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「白熊杯」 勝手に春〜と共に賞(短歌)

2022年の春、「宇宙杯」から始まりました短歌部門。
夏の「鶴亀杯」、秋の「十六夜杯」、そして今回の冬の「白熊杯」で
四回目です。

「宇宙杯」  141人 (335首)
「鶴亀杯」  124人 (336首)
「十六夜杯」 132人 (332首)
「白熊杯」  149人 (382首)

「白熊杯」は過去最高となりましたね。
そして今回短歌部門にご参加頂いた方の内、約4割が短歌部門初参加の方でした。
きっと、沢山の新しい出会いが生まれたのではないでしょうか。
嬉しいことですね。

どの方の短歌もその方の個性があり、魅力あるものでしたが、
今回は、勝手に賞ということで、
特に私が“好き”な短歌を10首選ばせて頂きました✨
(順番は投稿順です)



【山根あきらさん】
待っていたあなたはずっと来なかった
積もりし雪は根雪になりぬ

まず最初に「待っていた」 そして更に「あなたはずっと来なかった」
ずっと待っている間、雪は降り続き、やがて根雪となる。
とてもシンプルですが、その情景がとても大きく心の中に広がりました。
それから、「っ」が3回繰り返されて“動”のリズムを感じ、その後の
「積もりし〜」は、“静”のリズムを感じます。
心の動きとこのリズムが連動しているように感じられるところも惹かれます。



【あずきさん】
見上げてもグレーの雲に包まれて
見えない空は未来みたいだ

「見上げてもグレーの雲に包まれて見えない空は」と、ここまでの部分は、とても閉塞感を感じます。
グレーの雲が空一面に広がっていて、空が見えないと。
そしてその後に、「未来みたいだ」
見えない空が未来みたいだと。
その未来とはどんな未来なのだろうと、読み手がいろいろ想像することができますね。



【はるなさん】
唇の重なる部分よけながら
二人の吐息で溶けていく雪

「唇の重なる部分よけながら」という表現が、とても具体的でリアルに感じてしまいます。
若い二人というよりは、少し大人の雰囲気がしますね。
二人の吐息できっと冷たい雪も溶けてしまう。
真っ白な雪景色のなか、二人の熱い気持ち、熱い体温が伝わってくるようです。



【めいさん】
アツアツの焼き芋抱いて帰る道
今日も明日も頑張れ私

「アツアツ」とカタカナにして、文字から受ける印象が軽やかになると
思います。
そして最後の掛け声のような「頑張れ私」にも、その軽やかさがつながっているように感じられます。
とても温かい焼き芋を胸に抱いて、自らを鼓舞するように「頑張れ私」。
読む側も明るい気持ちになりますね。



【ゆずさん】
病室の隅で春待つ千羽鶴
使えなかった外泊届

「病室の隅」「春待つ千羽鶴」そして最後に、「使えなかった外泊届」
もうこれ以上何も言わずとも解ります。
一枚一枚願いを込めて折り鶴を・・
その春を待っていた千羽鶴が、今は静かな病室の隅に残されて・・
この「春」という言葉にはいろいろな意味が込められていますね。
痛いほどお気持ちが伝わってくる短歌だと思いました。



【chiyo🌷さん】
入試終えホットココアで乾杯と
微笑む君に告げたい想い

お酒ではなく「ホットココアで乾杯」、そして「微笑む君」、最後に「告げたい想い」。
若く初々しいふたりが目に浮かびます。
ミルクたっぷりの甘いホットココアがこのふたりにはぴったりですね。
羨ましくなるくらい温かい空気を感じます。
寒さを忘れさせてくれる短歌ですね。



【うみのちえさん】
逃げること選ばぬ人の数多いて
キーウの街に雪は降り積む

「逃げること選ばぬ人の数多いて」という言葉がとても印象に残りました。
宇宙杯、鶴亀杯、十六夜杯、そして白熊杯と、うみのちえさんの短歌を拝見していますが、本当にひとごとではないですよね。世界は全て繋がっていますから。
“  一隅を照らす  “
ひとりひとりの祈りが、やがて大きな祈りとなりますように。



【めっこさん】
チョコレートみんなと同じラッピング
中身を変えて彼氏に渡す

思わず、なるほどと思ってしまいました。
バレンタインデーにチョコレートを贈る側と受け取る側。
同じラッピングだけれど、中身だけ変える。
贈る側も受け取る側も、ドキドキワクワクする気持ちが伝わってきます。
もうすぐ、2月14日はバレンタインデーでもありますし、こんな恋の短歌も素敵ですね。



【カッピーさん】
冬晴れの富士を拝して学堂の
道場に入る少年剣士

言葉の選び方がとてもお上手だと思いました。
真冬の澄みきった肌をさすような冷たい空気を感じます。
そして、少年剣士について形容する言葉はひとつもないのに、とても凛々しく爽やかな少年が目に浮かびます。
とても美しい短歌ですね。



【洋介さん】
いにしえの初まり祝う細き糸
わかちもつかな繊月の夜

夜空に浮かぶほっそりとした繊月。
この月は、遠い昔いにしえの時から、途切れることなくこのように光り輝いている。いにしえから今に至るまでずっと続いている。
そのようなことをこの繊月の月の光の中で静かに感じている。
儚く尊い  ”自然“  を詠んでいて、とても厳かな気持ちになりました。




勝手に賞についてはこちらに詳しく載っています。
是非ご覧下さい😊






最後に
私からほんの気持ちです💕

ありがとうございました🌸




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