なので、上位の方ですよね。もし歌が上手なら、らいとくんも大弥くんも歌が課題の男役なので、チャンスがあるかもしれません。
 最近はブロードウェイやフレンチミュージカルの上演が増えたので、歌えないと上演できる演目が限定されてしまいます。娘役も昨今は歌える人をトップしているので、男役も歌が上手い人が有利だと思います。なんといっても、歌劇団ですからね。盛り上がるべきところで、「あ、声が伸びないなぁ〜」となると観客にストレスが溜まります。

川崎麻世のブログに登場したれいんくん

 彼女に関しては、川崎麻世さんがブログの中で「夢を叶えた少女のお話し」として書いていて話題になっていますね。ご実家が長野で海鮮居酒屋をやっており、 4年前に『細雪』の全国ツアーで会った時は宝塚を目指している少女だったのに、今年明治座の公演を見にきてくれた時は、もう合格していて舞台に立っていたと。千社札をもらったとブログで写真を披露してます。
 れいんくんは『うたかたの恋』で2番手の水美舞斗がやったジャン・サルバドルを演じて注目を集めました。滑舌が良く、ストーリーテラーとしても申し分のない落ち着いた演技で、演技巧者の印象を観客に刻み付けたかと思います。らいとくんは根っから陽のビジュアル重視系ですから、れいんくんは花組の貴重な戦力になるでしょうし、そう評価されての今回の新公主演でしょう。

演技巧者の二人に新たな「顔」を見せて欲しい

 『鴛鴦歌合戦(おしどりうたがっせん)』って宝塚の演目としてはかなり異色。1939年公開の日本映画です。親友が教えてくれましたが、Amazon Prime(アマゾン プライム)に入っていれば、無料で見られます。こちらでご覧下さい。タイトルにリンクを貼っているので、ご興味をある方は予習してみてください。
 たった1週間で撮り終えたそうですが、歌手ではない志村喬やお春役の市川春代の歌が上手いのに驚きます。この時代、俳優は歌える人が多かったのでしょうか。骨董がテーマというのも面白いですね。

長屋住まいの貧乏浪人、浅井礼三郎と隣家の娘、お春の恋の鞘当てに、骨董狂いの殿様、峰沢丹波守を巻き込んでの騒動を、宝塚歌劇ならではの、華やかなミュージカル作品としてお届けします。日本映画史にその名を刻む傑作オペレッタ喜劇の初の舞台化にどうぞご期待ください。   

宝塚歌劇団ホームページより

 長屋住まいの貧乏老人と町娘の喜劇なんて、これまでことのちゃんやれいんくんが演じたことのない庶民的なキャラですよね。悲劇より喜劇の方が難しいのでハードルは高めですが、演技派の二人がこの新人公演でどんな新しい顔を見せてくれるのか、楽しみに待ちたいと思います。 
 余談ですが、この映画、お富という重要な役所で作曲家・服部良一の妹さんの服部富子さん(1981年没)が出演されています。彼女は宝塚21期生で、在団中は水間扶美子という芸名でしたが、歌手に転校したそうです。とても可愛らしい女優さんで、歌も上手。1953年には紅白歌合戦にも出場されています。小柳先生がこの作品を知っていたのは、そういうご縁もあるのでしょうか。

※6/6に投稿した記事で、希波らいとさんが大阪万博のアンバサダーと会ったのは誤りで、花組のアンバサダーは聖乃あすかさんです。申し訳ありませんでした。



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