認知症とは
普段、認知症を抱えた方と関わる専門職として認知症について話をしてみたいと思います。もし、読んで良かったと感じたら「スキ」や「フォロー」をしていただけたらとても励みになります!
認知症については様々な考え方があるので、あくまで考え方の一つとしてご覧いただければ幸いです。
1.認知症とはなにか
認知症介護基礎研修(主に介護の仕事に従事して1年未満の人が受ける研修)の標準テキストでは、認知症とは「病名」ではなく様々な原因によって脳に病的変化が起こり、それによって認知機能が低下して日常生活に支障をきたす状態とあります。
詳しくは私が普段研修で使用している下記の図をご覧下さい。
以前は、認知症の診断基準としてDSM-Ⅳというものが用いられていましたが、現在はDSM-Ⅴというものをもとに診断をしています。前者の場合は記憶障害、つまりは物忘れが必須項目でした。後者の方では「記憶」「思考」「見当識」「計算」「学習能力」「言語」「判断」が低下して概ね6か月以上持続して日常生活に支障をきたした状態とされています。
これは認知症の症状の中には記憶障害がそれ程みられないものもある為です。
2.生理的老化と認知症の違い
突然ですが皆さんに質問です。
「昨日の夕食は何を食べたか覚えていますか?」
「もし覚えている方は一昨日の夕食は覚えていますか?」
おそらく大抵の方は少し時間がかかっても思い出すことが出来るはずです。仮に思い出すことが出来なくても、日常生活には支障はないと思います。
簡単に言うと、これが生理的な老化と認知症による物忘れの違いです。
下記の図をご覧下さい。黄色くなっている部分が物忘れがある部分と捉えてご覧下さい。
生理的な老化による物忘れについては
「内容は思い出せなくても食べたことは覚えている」(一部分)
認知症による物忘れについては
「認知症による物忘れは食べたこと自体忘れている」(すっぽり欠落)
場合が多く、よく介護現場では食事を召し上がった直後に「ご飯を食べていない」と大きな声を出される方がいます。これは記憶障害により日常生活に支障をきたしている状態であると言えます。
3.中核症状と行動心理症状
ここからが本題です。
認知症の症状は中核症状と行動心理症状に分かれます。
行動心理症状は以前「問題行動」と呼ばれていました。
問題にしているのは本人なのか?
介護する側が問題にしているのではないか?
認知症の症状が出る方は自分で上手く生活が出来ず「困っている」方が多いのです。
下記の図をご覧下さい。
【症状の中の細かな説明についてはまたの機会にさせていただきます。是非ご要望下さい(笑)】
さて、話を戻しますが中核症状に対して「本人にとっての」様々な要因が加わり行動心理症状が表出します。中核症状の緑の矢印をご覧下さい。
例えば「身体不調」です。便が自分で中々上手く出せません。しかし、トイレを探しますが記憶障害がありトイレの場所が分からずウロウロ歩き回ります。
それを介護する側がいわゆる行動心理症状の「徘徊」と呼ぶわけです。
このように認知症を抱えた方にとって生活上の困難を解決できないがために、行動心理症状の枠内にあるような症状が表出する訳です。
逆を考えれば緑の矢印で示された場所を、「本人の立場に立って」検討すれば行動心理症状は軽減または無くして生活をしていただくことが出来ます。
4.まとめ
沢山のことを話しましたが、伝えたいことは
「認知症の症状が出る方の立場になって、周りで介護やお世話をする人が適切な環境を整えてあげること」が重要になってくるということです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
また要望があれば書いてみたいと思います。
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