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今週の読書録(2023.12.23)


キッチン常夜灯

「神楽坂スパイス・ボックス」シリーズなど最近は料理が登場する作品が目立つ長月天音さん。
今回の『キッチン常夜灯』は主人公の勤務先も憩いの場も飲食店。
月並みな感想として初めに浮かぶのは、近くにあったら通いたいでしょうか?

夜遅くまで働いて立ち寄る穴場のビストロ。
眠れない夜に、孤独に耐えがたいときに、終電を逃したときに、キッチン常夜灯を訪れる客たちは思い思いに食と空間を味わいます。

バスク地方で修業したシェフが手掛けるのは、本格フレンチメニューや日替わりスープ。
文字を追うだけで美味しさが漂う。
仔羊の香草焼きはかみしめるときの脂とハーブの風味が蘇ってくる。
一味違うアップルパイを深夜にいただく背徳感を越える満足。
中でも数多く登場するスープは、よく知るものから名前だけでは想像ができない日本では知名度の低めのものまで。

ちょっと感じの悪い人かなと思った人物も実はいい人で嫌な人間が出てこないのも気楽に読めるポイント。
仕事で思うようにいかない日や、無力感を感じた日、不条理なことに怒りを覚えた日に手に取りたい一冊。

住宅街の片隅に佇む小さなビストロ、今宵もオープン。

街の路地裏で夜から朝にかけてオープンする“キッチン常夜灯”。チェーン系レストラン店長のみもざにとって、昼間の戦闘モードをオフにし、素の自分に戻れる大切な場所だ。店の常連になってから不眠症も怖くない。農夫風ポタージュ、赤ワインと楽しむシャルキュトリー、ご褒美の仔羊料理、アップルパイなど心から食べたい物だけ味わう至福の時間。寡黙なシェフが作る一皿は、疲れた心をほぐして、明日への元気をくれる――共感と美味しさ溢れる温かな物語。

Amazon紹介より

夜明けのはざま

お葬式や葬儀場を舞台にした小説といえばこれまでにも宮木あや子さんの『セレモニー黒真珠』、長月天音さんの『ほどなくお別れです』シリーズを読了。
町田その子さんの『夜明けのはざま』も葬儀にまつわる物語。

『ほどなくお別れです』シリーズの主人公は身内から葬儀社で働くことをマナーも身に付きそうと応援されている。
『セレモニー黒真珠』は訳ありの人物はいるものの、葬儀社で働くこと自体が好きな登場人物も多いサクッと読めるお仕事小説。
一方、『夜明けのはざま』は設定が地方都市ということもあるかもしれないが、葬儀=忌むべきものという世間的なイメージがつきまとい転職をすすめられる主人公がいる。

家族葬専門ということで大々的に行うことのできない訳あり葬儀も持ち込まれる。
感動の泣ける話系のきれいごとでない終わらない短編連作。
町田さんの作品はこれまでのものも家族関係に何か抱えた登場人物が多い。
今回も親子関係は円満とはいいがたい主人公。

葬儀社の人間や知人友人が亡くなった残された側。
なぜか元夫の恋人の男性の葬儀を手伝うことになった花屋、学生時代の恋人の葬儀の担当は弟の恋人。
葬儀社の仕事に誇りを持ちながらも恋人から転職を要求される主人公、自分よりも不幸な人間を見たいから葬儀社に転職したら暗黒の学生時代がよみがえる社員。
決してハッピーエンドとはいいきれないものの、生きているってそういうこともあるかもね…と思えるストーリー。

誰しもに訪れる死と向き合うことは、価値観を再考すること。
苦悩や悲しみ、疑問、後悔、変えられられない過去。
心を揺さぶる感情を抱え生き続ける。
特殊能力を持つような人物は登場しないし、感動という分かりやすい結末もない。
その分、人間らしい情動が際立つ作品でした。

『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞を受賞!
3年連続、本屋大賞ノミネート!!

自分の情けなさに、歯噛みしたことのない人間なんて、いない。

地方都市の寂れた町にある、家族葬専門の葬儀社「芥子実庵」。仕事のやりがいと結婚の間で揺れ動く中、親友の自死の知らせを受けた葬祭ディレクター、元夫の恋人の葬儀を手伝うことになった花屋、世界で一番会いたくなかった男に再会した葬儀社の新人社員、夫との関係に悩む中、元恋人の訃報を受け取った主婦……。

死を見つめることで、自分らしく生きることの葛藤と決意を力強く描き出す、『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞を受賞した町田そのこ、新たな代表作!

Amazon紹介より

ジェイソン流お金の稼ぎ方

今回は増やす前の原資をいかに稼ぐかがテーマ。
初版5万部とは近年まれにみる大物小説家並みの部数で出版社の力の入れ具合と期待が垣間見えます。

特に年明けに新NISA制度開始を控え、投資に興味があるものの二の押しを踏む方や生活がカツカツでとても投資まではと思う方がターゲットなのでしょうか?

前作に続いて真新しいことは特にないものの、耳の痛い真実がある。
稼ぎたいならば仕事や業界を選ぶことが必須。
稼げるスキルの差別化を考える思考は就職や転職活動にも役立つかもしれない。

もちろん外資と日本企業では差がある点はあるものの、現状に不満があって変えたいと望むのであれば行動は必要。
その一方踏み出すきっかけになるかもしれない一冊。

70万部を超えるベストセラーとなっている
『ジェイソン流お金の増やし方』の待望の続編!

前作は、投資というと怖い・危ないというイメージがあるものの、ジェイソンさんならではのとてもわかりやすく、リスクの低い方法でお金を増やす方法を伝授し、また生きる上でのヒントがつまったものでした。しかし、そもそも投資をするためのお金がない人はどうしたらよいのかに対してこたえる内容になっております。
本書で紹介されているジェイソンさんの経験に基づいて導き出された、お金を稼ぐ力をつける方法“稼ぎ方”のヒントがつまった一冊です。
今仕事をしている人は勿論、これから社会に入っていく大学生やどのような将来を目指そうか考え始めた高校生などにも役立つ一冊になっています。今回も人生の選択肢を増やし、幸せになるために、今読んで、始めてください。

Amazon紹介より

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