見出し画像

『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』を読んだ藝大卒の感想と思い出

おはようございます!

ともです。今日は、『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』(二宮敦人)の書評を中心に体験や感想を交えて書いていきたいと思います。

https://a.r10.to/hIpPcd

このnoteでは『アートリテラシーを高めて豊かな人生を目指す』をテーマに発信しています。

↓アートリテラシーってなに?という方はこちらからどうぞ

私は2013年に東京藝術大学日本画専攻を卒業しました。3浪したので卒業する頃には、25才でした。卒業して教師になり、2年が経った頃に『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』(二宮敦人)と出会いました。

自分が天才だとは全く思わないのですが、この本に出てくる登場人物は私の記憶の中の藝大生と重なります。冒頭で出てくる大学生協では確かにガスマスクは売っていますし、私も買いました。日本画科でガスマスクを買った人は割とレアなんじゃないかと思いますw

不思議の国「藝大」

藝大は美術学部と音楽学部の2つに大きくわかれていて、それぞれ”美校・音校”と呼ばれています。美校には油絵・日本画・彫刻・建築・デザイン・・・などがあり、音校にはヴァイオリン・ピアノ・声楽・邦楽・・・などなどがあります。

各学科にはそれぞれかなり特徴があり、人となりを見ていれば大体の学科は判別できるほどです。この本にも数分も見ていれば美校・音校の差はわかるようになると書かれていました。

藝大は非常に人数の少ない少人数な大学です。各学部の人数は美校・音校合わせても2千人ほどしかいないそう。学科ごとに分けるとより少なさが実感できます。例えば指揮科の入学定員は、1学年たったの2人。美校では、建築科で15人、彫刻家が20人、日本画科も20人。おおむね10人から30人ほどの学科が多いです。

そのせいか、人間も非常に濃ゆい人が多かったと思います。単純に見た目から表現者オーラに満ちている人もいれば、一見すると普通なんですが、作っているものや考えていることがぶっ飛んでいたりと、なかなか刺激的な毎日でした。目の上から牙が生えている人や脇毛を髪と同じピンクに染めている女性など、あげればキリがないですね。私?私は普通でしたよ?たぶん。

「藝祭」は流血もいとわない

本を読み返していて印象深く、思い出深いところが藝祭です。

藝大の学園祭は『藝祭』と呼び、学生たちの総力を上げて盛り上がりに貢献する。私は宮城県から受験勉強のことしか考えずにひたすら藝大を目指していたので、藝祭がどんなものか全く知らずに入りました。

本書にも書かれている通り、まず目玉になるのは神輿です。美校・音校の中から1学科づつセットで合同で神輿を作ります。日本画➕邦楽とか、工芸➕楽理とかそういう感じです。

それぞれの持ち味を尽くしてハイクオリティの神輿を作り、パフォーマンスを行います。You Tubeなどにも映像が出てますが、本物の迫力はすごいです。特に彫刻家や工芸科の作品は立体感や迫力がすごいので見応えあります。法被なども科によって違うデザインのものをそれぞれで作ります。

ポスターやパンフレットなどはデザイン科の生徒が作ります。なにからなにまで手作りなんですが、ハイクオリティというのがすごいところかと思います。しかも生徒数は2千人しかいないので、1人1人のポテンシャルの高さが伺えますね。書いていて思い出したのですが、運営の殆どは入学したての1・2年生が行うわけなので結構驚きかと思います。

藝祭の最中にはサンバ部による演奏があり、めちゃくちゃ盛り上がります。最後のステージでは、ライブやミスコンの後、サンバが始まり途中から人がステージ上にどんどんと登っていきます。そして突き落とされていく!

先ほど書いた目の上から牙の生えた人は、牙をどこかにひっかけて流血したのか血塗れで躍り狂っていました。みんなそんなの知ったこっちゃない、むしろ盛り上がってましたね。毎年異様な熱気に包まれる魅了的なお祭り、藝祭は学内展示なども普通に充実しているので是非一度行ってみてください。

『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』(二宮敦人)

https://a.r10.to/hIpPcd

今年はコロナウイルスの関係で中止のようですね、9/4~6にWeb上で「バーチャル藝祭」というのを行うようです。覗いてみてはいかがでしょうか?

https://www.geidai.ac.jp/news/2020042887988.html


それではまた!




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?