見出し画像

高いベースと安いベースの決定的な違い

先日、8,000円のベースでライブに出演したときの話です。

※このnoteは、格安ベースおよび特定のメーカーを貶める目的で書かれたものでもなければ、アフィリエイトサイトのように格安ベースを礼賛するものでもありません。ベーシストとしての経験に基づく、一個人の見解です。


8,000円の格安ベースでライブに出てみた

サポートでベースを弾くライブ当日、スタジオで自分のベースを取り出したら、スイッチが壊れていて音が全く出ない…

壊れたスイッチは近くに売っていないし、そもそも悠長に直す時間もない。しかも僕は左利きだから、対バン相手にベースを借りれない…

仕方ない、ベースを買おう。近くに2nd Streetがあったはずだから、そこで左利き用のベースを探そう。

というわけで、ダッシュでベースを探しに行きました。そして、お店にあった唯一の左利き用ベースがこちら。

画像1


激安初心者セットで有名な、Legendのジャズベースです。税込8,690円。安すぎます。

そしてLegendのジャズベでライブ出た際の写真がこちら。

画像2


カメラマンさんの腕のおかげでもあり、格安なのになかなかイケてますね。胸元から覗くどうぶつの森のリチャードも、ご満悦の表情です。

ライブそのものは、上手くいった方だと思います。少なくともベースに関して、大きな事故も起こらず終わりました。

でもやっぱり格安ベースなんだな、と思う箇所はいくつかありました。


格安ベースの特徴3つ

格安ベースを弾いたのは、実は初めてではありません。僕の人生初のベースは、楽天市場で最安値だったSELDERの初心者セットでした。そこから徐々にグレードも上がり、最近は20万クラスの1本をメイン機として使っています。

色々な経験を積んだ今だからこそわかる、格安ベースの特徴3つを記します。

①ピックアップの当たり外れがある

経験則ですが、安いベースほどピックアップに問題があることが多いです。
僕が実際に経験した事例を挙げると、リアPUだけノイズ処理されていない、片方だけ出力がやけに低い、ピックアップと線のハンダ付けが甘い、などです。

今回使ったLegendのジャズベも、リアPUに問題がありました。原因はわかりませんが、リアPUのボリュームを上げれば上げるほどミドルが不自然に引っ込み、フレーズの輪郭がぼやけてしまうため、まともに作動するフロントPUのみで演奏していました。


②全体的に仕上げが甘く、弾いてて痛い

これは意外と深刻な問題です。
例えばブリッジのネジが飛び出ていて刺さる、ネジも切りっ放しで尖っている、フレットの端も尖っていて、グリッサンドするたびに手が痛い、などなど。

弾いていて手が痛くなるのは、意外とストレスです。痛くないように弾くこともできますが、それに脳の容量を取られてフレーズやリズムを外したり、無駄に険しい顔でステージに立つのは、個人的には避けたいことです。

③音の響きのレンジが狭い

①と②に関しては、ピックアップ交換やヤスリがけなど調整すれば、自力でなんとかできる問題ですが、レンジの狭さは自力での解決は難しいです。

「レンジが狭い」とは「倍音が鳴らない」と言い換えることができます。

特にロックバンドでベースを弾いているなら、身体に響くような低音(特にUltra-Lowと呼ばれる〜40Hzくらいまで)が響かなければ、バンド全体に迫力が出ません。低音が美味しい感じで厚く出づらいのは、かなり致命的です。

普段であればEQツマミは基本的に全部12時ですが、今回のライブでは、アンプ側でLowをかなり持ち上げ、逆にアタックが出過ぎたのでHighを削りました(写真参照)。決して悪い音ではなかったですが、あくまで応急処置ではありました。

画像3


格安ベースの可能性

逆にいいところもあります。それはやっぱり「安いこと」です。

今回も困ったときに、約8,000円という最低限の出費でライブに出られて助かりました。

ちなみにライブ後、同じ2nd Streetに売りに行ったら、4,200円で売れました。所有期間はわずか6時間でした笑

プレイアビリティと音は良くないかもしれませんが、改造の練習台に使えたり、傷つきやすい場面での使用に使えたり、安いからこそできることもあります。

また安いながらも「当たり」のベースと出会うことも、稀にあります。しっかり調整すればストレスなく良い音を出せて、なかなかお得感がありますよね(ちなみに僕がレコーディングでも使うプレべはメルカリで2万円で買ったものですが、超当たりでパワーと歯切れの良さを併せ持った好きな1本です)。

値段がいくらであろうと、しっかり選び、しっかり調整すればいい音を出すことは可能です。逆に値段が高くても、音もプレイアビリティも悪いベースはあります。

その目利きと調整のポイントを知るためには、本当にいいベースも、本当に悪いベースもどちらも知ることではないでしょうか。成長するには、清濁併せ呑むことも大切です。

弘法筆を選ばずとは言いますが、弘法だって筆を選べるなら書きやすいものを選びます。
筆を選ぶのも能力のうちだなと、そう思った経験でした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?