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小説1

このままじゃダメだ。

人生を変えようと思った。

27歳、独身。

特に何かができるわけでもない。

今まで普通に成長し、普通に進学し、普通に就職してきた。

無理をしているわけでもない。

何か困ったことがあるかと言われたら、特にはない。

人生は流れるように過ぎていく。

強いて言えば、もう次の人生のステージは自分の頑張りだけでは叶えにくいということ。

結婚とか出産とか、考えないわけではないけどひとりではできないこと。

そして、それをしなかったからといって困るわけでもなければ、進学や就職のように横並びで取組むべきものでもないので

「今じゃなくてもいいか・・・」

と思えばスルーできてしまう。

私は何がしたいんだろう。

特にやりたいこともなければ、大きな問題があるわけではない日々は、スルスルと時間だけが過ぎていく。

ただぼんやりと思うのは、このまま何も行動を起こさず流されて行った先に自分のしあわせは無さそうだということ。

今までの人生、流れに乗ることで乗り切ってきたけど、この次は自分で流れを作っていかないと、ぼんやりとした何も残らない人生になってしまうだろう。

どうしたら自分の納得いくような生活ができる?

マンションではなくコーポという名前がふさわしい賃貸物件で、学生の時と変わらない間に合わせの家具に囲まれて、いつか来るかもしれない大きな生活の変化、結婚とか同棲とかの可能性も捨てきれずにいる自分からまず一度脱却してみようと思った。

可能性は低いけど、結婚することになっても同棲することになって、それまで自分の納得いく暮らしをしていてはいけないということもないだろう。

可能性を言い訳に使っている自分があまり好きになれないと気付いてからは、自分がどんな風に生きていきたいのかを真剣に考えるようになった。

自分が頑張れば叶えられることなら、なんとかなるのではないか。

やってみてダメだったら素直にまた淡々とした生活に戻ればいい。ただそれだけ。

そう思ったら少し気が楽になって、ちょっとだけワクワクもした。

自分には何ができるだろう。

自分は何がしたいんだろう。

自分がどうしたいかなんて考えたことなかった。

ないと言えば嘘になるけれど、周りの人とペースを合わせて生きることが一番無難で安全な気がして、それ以外のことはあえて考えないようにしてきたのかもしれない。

周囲の人がそれぞれの楽しみを大切にしているんだ。

欲しいもののためには全力で節約をして、やりたいことのためには寝る間を惜しんで労力を注いでいる。

人って大事に思うことがバラバラなんだと気づいてからは、ただ食事をするだけでも、買い物をするだけでも、正解は人の数だけあるんだって思えるようになった。

せっかくだから自分のための人生を自分でプロデュースしよう。

日々やらなくてはならないことをこなすだけの日々に、そう思うことで変化が訪れた。

じぶんで自分をプロデュース。

ありきたりの自己啓発本のタイトルのようだけど、自分で考えて浮かんできたアイディアなのでしっくりときた。

どうする?自分?

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