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夜這いされ(かけ)た話②

①の続きです。

もちろん私は私の身に起こったこと全てをできるだけ正確にみんなに伝えようとしました。

あとは、犯人の顔を見たわけではないから、100%と確信できるわけではない、ということも合わせて。

でも私の証言からはAさん的には私の仮説でほぼ100%間違いなさそうだ、と結論づいたみたいでした。(正直私もほぼほぼこの人以外可能性は薄いなとは考えていました。)

でも、なんだか私の周りが私の想像していた以上に物事を深刻に受け止め、解決しようとしてくれるその姿勢に逆に慌ててしまった私は、

昨夜起こった出来事は本当に起こったのだろうか?
本当は、全部夢だったんじゃないだろうか?

というような感覚に陥り、話しているうちに、だんだん自分の証言に自信が持てなくなっていきました。

しかも、その犯人候補は「自分はしていない、もししていたとしても、覚えていない」と言ってきていたんです。

そして、もしそれが自分のしたことなら謝る、と。

でもこれは話し合いのかなり最後の方の出来事で、それまでの彼はヘラヘラと笑い、とぼけた顔をしていやいや、私がそんなことするはずないでしょ、というような態度でした…。
ちなみに彼は6人も子供がいて、年齢的には40〜50くらいです。

彼は昨晩結構な量のアルコールを摂取していたので、酔っ払って覚えていなかった、という可能性はゼロではありません。

ですが、嘘をついて、覚えていない、ということだって可能です。

でももしも、彼が本当に無罪潔白だとしたら?もしかしたらこの出来事のせいで彼の人生が変わってしまうかもしれない…。

私の頭の中ではそのような思いや考えが、ぐるぐると渦巻いていました。

何より、身体を触られたと言ったような実質的な被害を受けていなかった私は、本当は夢だったかもしれない、という方の不安が大きくなってきていました。

その不安を正直に話すと、そこを救って(?)くれたのが一緒に寝ていたカンボジア人の女の子でした。

彼女は私の唯一の証人でした。彼女が起きていて現場にいたことで、そうだよね、これは現実で私の身に起きたことなんだよね、と自分に言い聞かせることができました。

実はその後、人が入ってきたというのをもう1人のAさん率いるメンバーである男性も見ていたということが発覚しました。

もしそうでもなければ、想像以上に深刻な事態になってしまったことにビビり、私はこの出来事をやっぱ夢だったかもしれない、で終わらせていたかもしれません。


もし私以外にも似たような被害にあった人がいて、証人もいなかったとしたら?

本当は起こってしまったこと、被害者、加害者、全てなかったことになってしまう、ということが起こりうるということです。

そして被害者はなんとなくモヤモヤとトラウマを抱えて生きて、加害者は同じ過ちを繰り返す。

こんなことが起こってしまうかもしれません。


日本社会ではまだ、私くらいの被害だと、なかったことのように扱われてしまうことも多いのではないか?と私は考えています。

相手は酔っ払っていたし、覚えていないといっているし、何よりも悪かった、と謝っているんだ。あなたも特段何かされたわけでもないし、今回は彼を許してやりなよ、と。

被害者の方をまぁまぁとなだめる、というパターンになりそうな気がします。


でもAさんとそのメンバーは違った。断固として被害者である私と私の権利を守り抜き、加害者と思われるその人がどうするべきか、そして今後の対策、アクションを考えることに注力してくれたのです。

ここまでしてくれるんだ、と驚きの気持ちがけっこう大きかったのですが、きっとこれが社会が求めるべき正しい姿勢なのだろうな、とも感じました。

もしここで被害者である私が、何もされてないし、もうそこまでしなくていいよ、と言ってしまったら、彼女たちの真摯な対応を無駄にしてしまうことになる。

そして何より、私以外に今までこのような被害にあった人たち、そして未来の被害者になってしまうかもしれない人たちを守るためにも、私自身がここでひよってはいけないと感じました。


そこまで重大なことではない(と私が考えた)ことで彼の人生が変わってしまうかもしれないことへの申し訳ないという思いもありましたが、私は今後の被害をなくす、被害に遭ってしまった人が正しい対応をされる未来のために、自分の証言を曲げることをしませんでした。
そして、大したことではないし、そこまでする必要もないよ、と言うこともしませんでした。

後日、Aさんはこの今回の出来事についてさらに動いてくれており、きちんと正式に届出までしてくれたことがわかりました。
(どこに届け出たか?というところは忘れてしまいました…。)

それもあり、今回犯人だと思われた人は職を失う可能性があります。でも、彼が解雇されない限り、今後Aさんたちも彼らと仕事をしない、という姿勢を貫いていました。

Aさんの他に、2名の女性スタッフがいる中で、彼のような人を働かせ続けるような組織とは安心して働けない、同じ過ちを繰り返させない、というAさんの思いからでした。

もし自分があの場にいなかったら、Aさんも彼らと問題なく仕事を続けられたかもしれないという思い。

でも私が引き下がったら未来の人たちを守るための正しいアクションではない。

Aさんたちにここまで色々してもらい、時間と労力をかけさせてしまい、私さえ被害に合わなければ彼女たちがしなくてもいい仕事を増やさずに済んだかもしれないのに、という思い。

私が彼をその気にさせてしまうような言動をとったつもりはないけど、もしかしたらそんな言動をしていたかも、という思い。

こんなの大したことないから私は全然平気なのに、という思い。

証人の存在の大切さ。

あなたは絶対に悪くない、という声かけの大切さ。

犯人かもしれない人がFBの知り合いかも?のところにいてどうしようもなく不快な気分になったこと。

こんなの大したことないし、なんのダメージもない、と思っていたのに、なんだかその人に似た人を見るだけで嫌悪感をいだいている自分がいること。


でも、最後にAさんチームメンバーの1人に、

「あなたは誰に対してもフレンドリーに振る舞っていたけど、それで何か今回のようなことをしてくる人はいなかったはず。だからあなたは全く悪くないんだよ」

と言ってハグしてくれた時には本当に救われました。

同じようなことを話し合いの中でAさん含め言ってくれていましたが、最後の最後にもう一度言ってくれたことが本当に心にしみました…。


いろんな思いが私の中にあって、整理がつかずにめちゃくちゃな文章になってしまいましたが、ここで私が一番伝えたかったことは、

Aさんとそのチームメンバーが、毅然とした姿勢で私の身に起こったことを深刻な事態として受け止め、そして適切な対応をしてくれたこと。

被害者である私の権利を守ろうとしてくれた姿勢。

問題をなあなあにして終わらせず、その後のアクションについてもきちんと話し合い、そして具体的に動いてくれたこと。

これらが本当に大切だということです。

あとは、被害者自身が自分の身に起こったことをなかったことにしてしまわないこと。

そして被害者にそう思わせない周りのサポートが必要だ、ということ。



私の書いた下書きの文章はここで終わっていました。
たぶんまだ書き途中だったし、誤字脱字などもあるけれど、ほぼほぼ書き終わってる感じもするので、今更ながら公開しようかなと思います。
どうか、同じような経験をした人が自分を責めることがありませんように。


執筆日:2021/10/08
加筆日:2023/03/31

はる




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