【現在地】作品で作品を作ることの限界
作品と商品は違うものであることを理解していなければならないと思っています。
これは前からぼんやりとは分かっていて、実践もしていたのですが、はっきりと言語化されたのは西野亮廣さんのvoicyがきっかけです。
作品と商品の違いについてしっかり認識していなかったなと思います。それぞれを定義する必要があります。
作品の定義
「芸術的な成果物」
商品の定義
「売買を目的としたもの」
それぞれこう定義してみました。どちらが良いという話ではありません。クリエイターの目線から見るとこう分けるべきだという話ですね。
作品の売り上げで作品を作ると作品が作れなくなる。
作品がヒットしなければ作品が作れなくなる。
つまり作品を作り続けるにはそのための資金を用意する仕組みが必要になる。もっというと時間も必要である。
作品にマーケティング要素が入り込んだ時点でその作品は制作者の意図100%で作られたものではなくなる。
ラジオではこのように話されていて、非常に共感しました。ここまでに一部私見も入っていますので、元ネタに興味のある方はこちら↓
https://voicy.jp/channel/941
ここからは実体験を踏まえて書いていきます。
私は絵画を描いています。ジャンルは現代アートです。東京藝大を卒業後、ドイツ留学を経て今は高校の美術教師をしています。
学生時代初期はただひたすらに作って表現することに腐心していました。2年生の中盤あたりでこのままでは絵を描き続けていくのは難しい、何者かにならなければと公募展・コンクールに応募するようになりました。
また、企業や財団の主催する奨学生プログラムにも応募し、ありがたいことに2つほど合格をいただき多大な支援してもらいました。
学生時代は行動すればするだけ面白いほど結果が出ました。この調子で世界に挑戦だ!結果を出して売れるぞ!
・・・と思っていましたが世の中そう甘くはありませんでした。
在学中から1年間ほどドイツ語の勉強に励み、学部卒業後ドイツに留学しました。ドイツでは大学に入り直し、7年間はドイツで過ごすぐらいの気持ちでいました。
しかし、ドイツ留学期間中に応募した作品は軒並み落選、大学も不合格、レジデンスも不合格で思っていたような成果はありませんでした。
惨敗!って感じですね(笑)
頭の中に描いていた理想のゴールと目指すべきゴールがずれていたのもあり、日本に帰ることにしました。
前置きが長くなりましたが、ここまでは純粋に作りたいものを作ることでやってきたわけですが、ついに作品で作品を作ることが厳しくなってきました。
今思えば、学生というのは非常に恵まれた環境だったと感じています。大人や企業からも暖かい応援の目で見られるし、大学も支援してくれる。動けば結果はついてくると思います。
しかし、学生を出た後の世界は厳しい。
何が厳しいかって世の中のニーズに合っていなければ評価は得られないこと。
もはやこれに関しては「運」だと思います。自分の感性・感覚・才能含めて「運」ですね。
「いやいや言い訳すんなよ!」
という言葉は自分に何度もかけて検証してみましたが、やはり「運」だと思います。
じゃあ諦めましょう。
という話ではなくて、作品で作品を作るのではなく、その基盤を別に作って作品の資源にしようとしました。それで教師の職に就きました。
しかし、教師というのは想像以上に忙しく、通常業務以外にも仕事があることが多々あります。しかも年々増えていく。最初の4年くらいは給与から作品を作るために投資してきましたが、、、
ハイリスクローリターンという言葉で伝わるでしょうか?
全然苦労に見合ってない、そう感じました。しかも少ない時間を無理くり捻出するので不健康です。クオリティも満足に上がらないのに締め切りがやってきます。この負のループに耐えられず、コンクールには今後出さないと決めました。
コンクールは、そもそも審査員の価値観で評価されるためルールもわからないゲームに参加しているようなもの。同じ作品でも賞をもらうこともあれば落選だってありえるのです。そんな博打に毎回15~20万近く払い続けるのは無駄だと思いました。
それを「逃げ」だと思う気持ちもあり、なかなか止められなかったのですが、今でははっきりと止めてよかったと思います。
それで今はどうしているかというと、noteを書いています。ここが現在地です。いまでは家族もできて守るものもあります。それでも作品を作ることは私の軸なので止めることはできません。
ただ表現の方法にはこだわりを捨てつつあります。それがnoteやTwitterのSNSを使い始めた理由であり、投資を始めた理由でもあります。そして、これからは自分の商品を作る予定です。
人生を豊かにするには、お金とアートの両方が必要というのが今の私の結論です。
お金は大事で、お金のことを考えて色々と勉強していたら、結局アートに戻ってきました(笑) なにかの呪いのようですねw
これは世の中のあらゆる人にも言えると思っています。アートに限りませんが「人はパンのみにて生きるにあらず」。
なのでこれからもアートリテラシーを高められるような情報発信をしていきたいと思います!
ではまた!
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