【レンアイ観】

『いきあたりばったり』掲載作品。一部修正があります。

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恋って、綿菓子みたいなイメージがあるの。
ふわふわふわふわ。
甘いオーラをまとって現れるの。
でも、その綿の中には鋭いとげが潜んでいて、ちくちく刺してくるの。
だから思わず、痛い、って、泣いてしまうの。
でもあの人は気が付かないの。
私がなんで泣いているのか。
恋なんかもうしないって、恋するたびに思ったの。
もうこりごりだって。
もう傷つきたくないって。
逃げだと思われてもいいの。
恋なんてしたくないの。
毎回思うのに。
でも、いつの間にか、また誰かを目で追っているの。
それが恋なのかまだ分からないけれど、話してみたいなって思ってしまうの。
そうして魅かれていくの。
そうして一緒にいたいと思ってしまうの。
でも、再びふくらんだ綿菓子には、
またとげが混ざって、
ちくちくちくちく。
刺さるの。
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恋って、試合みたいだと思う。
自分の調子のいい時はものすんげーうまくいくんだ。
でも、調子の悪いときは、ダメだ。
びっくりするくらいかっこわりぃ。
好きな子の前では見せたくない馬鹿な俺がでる。
好きな子の前でくらい、ヒーロー、でいたいんだ。
王子様なんて柄じゃねぇけど、でも、その子の笑顔が見たいんだ。
そのために俺はいくらでもバカやるし、無茶もする。
その子の笑顔が見れたら勝ちなんだ。
その子を泣かせちまったら負けなんだ。
女の子ってのはがさつに見えても繊細で。
びっくりするくらい小さいんだ。
俺より身長の高いやつも小さいんだ。俺より。
それが、男と女の違いなのだとしたら、俺は、強くなりてぇ。
守ってやりてぇ。
偉そうかもしれねぇけど。
実はビビりで、
夜中のトイレが怖いて思っちまうけれど。
それでも、好きな子の前でくらい、”漢”でいたい。
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恋なんてばかばかしい。
学生のうちの恋愛なんて所詮遊びじゃないの、って思ってしまう。
あたしは、付き合ったことがないわけではない。
いい経験になったし、それなりにいい思い出だ。
でも、結局別れた。
そんなもんなんだって。
ずっと一緒にいれるのなんてほんの一握りなんだし。
そう思ったら、本当に、恋愛が分かんなくなった。
だから、あたしは恋愛ってばかばかしいって思うの。
考えてもわかることじゃない。
数学みたいに完璧な答えなんてない。
考えても結局わかんないんだったらもういいかなって。
だから告白をされても困るの。
恋愛感情って結局何なの?
付き合って、どうするの?
お互い触れ合って、どうするの?
わけが分かんなくなったの。
結局ゴールは何?
もちろん、学生の恋愛を馬鹿になんてするつもりはなくて。
むしろ羨ましい。
そうやって、お互い信じあえるのが。
あたしにはできないや。
相手を信じきれない。
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僕は今、恋をしている。
相手は、同じクラスの女の子で。
成績良くて、みんなに囲まれて、つまり、人気者で
……かわいくて。
彼女を見ると心が少し重くなるんだ。
小説とかだと「締め付けられる」って表現されるけど。
締め付けより、重くなるってほうが僕には合ってた。
よく話すほうじゃない。
むしろ話さないほうだ。
彼女がほかの男子と話してる時にちょっと混ざるくらいしかできない。
僕はそれでも幸せだと思うからこれ以上にも以下にもなりたくないって、この状況に甘えてる。
だって告白したとしてもどうすればいいのさ。
お互い気まずくなりたくないし。
そりゃ、デート行ったりとかしてみたいけど、ぶっちゃけ友達のままでも遊びにくらい行けるじゃん。
あぁ、でも、彼女に彼氏ができるのは嫌だなぁ。
僕は勇気がないんだ。
彼女を幸せにする自信もない。
不安ばっかで、でも、一緒にいたくて。
わがままなんだ。
まだお子様で。
彼女ともっと話したい。
笑ってる顔を見たい。
焦がれてる。
でも、周りにばれないように。
ばれたら広まって、彼女の耳に入るかも。
それも、なかなかに恐怖だ。
そして僕は今日もおはようが言えずに、
ちょっぴり重くなった心は、
落ち込むんだ。

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