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(2019.9.4)アメリカのCSA農場での体験①

2019年9月4日にFacebookで投稿した記事をちょっとだけ整えて転載しています。東大の体験活動プログラムで、アメリカのCSA農場に2週間滞在した時の話です。

ー*ー*ーここから転載ー*ー*ー

ニューヨークから車で1時間半ほどのところにある農場で、 2週間農業してきました。宿泊はテント。ニワトリの鳴き声と外の明るさで目が覚め、体をいっぱい動かして作業して、暗くなったら寝る、そんな生活。雑草や花や虫のたくさんいる自然いっぱいの場所で、小さい頃毎日遊んでた芝生の広場を思い出した。

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朝から元気に鳴いてた

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朝の空の色の移り変わりを見るのはとびきり贅沢だった。

参加の目的

今回の主な目的はCSA(community supported agriculture)について学ぶことだった。

CSAという言葉だけが広まってしまい定義はいろいろあるみたいだけど、私の理解としては、消費者と生産者がお互いに支え合う農業であり、食のいろんな課題を解決し得るこれからの農業の形の一つなのではと思っている。
消費者は野菜代金等含めて年会費を前払いし、生産者はそれをもとに作付けをおこなう。豊作不作にかかわらず生産者は一定の収入が得られる。消費者はリスクも負うけど、顔の見える人から安心で新鮮な野菜を得られる。地域の環境やコミュニティを守りながら、みんなで農場を経営する。そんな感じ。

今は生産者と消費者の距離がどんどん開いてる。そしてたぶんそれは自然と人間の距離にも比例する。食や農業を取り巻く問題の原因は全部ここに集約されそう。
フードロスもそう。生産者と消費者が離れると、鮮度は落ちやすいし、輸送しやすいように買ってもらいやすいように規格を設けるし、どこから来るかもよくわからないからとりあえずきれいなもの新らしいものを欲しがるし、誰が作ったかも分からないから簡単に捨てちゃう。
私は畑での食育というか、畑との日常的な関わりがキーになりそうと思ってるので、生産者と消費者の距離が近くて互いに支え合うCSAっていうのはすごく魅力的に映る。でも実際どうなのかはあんまり知らないからしっかり見てきたいなという感じで参加した。

CSA以外についてもたくさん考えた。滞在中にはイェール大学とニューヨーク州立大学にお邪魔して、東大の先輩方に海外進学の話等も聞けた。見聞きしてきたCSA詳細については別で書いたので興味のある人読んでみてください(→こちら)。ここでは3点だけ簡単に(とは言っても結構長くなっちゃった)。

CSAの自分なりの定義とこれからの可能性

今まで何がCSAなのか、労働は絶対?受け取りの宅配はあり?とか形式的なことについて悩んでた。でも大事なのは根底にある哲学なんだなと思った。消費者と生産者がお互いに支え合う農業であり、かつそれを通して地域の自然と人がつながるコミュニティである、という自分なりの定義付けができた。形はそれぞれの地域や人ににあったもので、いろいろあっていいんだなって。 

自分にとってCSAはやっぱり魅力的であったものの、決して簡単ではないなという印象だった。まずは農”業”として経営をきちんと成り立たせなくちゃいけないし、コミュニティは生産者と消費者が収穫物とお金でつながるだけじゃたぶん違う。哲学や目指す世界を共有したいし、消費者どうしのつながりや、消費者と自然のつながりもつくりたい。

難しさも感じた一方で、自治会みたいな特殊なコミュニティがあって、小さな農業が大多数を占める日本では、CSAが発展してくる可能性は十分にあるんじゃないかと思った。私的には自治会とか子ども会とかで、生産者とか消費者という区切りのないフラットな関係でみんなで農業してるようなものができたらすごいいいなと思った。

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pick upの場所。農場のすぐそばにあって、CSA会員は週に1回ここに取りにくる。

インクルージョン

今回2週間を共にした仲間の1人に色が見にくい、いわゆる色盲の子がいた。ハスクチェリー(小さいほおずきみたいな)の収穫の際に、黄色のものをとってねと言われたのに彼は緑のをとってた。種から一生懸命育ててきたものを収穫時期直前でとってしまうのは農場の人に失礼だし「えっ何してんの」と思わず言ってしまい、彼のことを責めかけた。そしたら黄色と緑の見分けがつかないことを教えてくれた。

色盲というものは知ってたけど、ほんとに全く違う色なのに同じに見えているという場面に遭遇して、私はかなり混乱した。そうか、困るのは電車の路線図だけじゃないよな、農業もなのかと思った。色の区別がつかないということは、植物の状態や収穫のタイミングも正確に把握できないかもしれなくて、それはつまり作物や成長過程によっては農業を楽しめないかもしれないということ。そう思ってなんか悲しくなってしまった。

でも悲しがっててもしょうがないので、私は彼がどうしたら私らと同じように収穫楽しめるのか、色がわかんなくても収穫するにはどうしたらいいんだろう考えてアドバイスした。熟れてマルチに落ちてるものや触ってぽろっと取れるものは黄色だよと教えてあげたあとは、彼のコンテナは黄色いハスクチェリーでいっぱいだった。ちょっと声かけただけなのに、こんなに変わるのかと思った。「だいぶやりやすくなりました、ありがとうございます」と言ってもらえて、ホッとした。トマトでも苦労していたようだけど、比較的やりやすい品種があったのでそれは彼の担当になった。

最初に責めかけた自分のことをとっても反省した。彼は打ち明けてくれたけれど、そうじゃなかったら私は彼のことを傷つけてたかもしれない。色盲の人ってすごい多いらしいし、みんな言わないだけでもしかしたら周りにもっといるかもしれない。今回当事者と出会ったことで、これからは想像力が働くだろうし、必要ならばサポートができるかもしれない。当事者、周りの人どちらにも言えることだけど、区別がつかないからできないと切り捨てるんじゃなくて、じゃあどうしたらできるかなって視点に立つことはきっと大事。素早くその視点に切り替えられた自分のことをちょっと褒めつつ、インクルージョンってたぶんこういうことなのかなと思った。

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ハスクチェリー。甘酸っぱくておいしい。

ロールモデル

今回お世話になった農場主さんはママさんで、旦那さんは農場に関わってなかった。スタッフさんも女性が多かった。これが私にとってはものすごく新鮮で驚きだった。

今まで会った農家さんは男性ばかりで、女性がいるとこも家族農業みたいな感じだった。心のどこかで、農業は男性が中心で、女性はそのお手伝い的な存在にしかなれない、と思ってたらしいことに気がついた。そんなことないのにね。そもそも体力的にも劣るだろうし(事実、今回の農作業でも力仕事は明らかに男子よりスピードが遅くてああこれが売り上げの違いになるのかなとなんか悔しかった)、妊娠したらそんな動けないだろうけど作物は変わらず育つし、子育てしながらなんて想像もつかない。だから農家になることは私の選択肢にはほとんどなかった。でもここの農場のかっこいい女性farmersに出会ったことで、そんな固定観念はなくなった。苦労はもちろんあるだろうけど、パートナーが農業とは違う職でも、生産性で男性に劣ることはあるかもしれなくても、子どもがいても、力強く楽しく農業はできる。

ロールモデルとなるすてきな人たちに会ったことは、今回1番の収穫かもしれない。

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ー*ー*ーここから転載ー*ー*ー

見聞きしてきたCSAの詳細についても書いてるのでよかったらこちらも読んでみてください〜

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東京大学農学国際専攻M1🌱 大好きな農学から消費スタイルや暮らしを良いものにしたい。
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