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理想のかぞく、現実のかぞく。

今日は、映画『his』を見に行った。

公開前から気になっていた映画で、レビューも読まず見に行ったのだけれど、一言では表すことができないなんとも複雑な気持ちになった。

というのも、やっぱり理想があたかも現実かのように描かれてしまっていたから。理想のかぞくの形が、現実のような世界でこんな簡単に受け入れられているのを目にして、違和感違和感違和感…の連続だった。もちろん自分の理想だから、現実になって欲しいのだけれど、今の現実で実現しないから「理想」であって、その二つが交差するとこんな複雑な気持ちになるのか…と実感してしまった。

以下ネタバレ。

特に日本の田舎で、小さいコミュニティ全員の前でカミングアウトするシーン。「年取ったら女も男もわからなくなるし関係ないわ!」みたいな感じで結局みんな何事もなくゲイカップルの2人を受け入れるのだけれど、これはなかなか現実的ではない気がしてしまった。

「ゲイ」や「同性愛者」、そんな言葉を知っている人は確かに日本でも増えてきているかもしれない。でも、「知っている」と「価値観を変える」は全く別物。目の前にいる仲良しの友達やたった今すれ違った人が、自分とは違うジェンダーやセクシュアリティだと考えているか、と言ったら多分答えは「NO」。なぜなら、「多様性大事だよね」と言いながら、まだまだ彼氏や彼女を作ることが正しくて、それが社会ステータスの一部で、異性カップルと子供という組み合わせが"みんな"の理想のかぞくだと思っている人がほとんどだから。その社会や教育で長年植えつけられてきた価値観を変えるのは、本当に難しい。そして、自分と少し違う価値観を受け入れることはさらに難しい。だから私は、ずっとずっと探し続けているのかもしれない。様々な価値観をもつ人々が、言葉上ではなく実際に社会で共存していく方法を。

実際、先月山梨の実家に帰った時、改めてこのような「現実の壁」にぶつかる経験があった。

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