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365日の本棚 5.29.『ヤング・アダルトU.S.A』

 始めてから途中でやめていた「365日の本棚」を再開することにした。1日1冊、紹介した本から連想した本を繋げていく形式で書いていく。

前回はサブカルのびっくり箱のような雑誌『ケトル』について書いた。カルチャーつながりで、今回ご紹介するのは長谷川町蔵・山崎まどか『ヤング・アダルトU.S.A.』(DU BOOKS)。

これさえ読めばアメリカポップカルチャーが分かる!

 そう言っても過言ではないと思う。アメリカの映画や音楽について発信し続けている二人の対談。ジョン・ヒューズ監督のティーン映画から音楽、アメリカの大学事情まで。あふれ出すエピソードや知識はまさに知識の数珠つなぎ、コンテンツ・ライダー。『アトロク』のカルチャー先生2人が一冊分話し続けているかのような情報量です。間違いなく、この本を読んでからアメリカ映画がより楽しめるようになった。そして映画や本はこんな風に見ていけば面白いのだ!と教えてくれた本でもある。

英訳のセンス



 英訳のセンスも最高だ。各章のタイトルには英訳がついており、それがよくある直訳ではなく巧くはまっていて言葉選びが良い!例えば3章の『『glee/グリー』とは一体、なんだったのか?』の英訳は『Don't Stop Showstopping』。ディズニーチャンネルなど、ティーンの前の「トゥイーン」向けコンテンツに焦点を当てた7章『トゥィーン U.S.A』は『Too Old for Toys, Too Young for Boys』。『What was "glee"?』ではないのだ!そうなのだ。英字新聞や英語でのキャッチコピーってこういう書き方する!というキャッチーさ。章だけでなく本文の見出しも日本語&英題になっており、英語での言い回しまで教わった気分だ。

人生という長い放課後


 大好きな映画や本を深堀していくことで始まる、「アメリカ映画にとって大人とは?」「なぜ大人になりきれない大人がここまで描かれているのか?」という文化論。映画の見方が変わる一冊だ。
表紙をめくると、こう書かれている。

「たった今、理不尽なスクールライフをおくっている子どもたちへ。そして人生という長い放課後を生きる大人たちへ」

このことばに全て込められていると思う。「長い放課後」には映画が必要だ。

書籍情報


『ヤング・アダルトU.S.A. ポップカルチャーが描くアメリカの思春期』
長谷川町蔵・山崎まどか、2015年、DU BOOKS


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