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ただのデザイナーが新規事業の責任者を経験した半年と、これから。

転職してクラウドサインのプロダクトデザイナーとして半年ほど業務していたなか、ちょっとしたきっかけで急遽しばらくデザイナーをお休みし、新規事業の責任者として自社のカンファレンス事業を立ち上げていました。

「デザイナーから新規事業責任者」「事業会社でカンファレンスの立ち上げ」…と少し変わった経験について振り返ってみたいと思います。

やっていたこと

「広告売り上げ」と「ブランディング」を目的とした新規事業の責任者として、『CloudSign Work:Change』というビジネスカンファレンスを2回(それぞれハイブリッド、オンライン)半年で一から企画〜実行し開催しました。

新規事業ということもあり、責任者として様々な意思決定を行いながら、社内メンバーが私含めて2名体制だったため企画、協力会社の選定・連携、クリエイティブ監修、営業、収支管理、事務局対応、集客まで実務で全て対応していました。

ざっくり半年間でやっていたこと

わからないことばかり…というより、わかることを探すことが困難なほどに未知な領域を開拓した半年でした。そしてまた、これまでリーダーのような立場は経験してこなかったタイプだったため、責任者という立場に不安を感じたのを覚えています。

それでも結果として、総勢3,000名の方に参加いただくカンファレンスを開催し、一から関係性を築いた13社の企業様にスポンサー協賛いただき、売り上げx,xxx万円規模の実績を残すことができこと。また、社員総会の表彰で社員500名のなかからMVP候補12名のなかの1人として選んでいただき、役員の方々の前で成果をプレゼンをする機会があったことはかけがえのない経験で、自分の中でも大きな自信に繫りました。

半年で最も向き合った「意思決定」

「新規事業の責任者を経験し、何が学んだか?」と問われることが度々あります。知識・経験ともにたくさんのことを学びましたが、一つに絞るなら迷いなく「意思決定」を選びます。

責任者という役割を担いはじめた頃、「意思決定が怖い」と思っていたことをよく覚えています。数ある選択肢の中で核となる指針を決め、それを元に周囲が動く、そして周囲のさらに先の見えない相手まで動かすことになっていることにぞっとしていました。

今は怖くないのか?と問われると、まだ全く怖くないとは言い切れないです。でも、少しでも怖くなくなるために試行錯誤したことで意思決定の見方が大きく変化しました。まとめると、以下4つです。

  • "事業視点"で意思決定する

  • 意思決定するための"基盤を整える"

  • 意思決定を"信じる"こと

  • "どのような立場"でも意思決定が大事

"事業視点"で意思決定する

「事業視点を持って仕事をしろ」というのは新卒の頃から何度も言われてきました。でも当初どうしたら事業視点なのかあまりピンときておらず、ようやく少しわかった気がします。目の前の成果だけでなくもっと「影響範囲」や「時間軸」を広く捉えること、そして「自らの仕事が与える影響」とその「責任を意識する」ことと解釈しています。

意思決定するための"基盤を整える"

より良い意思決定をするためには、かの有名な『イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」』の通り知識の広さと深さが大事だと身に沁みました。知識がないものを意思決定するほど怖いものはありません。デザイナー界隈にどっぷり浸かっていたのを一旦落ち着かせて、マーケティング界隈のコミュニティに参加してみたり、日頃の情報収集をデザインからマーケティングやビジネス関連のメディアに触れる機会を増やしてみたり…そもそものBtoBビジネスをちゃんと理解できていなかったのでキャッチアップも必要でした。そうやって地道にちょっとずつ知識を蓄えることで、意思決定のハードルが下がってきたように思えました。

意思決定を"信じる"こと

一度決めたことを信じるというのは意外と難しく、かつ大事なことだと思えました。絶対的正しい方向性なんてわからないし、毎回正しい方向性に進めるかはわからない。適切な軌道修正も大事だけど、信じた道を信じ抜いて、正解にするために信じてもがくこと。特に責任者は周囲も信じられるように毅然と信じる姿勢を(正直このスキルはまだまだで、上長の揺るぎない自信に助けられました)見せるべきだと感じました。

"どのような立場"でも意思決定が大事

責任者という立場は意思決定をする回数が多いと思います。でも一方で、どのような立場でも日々の業務でどれだけ意思決定に携われるかは自分自信だとも感じました。上司に頼まれた仕事を一つこなすとしても、選択肢を提示して判断を仰ぐのではなく、自分自信のベストを見つけて進言するのでは大きく違い、気を抜かず毎日意識していきたいと身にしみています。

