春来 | haruki

野良です。書きます。エッセイ/短歌/詩歌/ショートショート/猫の小さな額が好きです。 …

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野良です。書きます。エッセイ/短歌/詩歌/ショートショート/猫の小さな額が好きです。 エッセイ連載『おいしいは生命の至福』

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  • やわらかことばじゅく

    [日記]きっとあまり整えないままで放たれます。 素材の味を楽しむみたいなことを大切にします。

  • こころふるふる

    [メモ]何かに触れてはっとしたものについて

  • ロジカルにエモーショナる

    [雑随筆]役に立ちそうでギリギリ役に立たないエッセイです。

  • おいしいは生命の至福

    [食随筆]色々なお店で出会う食べ物の生態系を解き明かしそうで解き明かしません。つまるところ美味しい。

  • 味噌。人。文字。

    [短歌]れっつら三十一文字

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散文と韻文を行ったり来たりして育まれる文体があるみたいだ

言葉との関わりと文体散文と韻文、その中での定型と自由詩はそれぞれ見た目はもちろん違うし言葉の手触りもかなり違うものですが、自分がどちらの世界で文字を連ねるか、といったことはどうやら僕の文筆のスタイルに少なからず影響を与えているみたいです。 僕は歌人だった祖母の影響で元々は短歌が好きで、短歌を読むことから韻文の世界に入っていったわけですが、そこで初めて定型の力というものを実感することで言葉の奥深さに少しづつ気づいていったような気がします。 そして短歌をはじめた頃から、散文に

    • 2024.7.13(土)本とコーヒーとジャズレコード

      朝、洗濯物をこなして外に干してから、朝ごはんを食べに喫茶店へ。いつものアイスコーヒーとトーストセット。今日はくつろげる低めの椅子が空いていたのでそこに背を預けながら、嶋さんとさぎさんのコロナ禍に編まれた日記を読む。ある日の気に入った文章が染み入る。 卵に塩を振りながら、今日は夕方から秋葉原で用事があるので、少し早めに神保町で過ごすことに決める。家に一度戻って、外干しした洗濯物と天気予報と空を交互に見て、まあ外干しのままでいっか、ということで電車で神保町へ。 気づいたらお昼

      • 2024.5.28(火)雨降りの紫陽花・脇役の咲く

        久しぶりに雨が降るのを眺める火曜日。雨の匂いって形容し難いけれども、直感的に雨のことを分かることができるのは、きっと私の祖先が雨のことを気にして生きていてくれたからだろう。ありがたい限りです、と思いながら干した洗濯物をしっとりさせてしまうことは時たまあります。 紫陽花の季節になると目が紫陽花の淡い色達に惹きつけられてしまう、ふと歩いていて鮮やかなその色が目に飛び込んでくると立ち止まってまじまじと見てしまう。そして、他の草木花にもピントが徐々にあっていって、今の季節の自然を感

        • 2024.2.8(木)木と生きる暮らしにならう・脆さを受け入れる

          寒い日が続きますね、部屋がエアコンをつけてもなかなか暖まらないので、ふとんにくるまりながら生活をしています。柔らかいものに包まれるのは何か安心感があって、ついついゆっくりとした生活になってしまいます。人がくるまれることはすごく原始的なよろこびに繋がっている気がしますね。 先日はいつもボードゲームをする先輩たちと一緒に白川郷へ行ってきました。飛騨高山へ降り立ったのははじめてで、夜は静かな街でしたが、朝一の活気といったら気持ちの良いほどでした。木のやさしさを感じる街並みで、木版

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          2023.10.20(金)音のなる街

          今日は音楽のお祭りがある日。 昼下がりの通り道、下校していく小学生二人組とこれからステージに向かっているであろう、バンドメンバーがすれ違いざま、トランペット奏者のおじさんは、ふと楽器を歩きながら構えてアンパンマンマーチを数小節鳴らす、小学生はわっと顔をさらに明るくして、「がんばってくださいっ」と返してて、バンドメンバーは「お、がんばるぞ〜」「よーしよし」 と湧き上がる。 駅前の会場が公開のステージになっていて、かわるがわる演奏がされていく空き地隅の方に腰を下ろしサックスとピ

          2023.10.20(金)音のなる街

          2023.10.15(日)秋が早足なのでちょっと待って欲しい

          秋は降ってくるようにやってきて、すぐに去って行こうとするからその後ろ髪を掴もうとして「もうちょい待ってくれないか、まあコーヒーでも一服してさ」と言いたくなるような日々です。 こんなに過ごしやすくて、眠るのにも本を読むにも山を歩くにもよい季節が短いともったいない気持ちになってしまいます。秋は早歩きです。 でもこの冬に向かって進んでいく季節のグラデーションをしっかりと感じられるように、空気の質感が変わっていくのを肌で読みとるように歩く夜は嫌いじゃない、秋はその儚いところにも魅

          2023.10.15(日)秋が早足なのでちょっと待って欲しい

          ナポリタン喫茶店味・「懐かしい」を食べる

          喫茶店で食べるナポリタンには不思議な趣があります。 私たちが共通で持っている「懐かしさ」を鍋に広げて、茹でてケチャップソースにあえてみたらきっとこんな味なんでしょう。 食事に関して趣がある、という言葉はとんと使わないのですが、喫茶店で食べるナポリタンには、どうしたって調味料で変わるのとは異なる味わいがあります。 普段は本を読むために訪れる場所で食べるあのくたくたで濃ゆくておいしいとても普通でどうしても特別なナポリタン。 ローマで食べるエビのパスタ、シカゴで食べる厚いトマトソ

