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占いで思う「前しか見ない女と過去を見る男」

 占いをしていると、男性と女性の違いを感じることがあります。特に恋愛相談でそれが多いですね。

 少し前、ある20代半ばの男性のお客様から、「彼女との相性を見てください」とのリクエストがありました。相性を見るって、普通ならこれから付き合うか、付き合い始めたばかりかと思いますよね。ところが、この男性は5年近くも付き合った彼女から「好きな人ができたから、別れたい」と告げられたというのです。

別れを告げられたのに相性を占いたい男性客

 自分はもう十分付き合ったし、人となりもわかったから、そろそろ一緒に暮らそうかと提案するつもりだったそうです。ところが、彼女の方は別に好きな人が出来て、心はどんどん離れていたんですね。このシチュエーションで、「いまさら相性を知ってどうするんだ?」と思いませんか?

 このお客様の中にはまだ彼女に対する未練があって、「明日、会って話をすることになってるんで、その参考にしたいから、相性が知りたいんです。それによって、話す内容も変わるかと思って」とおっしゃるのです。

 彼にしてみると、何か説得する手がかりが欲しいのかもしれません。もし相性がパーフェクトだったら、「占いでも相性は最高と言ってるから、やり直さないか?」とか言って説得するつもりなのでしょうか。

女性のほとんどは先へ進むために占いを利用する

  幸いなことに?、このお二人の場合、相性はあまり良くありませんでした。彼女の方が男らしく、ぐんぐん前へ進むタイプの人で、お客様の方がどちらかと言えば受け身のタイプ。違う者同士、補完関係が成立しなくもありませんが、どちらかと言えば、男性の方がずっと彼女に振り回されてしまいそうです。ですから、別れて違う人を探した方が、お客様にとっても良かったので、そう申し上げました。

 実はこういう相談って、女性からはほとんどないんですよね。女性でよくあるのは、好きな人がいるけ相手が冷たいので、どう思っているか知りたいとか、付き合いたいと思っている人がいるんだけど、相性が知りたいとか、あるいは彼氏と別れたばかりだけど、次の人が見つかるのはいつかとか、今の状況を少しでも良くすることで、先へ進むためのご相談です。

女性にコレクターが少ないのは過去を振り向かないから

 ライターとして、宝塚やミュージカルなど、エンタメ関書籍やグッズを扱うお店に取材に行ったことがあります。その店長さん曰く、「コレクターの大半は男性なんですよ。昭和のアイドルとか鉄道とかカメラとか、昔の物が好きでコレクションするのは、大抵男なんです」とのこと。

 女性はリアルタイムで舞台に立っている人が好きで、宝塚のスターだって、現役時代は応援するけど、退団するとどっと売りに出すそうです。女性の方がリアリストだというのです。

 なんとなくわかる気がしました。例えば、私のヅカ友は応援しているスターが卒業する前は大騒ぎで、ムラ(宝塚大劇場)へ遠征に行き、何度もサヨナラ公演へ通い、ファンクラブの卒業パーティにまで参加して、卒業の翌日には抜け殻状態のようになるのです。ですが、「去年○○期の主席入団だったAさん、雪組だよね。実は高校の後輩なんだけど」とか話を振ると、「あ、ラインダンスの前でもソロ踊ってて目立つよね〜」としっかり目の端でチェックしているのです。そして半年もたつと、次に応援する若手スターがいたりするわけです。

カルメンやマノンなど魔性の女は常に今を生きている

 女性も失恋に泣き、未練を抱きながら暮らしたりすることがあるとは思います。でも、HYの失恋ソング「366日」のように、長い間、毎日毎日想い続けるという人は、実は女性には滅多にいないのではないでしょうか。むしろ、女々しく過去を振り返り、いつまでも忘れられないのは、断然、男性の方だと思うのです。

 古典の名作『カルメン』も『マノン・レスコー』もファム・ファタール、つまり魔性の女に出会った主人公の男が運命を狂わされ、破滅していく話ですが、それは男の執着心がそうさせているのです。逆に男に執着して破滅していく女の話は滅多にありません。カルメンは例えホセに殺されても、自分が好きな男のところへ行こうとする「今を生きる女」です。

 良い悪いではなく、「女は前しか見ず、男は過去を見る」動物だというのが、占い師として私が感じていることです。子を産み育てる女性には、男性よりタフなメンタルの遺伝子が組み込まれているのかもしれません。

 

 


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