浦島太郎は宇宙に行ったのか、それとも六道に行ったのか


前書き

現在もギリシャ神話の『時代』について目下執筆中ですが、そんなんばっか書いてると飽きるので別のお話も書いてみる。
日本昔話でお馴染みの「浦島太郎」について

浦島太郎

浦島太郎は、釣りに出かけたところ浜で子供達が亀をいじめているのを発見した。
その亀を助けると亀がお礼に海底の竜宮城に連れて行ってくれる。
竜宮城では乙姫が太郎をもてなす。
しばらく楽しんだのちに太郎が帰るというと乙姫は「決して蓋を開けてはならない」と伝え玉手箱を渡す。
太郎が浜に帰ると地上では数百年の月日が経過し太郎を知る人は誰もいなかった。
太郎が忠告を忘れて玉手箱を開けると白い煙が飛び出て、太郎は白髪で皺だらけの老人になってしまいました。
という感じの流れ。たぶんこれはトゥルーエンド。ハッピーエンドは竜宮城でそのまま過ごすことかな、分からんが。

浦島太郎の大きな謎

細かいこと言えばなんで亀に乗ってったら水中で呼吸できんのとか、乙姫って誰やとか、釣りで魚は食うのに亀は助けんのかこの偽善者めとか色々ある。
しかし一番気になる点は、竜宮城で過ごした日時と地上での日時が合わないという点になると思う。
そんなに長いこと過ごしたのか?でも数百年も過ごせるのは人間としておかしい、などストレートな理由を探すのは物語だけでは難しい。

よく聞く「ウラシマ効果」による時間差

「ウラシマ効果」って聞いたことありますか?

無い方向けにさらっと説明すると、「高速で移動しているものは止まっているものに比べて時間の進みが遅い」という理論を指したもの。
軽く見直したらちょうどJAXAのサイトにはウラシマ効果について書いてあったので引用する。

宇宙旅行から帰ってくると、地球上では何倍も時間が経過しているー。SF作品などで見るこの現象は、「高速で移動するほど、止まっているものより時間の進みが遅くなる」という特殊相対性理論に基づいたもので、「ウラシマ効果」とも呼ばれる。また、一般相対性理論に基づいた「宇宙空間では、重力がある惑星上より時間が早く進む」もまた、実証済み。「はやぶさ2」が宇宙を旅した6年間をこの2つの相対性理論から検証したところ、「はやぶさ2」の方が地球上より0.4554秒時計が進んでいたことが明らかになった。

https://fanfun.jaxa.jp/jaxas/no087/02.html

この理論にのっかると『浦島太郎は亀型の宇宙船に乗ってリュウグウ星に宇宙旅行に行った』ということになる。
宇宙船タートル号って聞くと宇宙海賊コブラが最初に出てくるけど、多分本件には関係ない。

わりと浦島太郎の話するとこちらの説がポピュラーになってて、色んな人に「知ってる知ってる、宇宙旅行なんだよね」と返されるのだが、実は私は例として挙げてるだけでこっちの説は推していない。

なんせ浦島太郎の話が成立した時にこの理論を作ったアインシュタイン生まれてないですし。

はる推し説 六道跳躍

『六道』ってご存じでしょうか?

仏教には人間たちが住む「人間道」以外にも様々な世界があって、それらが6個あるので総称して六道(あるいは六趣)と呼びます
人は悟りを開かない限り、死した後に生前の行いによって六道のどこかに転生します。
悟りを開ければ六道の輪廻から外れ極楽浄土に進むことができると言われています。
六道はそれぞれ以下に分かれます。

天道(てんどう)

天道はもっとも苦痛の少ない世界となっていて、あらゆる楽しみがありますが、迷いや悲しみも存在する世界です。

人間道(にんげんどう)

人間道は我々人間が普段住む世界で、楽しみや苦しみもありますが、仏の教えを学べるので悟りの世界『極楽浄土』に進むことが出来ます。

修羅道(しゅらどう)

阿修羅が住む殺戮と争いの世界が修羅道。怒りと苦しみに溢れた世界ですが、棲むものたちはみな欲望に身を任せているのでストレスはなさそう。

畜生道(ちくしょうどう)

畜生道は動物の世界。でも『どうぶつの森』ほど穏やかな世界ではなく、弱肉強食が基本の世界で常に不安を抱えたものしかいない世界。

餓鬼道(がきどう)

餓鬼道の餓鬼ちはおなかの膨らんだ小さな鬼のことで、いつも空腹と飢えに苦しんでいます。これは餓鬼が食べても食べても食欲が消えないためです。嫉妬や欲に溢れた世界で一度餓鬼道に転生されるとここから出るのは難しい世界となっています。

地獄道(じごくどう)

六道の中でも最も過酷な世界が地獄道です。地獄ではさらに8つの階層に別れてますが、もっとも浅い階層ですら抜け出るのに500年、人間界換算で1億年かかります。

お分かりいただけたであろうか?

ここまで六道の説明をつらつら書きましたが、勘の良い方なら伝わったはず。
浦島太郎に話を戻します。

浦島太郎は竜宮城で楽しんだのち寂しくなって元の浜に戻ったら自分感覚より時間が経過していた。

ということでした。
また六道の地獄道では『抜け出るのに500年、人間界換算で1億年かかる』とあります。
そうです実は六道はそれぞれで時間間隔が違います。

つまり仏教の教えである六道の考えに沿って浦島太郎を考えるとこうなります。

浦島太郎は亀の案内で天道にある竜宮城であらゆる楽しみを味わうが、故郷への郷愁を感じ迷ったが帰ることにし、元の浜に戻ったが天道と人間道では時間の間隔が違うため予想より月日が経過していた。

というお話だったのさ。
輪廻を介さず他の六道に行く方法があったのか地獄先生ぬ~べ~くらいでしか見たことないので、もしかしたら浦島は浜辺で一度死んでしまい天道に行きまた輪廻の輪に乗って人間道に帰ってきたというパターンもあるかもしれませんね。

あとがき

浦島太郎の元ネタは万葉集や日本書紀にすでにこの話に似た話があったのですが、今回は分かりやすく現代に一般的に伝わる昔話を参考に組み立てました。
日本書紀などの上代の文献に描かれている浦島太郎は竜宮城ではなく、黄泉の国だったりに向かう話なのでより一層別世界への跳躍だったのではないかと思われます。

昔から仏教の輪廻転生の話は日本人には馴染み深い話なので、浦島太郎の時間間隔が違うという話も相対性理論が生まれる以前でもすんあり受け入れてたと考えられます。

あと書いてて思ったのは地獄道の話はもっと細かく書けるから、またどっかで書きたい。
一番深い無間地獄とか宇宙再生するレベルで脱出に時間かかるとか。もうグレンラガンの世界。

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