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アメリカ人だってほめてるだけじゃ自己肯定感は育ちません

知人の勧めで『ほめると子どもはダメになる』(榎本博明 著)を読みました。

えー!そんなことになっちゃってるの??から始まり、反省し、共感し、これからの日本、世界の子供たちについて、自分について、とても考えさせられる本でした。
子育てって何だろう?人を育てるって何だろう?私はどうやって育ってきたんだろう?

この本、ぜひ読んで欲しい!
ですので、中身に沿うことをあえて書かずに思ったことを綴っていきたいと思います。

子育て中の方や教育に関わる方だけでなく、最近の若者の扱いはなんだか難しいな~と思っている方、世の中どうも生きづらいと感じている若い方たちにもぜひお勧めしたい本です!

「だけ」でいいことなんてない

私は、まず謝らなくてはならないと思いました。ごめんなさい。

この中で、「とにかくほめる!」とほめることを強調してしまいました。
こういうのを読んで「ほめればいいんだ!」と思ってしまう人が出てくるのは当然だと思いました。

自分を例に挙げて言う話でもないですが、人は伝えたいことがあるとき、悪意の有無に関わらず、最も伝えたいことを強調し周辺の情報は省いてしまう傾向にあるのだと思います。
誰でもが簡単に発信できて、あちこちに情報があふれているこの時代、ある物事について、特定の角度から一部分だけを照らして語られているものもあふれていることでしょう。
情報の受け手は、そこをいつも念頭におき、ひとつのソースに踊らされないようにする必要があることを実感しました。

また、例えば、”りんごダイエット”だからと言ってりんごだけを食べていたらどうなるでしょう?
体にいいからと運動だけしていたらどうなるでしょう?
受験に必要だからと勉強ばかりしていたらどうなるでしょう?

どんなにいいものでも、それ「だけ」で大丈夫ということは絶対にないと私は思っています。
いろいろの中で活きてくる”それ”なのです。

私の見ているアメリカ

アメリカの空港で、お店で、公的機関で、時間ギリギリに行って、そこにいる人と話もできるのに、私の時計ではまだあと1分あるのに、「No!」と言われて何の対応もしてもらえなかった経験はありませんか?

たったひとつの書類の不備で、少し修正すれば大丈夫そうなのに、今日はもうダメだから別の日にまた来てねとあっさり断られたことはありませんか?

どうしようかな~。うーん...と迷っていたら「Yes or No?」と強く問われたことはありませんか?

アメリカって、基本的に結構冷たいのです。人情なんてありません。
そして、白か黒かはっきりしていて、NoはNoで、そこをなんとか...と言ってみたところで、ダメなものはダメです。厳しいです。
ちょっとだからいいですよ。今回は特別、これでOKにしましょう...
といった曖昧さはありません

人間関係や親子関係についてもとてもドライです。
周りの人のことは、それほど気にしていません。
相手に忖度して合わせていくなどという考え方はそもそもないので、”相手にうつさないためにマスクしてるなんて日本人ってすごいね!”という感覚です。
親だからといって、子育てのために自分のすべてを犠牲にするなんてあり得ません。
子供は生まれたときから、泣こうが叫ぼうが一人で寝かされます。

それはとてもはっきりしていてシンプルでわかりやすいことです。
でも多分、人情に厚く、「グレー」部分を容認している多くの日本人にとっては、非常に厳しく冷たく感じる世界です。

欧米社会での「ほめる」は、このドライさと厳しさがベースにある中での「ほめる」なのです。

アメリカでも、とりあえず面倒くさいから、子供の顔色をうかがってほめておだてて機嫌をとって、なんとか事なきを得ようとする親はたくさんいます。
そうして育った子供たちがどうなっているか?
自己肯定感どころか自己顕示欲が強くなりすぎ、根拠もなく自分は何者かになれるはずだと信じている。しかし、がまんも努力もできない。結果、勉強も仕事も自分がイメージしていたようにはうまくいかない...
そうして、自分に原因を求めず、世間が悪い、周りが悪いと恨みながら生きていくことになるのです。
こうしたことがまた、アメリカ社会を苦しめている格差につながっています。

欧米文化はなんだっていいわけじゃない

私たちは、ついつい、他の人のやっているいいことを見つけては、自分の暮らしに取り入れたくなります。
欧米文化については特に、盲目的に憧れを持っていて、なんでも素敵。どんどん誇張して、まるで理想の夢の世界のように感じてしまうときがあるように思います。

私も、アメリカで暮らして見つけたいいところを多くの人に紹介したくて、参考にして日本も良い方向へ向かって欲しくて、こうしてnoteを書いています。
だからつい、いいことばかりを書いてしまいます。でも、それではよくないかなと思い始めました。
アメリカだってうまくいっていないところがたくさんあって、アメリカ人も迷い、悩みながら暮らしているのです。

例えば、マインドフルネス。
アメリカ人は、迷い、出口を求める中で東洋的な「瞑想」に目をつけました。そして、マインドフルネスへと進化させました。
かつて私たちの中で、禅寺で座禅を組んで心を整えようと思った人はどのくらいいたでしょうか?
それが、アメリカで「マインドフルネス」という形になったら急にものすごく素敵なものに見えてしまうというのは、なんだかくやしいというか残念な気さえしてしまいます。

日本人は、アメリカよりずっとずっと長い歴史の中で、様々な文化を作り、積み重ねてきました。
自分達の持っているものに新しい文化を取り入れてよりよいものへと進化させていくことができるのは、日本人の大きな長所であったと思います。ところが、最近の私たちは、自分達の文化へのプライドを失い、安易に真似すればいいと気骨までも失いかけてはいないでしょうか。

欧米文化に憧れて、ただ追いかけるだけの時代はもう終わったと思います。
アメリカで、ヨーロッパで、こんな風にやっている。
一見よさそうに見えるそれは、どんな文化背景のもとに成り立ち、進化してきたのか?実際どんな結果につながっているのか?日本人が実行したらどういう変化が期待できるのか?
しっかり検証して、日本人らしいものに置き換えて取り入れていってこそ日本人だ!と期待します。

親として

子育てって、初めてでわからないことばかりです。
何人も育てていたとしても、”その子”に会うのは初めてです。
私も、わからないことだらけでいつも不安です。

これでいいのかな?あってるのかな??
と不安になったとき、とりあえず、子供にどんな風に育って欲しいと願っているのか
そこに立ち返るようにしています。

私は、まずは、健康で人様を傷つけたりしない人になってほしい。
それから、この先何がどうなるかわからないこの世の中を生きていくにあたり、どんな困難にあっても、しなやかに乗り越えて行ける人になって欲しい。
そして、アジア人であるというだけでいじめられるこの国で、人に何を言われようとも、自分の道を自分の足で歩いていける芯の強さを持って欲しい と考えています。

となると、ほめているだけでは無理なのです。
ここは歯を食いしばってがんばらないといけないよって時もあるし、やられて落ち込むくらいなら、努力して、相手を圧倒する力を身につけい!と励まさなきゃいけない時もあります。
人それぞれに違うし、何が正しいかという答えはありません。
息子が自分の力で生きていける大人に成長してくれることを願って、私も日々勉強していかねばと思っています。

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