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山下和仁のバッハを聴いて考える音と数秘

 Twitterでフォローしていた方から山下和仁さんという天才ギタリストのバッハが素晴らしいと教えていただき、CD「主よ、人の望みよ喜びよ バッハ小品」を購入し、聴いています。CDのタイトルになっている曲は、中学・高校時代の行事のたびに流れ、卒業式でも演奏されていた思い出深いものです。

 山下和仁さんは16歳のときに世界3主要ギター・コンクールにいずれも史上最年少で1位になった方で、超絶技巧の天才として知られています。私はバッハとチェロは好きなのですが、この世界的なギタリストの存在を知りませんでした。ギターでバッハが弾けるという概念がなかったのです。ですが、このシャコンヌを聴くと、門外漢でも彼のギターの凄さがわかるような気がします。

 バッハは数秘的解釈で宗教思想を表現しようとした作曲家

 クラシックに造詣の深くない私がなぜバッハが好きなのか。もしかしたらそれは、バッハが数秘的な解釈のもとに宗教思想を表現しようとした作曲家だったからかもしれません。

 大バッハと呼ばれるヨハン・セバスチャン・バッハの生きた17世期は、数の数秘的、象徴的解釈がさかんに行われていました。ルドルフ・タシュナー『数の魔力 数秘術から量子論まで』によれば、バッハはルター訳聖書の中で、「数と関係する人物や事件を扱った箇所に特に下線を引いていた」といいます。

研究者はバッハを数秘学的な見地から解明しようとしている

 バッハの音楽はそれだけで十分に魂を揺さぶるものですが、その音楽を数秘学的な見地から解明しようと試みる研究者もいるようです。彼らはキリスト教の中で数の持つ意味として、次のような数字に注目しています。

3:天と地と聖霊の三位一体
4:人(方位、四季、4元素、喜怒哀楽、起承転結など、人の世は4つに分けられるものが多いことから)
6:天地創造に費やされた日数で、最初の完全数(1+2+3=6)
7 :安息日(神と人を足した数)
10:十戒
11 : ユダを除いた12使徒
12 : 教会、信徒
13 : 災い(最後の晩餐にユダを含めた13人がいたことから)
14:バッハ(BACHをアルファベット順に足した数、B=2、A=1、C=3、H=8)

 バッハのフランス舞曲、イギリス舞曲、パルティータなどは6曲から構成されています。6は完全を意味します。また、マタイ受難曲では合唱曲に11小節を割り当てていますが、11という数は十戒の10から逸脱しており、「罪」を象徴しているのだとか。バッハは音と数の関係性を知っており、その知識を散りばめて曲を創っていたというのです。

数のバイブレーションを生きることで幸福な人生が実現する

 数のバイブレーションによって織り成される世界をモダン数秘術の母ミセス ・ばバリエッタはビュタゴラス主義者たちの言い方にならって、「天球の音楽(The  Music of the Spheres)」と結びつけました。「天球の音楽」は二次元に生きる我々には聴こえませんが、数のバイブレーションを知り、それを生きることで聴こえるようになり、美と調和にあふれた幸福で豊かな人生をおくることが出来ると考えたのです。

 バッハも数のバイブレーションを巧みに使うことで、至高の神とつながろうとしたのでしょうか。彼の数秘術的な素養のおかげで、私たちは今もバッハの音楽に心を癒され、満ち足りた思いを抱くことが出来るのです。



 










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