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知ることは想像力につながり、想像力はやさしさにつながる|食と農のもやもやゼミを振り返って

今年、新しくはじめたことの一つに「食と農のもやもやゼミ」という、友人らと月1くらいで開催しているオンラインの勉強会がある。なんとなく始まったことだったけど、とっても意味のある場になったと思っているので、振り返りつつちょっと紹介したい。

きっかけはコロナで盛んになったフードレスキュー

3月頃から新型コロナウイルスの感染拡大で学校給食が停止になったり、緊急事態宣言で飲食店やホテルなどが営業停止になって、販売先を失った農家さんたちがたくさんいた。そのときいろんな企業や個人?によって、余っているので買ってください、フードロス削減のために買ってくださいというようなフードレスキューの動きがすごく盛んになった。私は2年前くらいからフードロスに関心があって自分なりに勉強してたくさん考えてきたけれど、同じフードレスキューでも良い取組だなと思うものと、これはちょっと違うんじゃないかと思うものがあって、もやもやを抱えていた。それを呟いてみたら、同じように思っている友人がいた。

他にもたくさん関心を持っている人がいて、じゃあせっかくだからオープンな場で話そう!となって、友人らと企画したのが「農経ガールズと考えるこれからのフードシステム」というイベント。大学で農業経済を学んだ女子3人だったのでそんな名前に(笑)

サムネ

当日は農家さん、食農関係のお仕事をしている人、食べ手、学生など30人くらい?が参加してくれて、チャットを使いながら議論をした。「そもそもどこからフードロスなの?」「『かわいそうな農家さん』像」「関係性の『使い捨て』感」みたいな話をした。もやもやに対して何か明確な答えが出たわけじゃないけれど、生産者とお客さん(販売先のお店や消費者など)の間に対等で持続的な関係性が生まれるきっかけになれば良いよね、育んでいきたいよねという感じで終わった。

老若男女いろんな立場の人と一緒に考えるのは、とっても楽しかったし勉強になった。食農関連のもやもやって結構あるけど、なかなか考える機会もないし、せっかくだから今後も続けて行こうよということで、新たなメンバーも加えて「食と農のもやもやゼミ」がはじまった。

現実の世界はとっても複雑

もやもやゼミがはじまった頃、私は農学を学び始めてから2年半くらいだった。その間ずっと感じてきたことは、食農に関する「〇〇は危険/安全」「〇〇は悪」みたいな話多くない?ってこと。一消費者としてネットや世間の情報ばかり受け取ってたせいかと思ったけど、大学の先生や農家さんの話を聞いてもそういう人はいて、なんかもうよくわからん!ということばっかりだった。

二元論や仮想敵を作り出すような議論はよくあるし、分かりやすいから理解もされやすいし、広まりやすい。私自身もそういう認識をしてしまいがちだったから(今もあるかもしれない)、勉強するうちに気づいて反省して、認識を改めてってことを繰り返してきた。今年の春の種苗法改正の話もそれの一つだった(詳細はnote書いてるのでよかったら↓)。

あたりまえのことかもしれないけど、現実の世界は二元論で語れるほど単純じゃなかったし、悪者がいてそれを取り除けばみんなハッピーみたいな話でもなかった。絶対的な正も悪もなくて、いろんなことが複雑に絡み合っていた。でも複雑なことは分かりにくいから理解されにくいし、広まりにくい。結果として、食農にそこまで興味のない人や知らない人は「〇〇は危険/安全」「〇〇は悪」みたいなイメージを持ちやすい。

そういう、世間ではこう言われてるけど実際のところどうなのかよく知らない、みたいなことはたくさんあって、私自身もっと学びたかったし、学ばねばと思ってたから、もやもやゼミはちょうど良い機会だった。

「有機って環境に良いの?」「日本は魚を獲り過ぎている?」「動物の命を食べることをどう考えたら良い?」「何がフードロスにあたるの?」「市場流通ってどんな役割を担っているの?」っていうみんな気になっていそうなことについて、ゼミメンバーそれぞれが分担して学んできたことをシェアしつつ、生産者・食農関係者・学生・消費者・他業界の人など参加してくださっている方と議論しながら深めていった。今まで511人の方が参加してくださったらしい(びっくり!)

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ゴールはもやもやしてもらうこと

Twitterとかでよくあるのは、〇〇は悪だとか言っている人と、そういう人に対してわからないなんてバカだみたいなこと言っている人が、会話のキャッチボール(というかドッジボール?)をするうちに、どんどん溝が深まっていくようなこと。どっちの言ってることもわかるような気がするから、見ていて結構悲しい。別にどっちも悪い人じゃなくて、お互いがお互いのことを知らないだけ、見えている世界が違うだけなんだろうなと思っている。

もやもやゼミは、そういう見えてる世界が違う人たちが交わる場であればいいなと私は思う。例えば、農薬不安だから避けてますって消費者がいたっていいし、適切に使っているし経営成り立たせるためには必要なんですって農家がいてもいい。でもお互いにお互いを知ろうとして歩み寄って、そうだったのねって理解して、リスペクトし合えるような場でありたい。いろんなことを知ったうえで、そこから自分がどうするかというのは各々が考える。

唯一絶対の答えなんてないし、新しく入ってきた情報や自分のおかれている状況によっても、どんどん変わっていく。だからもやもや。ずっとずっと考え続けることが大事。それを楽しいと思ってもらって、アップデートし続ける人が増えればいいなって思う。

考えなくても楽に楽に生きていけるような設計がなされていっている社会で、考え続けることには意味があるし、それがとっても複雑な現実の世界で生きるってことなのかなと思う。複雑なものを単純化して理解するんじゃなくて、複雑なものを複雑なまま理解したいし伝えたい。難しいんだけど、見えている世界が違う人たちみんなで、絡み合った糸をちょっとずつほどいていきたい。いろんな人のいろんな事情を知れば、想像力がはたらくようになって、尊敬や思いやりが生まれてやさしい世界になるんだと思う。そういうやさしい世界をちょっとずつ広げていけたらいいな。

おわりに

今年もやもやゼミを一緒にやってきたメンバー、参加してくださったみなさん、ありがとうございました。みんなとわいわい学ぶこの場が、毎回楽しみで、大切で大好きです。めちゃ楽しかった!!また来年もよろしくお願いします!

新年一発目のテーマはフードテックの予定。詳細はまたHPやメンバーのTwitter等で告知します。お楽しみに!

▼食と農のもやもやゼミHP


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東京大学大学院農学国際専攻M1|ポケットマルシェで広報のインターン| 大好きな農学から暮らしを良いものにしたい
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