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          アーミッシュカントリーを訪ねる・彼彼女らの手

          アメリカで二つ目の滞在先が、オハイオ州でアーミッシュの方達が暮らしているエリアです。コロンバスからは北東へ2時間半ほどの場所です。 アーミッシュとは、スイス系の移民でキリスト教を共同体の一つです。特徴としては、伝統的な信仰生活を守るために、文明を取り入れることに対して非常に慎重で、今でもなお商用電気を使わずに自給自足に近いような、農耕牧畜を中心産業とした生活をされています。なんと建築も納屋とかは手で作ってしまうらしい。すごいな。 会う人たちからはとても真面目で優しい人柄の

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          2023.9.18(月)「休日」と題したいくらいいつもの休日

          しばらくアメリカに行ってきていて次の休みの最終日。疲れてるかもと思いあまり予定を入れずゆっくり過ごす3日でした。12時間ぐっすりと眠ってしまった日もあって、魂は鈍行で帰ってきたらしい。 とはいえ帰っても元気だったのでこんな時に自分は何するんだろうなあと思ったら、古書店を巡りカレーを煮込んで、銭湯に浸かってました。なんだかすごい落ち着きます。 土曜は友人が企画で吉祥寺に書店を期間限定で出していて、色々な人の選書とポップを彩った会話の多い本屋さんを訪ねて本の話をしたりしてまし

          2023.9.18(月)「休日」と題したいくらいいつもの休日

          2023.9.5(火)あなたは何しにアメリカへ?コロンバスの太陽の下を歩く

          今年の夏休みはアメリカはオハイオ州に住んでいる親戚に声をかけてもらって渡米しています。前から日本で会うたびにおいで〜と言ってくれていたのですが、やっと叶いました。 羽田からデトロイト経由で州都コロンバスへ。 空港で出迎えてもらい再会です。 オハイオ州は夏場の気候はだいたい東京と同じくらい、でも自然も豊かな場所で広々として、穏やかな光のある場所です。 親戚宅にオハイオでは滞在させてもらいます。 お父さんがDIYが趣味ってことは前に話して知っていたのだけども、実際に色々見せ

          2023.9.5(火)あなたは何しにアメリカへ?コロンバスの太陽の下を歩く

          大小の嘘をもしゃもしゃ食む獏の頭を撫でると小さく鳴きます

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          神様に言った言葉をメモせずに世にある僕らはうっかりやさん

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          2023.7.29(土)空間芸術と私たちの身体・イサムノグチの彫る場所

          花火やお祭りの音が遠くに聞こえるような日ですね、4年ぶりの場でのお祭りが帰ってきている催し事が多いようです。 今日は美学についての読書会、テーマは「空間と芸術論」でした。 イサム・ノグチの公園の特徴を取り出しながら、ポストモダンにおける空間芸術について、その輪郭がどこにあるのか?を探るような会話を進めます。 近代以前はイギリスの庭園にわかるように、空間芸術とは客観的に眺めて「美しい」という価値を目指す場所でした。しかし、アートシーンではデュシャンを結節点としたポストモダン

          2023.7.29(土)空間芸術と私たちの身体・イサムノグチの彫る場所

          2023.7.28(金)本屋をめぐる・うれしい猫の気配

          週末は本屋巡りのために吉祥寺へ、最近はもっぱら場で本と会うのが楽しくて仕方ありません。 友人と待ち合わせてまずはカレー屋さんへ、欧風カレーってなんでこんなにしみじみとおいしいんだろうな、なんだか身体の内側の深いところに染み渡るような味がします。 スパイスもだしも野菜のうまみも煮込まれてとろとろになってすべてスプーンに乗っかっててこれはすごい発明と感心してしまう。 そんなカレーを後にしてお気に入りのポストカード屋さんで避暑しつつまずは目当てのブックマンションさんへ、カラーボ

          2023.7.28(金)本屋をめぐる・うれしい猫の気配

          2023.7.16(日)浅草で本のお祭り・ペンキ絵は夢のよう

          今日はBOOK MARKERT2023に参加してきました、会場は浅草です。地上に登ると観光客でひしめく通り、ひとひとひと…人の間を縫いつつ進み、途中で浅草メンチによってメンチカツをかじってから会場に向かいます。 一面見渡す限り出版社が今こその本を並べてくださっていて、本が生まれた背景を話してくれる、とてもとても楽しい、作品を文脈に紐付けて楽しみたい自分としてはこの上ない場所です。 今でこそ編集業はメインの仕事にはしてないのですが、本づくりの話もできたりと、「本」への愛と情

          2023.7.16(日)浅草で本のお祭り・ペンキ絵は夢のよう

          2023.7.10(月)寛容とは何か?生きる主題

          週末は午睡も含めると10時間くらい眠りました、泥のように眠るとはこのこと。日曜は読書会が2つ、美学論と本紹介型を一つずつ。とくに紹介型の方では、生きていくテーマをどうするか?という話になってとても興味深かったです。 私が抱えるテーマの一つは「寛容」についてでした。 以前、優しい人であろうこと、善き人であろうこととは何か?という問いを母と話していたことがきっかけだったのか、ふと連絡が来てこれ読んでみたら?とタイトルが送られてきたのが『寛容は自らを守るために不寛容に対して不寛

          2023.7.10(月)寛容とは何か?生きる主題