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帰省の道すがら


なんかやっぱり、地元に帰る日が近付くにつれて、身体の節々に力が入る。

比喩の話。実際は大きめのトレーナーを被って、表情筋もゆるみきって、背もたれに深く腰掛けてぐだっと飛行機を待っているのだけど。

帰省中の予定が憂鬱なんてことはない。どれも普通に楽しみ。でもやっぱ、私には「人と過ごす」それ自体に気合いが必要だし、疲れる。まだ帰省0日目なのにこんなこと言ってて大丈夫かな。一人暮らしも7年目になれば耐性も薄れるよね。

帰省が近付くにつれいくつかLINEが鳴る。帰ってくる?いつまでおる?楽しみにしてるね。遊べる?飲み行こ!えー、めっちゃ短いやん。

恵まれている。私も大好きだよと思ってる。めっちゃ声かけられてるみたいに書いちゃったけど私から入れた予定もある。このとき、声をかけた人、かけてくれた人、親戚の予定、それらを天秤にかける必要が出てきて、ウワーーーってなる。たった6日で全員に会うなんて無理なんだ。会える貴重さに関わらず自分の中での会いたい度だってある。だから3年ぶりにきたLINEとか、きっと今回会って次があるとしたらそれも3年後以降だろうなってくらいの関係性が、優先しやすくて心地いい。とはいえ毎回会ってくれる友人たちを後回しにはしたくないし、じぃばぁも大事だし、ほんと、ウワーーー。最近はその辺の調整も慣れてきたけどさ。優先すべきタイミング(結婚出産とか、地元を離れるとか)の友人との予定を早めに取り決めて、その後入るものは潔く諦めている。

互いに地元を出ている友達なんか、タイミングを合わせる努力をしないと本当に気付けば関係が薄まって行くんだろうなと思う。年始まで仕事でそこから帰るという華麗な行き違いを今回もかました友人のDMを見て、最後に会ったのいつだ?となった。思い出せなかった。

いつ帰省の頻度を減らすかなぁとも思うけど、会いたい人は地元にしかいない。でも会いたくない人がいるのも地元。帰省にかかる年間の交通費で何ができるかなって思い立っては、自分のどうしようもなさにへこんでいる。弊社〜、少しくらい出してくれてもよくない?


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昔は乗り物酔いしやすかったから、移動は音楽聴いて外見るか、寝るかの二択だった。でもここ数年強くなったのか、こうして読み書きしたりずっとスマホを見たりできるようになった。空路であれば本も読める。今回初めて機内で映画を観た。『マイ・ブロークン・マリコ』、気になってたけど観てなかったやつ。待ち時間が長かったから空港で原作漫画を読んで、直後に機内で映画を観た。作品にもよるだろうけど、こうすると原作を「なぞっている感」を強く感じるのだなと思った。あと、声の高さって思っているよりキャラクターの印象を変える。

映画が終わったら乗り継ぎ地点に着いていて不思議な感覚になった。寝てるときよりも、気付いたらここにいた感が強かった。物語の世界に降り立っている間に実際に時空を超えていた感じ。感情諸共入り込んで引き摺ってしまう方だから、移動中の映画は、慣れるまでは気持ちの保ち方が難しいかも。


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今年行ったライブをまとめたいと思いながら、たぶん書かずに終わるのだろうと半ば諦めている。出演者がキモい様変わりをした年末の音楽番組に正直心底萎えている。アーティストの好き嫌いは関係なく、喜ばしい面も腹立たしい面も気色悪くてゲンナリする面もある。今年一発目のnoteの話題はCDTVだったのにな。まぁ見るんだけどさたぶん。

2023年、なんというか、ゆるやかであったかい地獄、って感じだった。大学卒業して入社して異動して、激動の2021年。新しい土地を楽しみまくりながら、初めて一人の社会人として一年を過ごしきった2022年。ときて、この2023年。年始から転職関係で半年、全然うまくいかず、っていうのが地獄の部分。気分は常にうっすらと闇にいたし、ずっと精神的余裕がなくてトゲトゲしていた。実際まだ過去形にもなっていない。で、ベースにある仕事が、「ゆるやかであったかい」部分。前年とほぼ何も変わらなかった。力の抜きどころも入れどころも次何が起こるかも大分掴めてきて、ああ、こうして同じサイクルの繰り返しって続くんだと思った。どうにかしなきゃ私はずっとこのままだってまた焦りの皮が一枚重なった。それなのに今日もまた行動に移せずぬるま湯に浸かっている。

一年振り返ったときの感情がこんなにもグレーなのは、もしかしたら初めてなのかもしれない。これまでが呑気すぎたのかな。

「負けたくない」。私の根幹にはこれがずっとあるのだと思う。今年の大きな気付き。「勝ちたい」とは少しちがう。周りに、彼に、彼女に、現実に、何より自分の怠惰に、私は負けたくない。

好きな人や好きなものごとを、今日も好きでいられることに心から感謝をしています。ありがとう。きっと明日も好きです。
そして、自身だけにスポットを当てても少しは晴れた気持ちになれるよう、まだ、負けずにいたい。





だらだら書いたくせに窓から地元の光が見え始めたたった今、張っていた糸がゆるんでしまった。なんだそれ。


結局さ、君だけが僕に愛を突きつけていたんだ。

Tele『ロックスター』


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