デザイナーとしての経験が活きたこと

カンファレンス立ち上げをしている中で、果たしてデザイナーとしての経験を役立てているのか?と疑問に思うこともありました。でも、改めてじっくり考えるとデザイナー経験があったからこそ無意識的にできたことがたくさんあるように思います。

0→1の考え方

0から何かを発想することにおいて、デザイナーは特に慣れている職種だと感じました。何もなくても、何かのカケラを集めてストーリー化することが基本の思考パターンとして習慣付いていることに気づきました。カンファレンスのテーマを考える時に(今回の事業は既存製品/メディアとは離れていたため、テーマもターゲットも0から考え軸を作る必要がありました)、まず会社が大事にしているDNAを読みこんだり、持っているアセットを分析したり、近しい領域の事例を並べては共通点を探り、結びつけられるものはないかと発想を広げていました。

カケラを拾い集めて、核を見つける

「プロトタイプ検証」と「ヒアリングによる企画修正」

デザインを作ってみては検証し、それをもとに壊して修正するを繰り返すことと、企画を作って営業/ヒアリングして反応をみて修正していくことは似ていると感じます。0から何かを企画する上で、顧客に響く100点をいきなり目指すことは現実的ではありません。筋の良いと感じる方向性を小さく作って当ててみて、修正していくことで100点に近づくことができると実感しました。営業をしていて、初めの方は結構苦戦することも多かったです。でも苦戦するたびに、提案の仕方や内容を修正していくことで角度が上がっていき、2回カンファレンスを開催した中でも2回目は売上・集客ともに2倍を達成することができました。

広告売上とブランディングの両立

とても悩んだポイントです。売上にコミットすることは絶対という状況下で、どこまでブランディングに踏み込めるかはずっと課題でした。正直もっとこうしたかった、がたくさんあるポイントでもあります。

それでも一番大事にしたかったのは、原点に立ち返りシンプルに「参加者が仕事に直結する知識を得られること」と「スポンサーが受注につながる顧客接点をもつこと」の最適な出会いを追求することでした。

ビジネスカンファレンスは通常のセミナーでは受講するきっかけがなかった新しい分野を知れたり、関連分野を異なる立場視点から比べることができたり、同じ課題を抱えるビジネスパーソンとつながるきっかけになったり…私自信度々参加しますが、毎度わくわくしながら当日を待ち望んでいます。

そのシンプルな価値を追求するためには適切なターゲットを集めるために、登壇者選定にこだわったり、イベントサイト等クリエイティブでメッセージを強調したり、集客経路の選定や訴求方法どれもこだわりを持っていました。

デザイナーに戻ると決めて、これからやりたいこと

ビジネスカンファレンスの立ち上げが一旦終了し、現在は先日ローンチを発表したばかりの会議改革事業『MeetingBase』のデザイナーとして携わることになりました。

ビジネス側に残るか、デザイナーに戻るか

未知な領域で責任者を経験し、どのような領域でもとりあえずなんとかできるという自信を得ることができました。でもその中でもやはり、デザイナーという立場に改めて身を置いてやり遂げたいことがたくさん思い浮かびました。

モチベーションは人によって様々ですが、私にとっては目の前の仕事がどれだけ面白く価値を感じられるかです。

ビジネスxデザイン領域でやり遂げたいこと

MeetingBaseはスタートアップフェーズのため、まだ顧客ニーズも潜在的で価値そのものを顧客と共に切り拓いていく段階です。ここ数ヶ月事業に携わるようになり、初期メンバーがどれだけ強い思いを持って"会議"というドメインを変えたいかを感じ取り共感しています。

「事業ビジョン→ユーザ行動変化」を実現するためには乗り越えない壁がたくさんあり、それらを滑らかに繋ぐことが今やり遂げたいことです。「認知→ナーチャリング→営業→利用開始→CX」の分断させないために、ビジネスサイドとプロダクトサイドいづれにも属し、一貫した課題に対してそれぞれアプローチできるよう課題発見と解決策の実行まで、これまでの経験を活かして役割を超えて取り組んでいきたいと思います。

最後に

長いnoteになってしましましたが、読んでくださりありがとうございます!「ビジネスxデザイン」「プロダクトxマーケティング」「新規事業のグロース」などの領域に携わっていたり共感いただける方、ぜひお話しさせていただけますと幸いです。(X:@haru_saame


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