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~ありがとう~

今から約5年前の2015年にライブドアブログで書いた、ブログを修正・転載します。

何故転載しようと思ったかは、何故かこの時期になるといつも思い出すからです。

今回の話に出てくるA様は5年前の3月に自分が所属する事業所に入居をされていた方でした。

当時、色々悩んでいた中での出来事で、とても多くの事を学ばせていただきました。

5年前のブログで少し恥ずかしさもありますが、よろしければご覧下さい。

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3月4日のブログで話しをさせてもらった女性入居者様(以下A様)が本日7時10分に他界をされました。

ここに謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

朝6時過ぎに施設から連絡をもらい、到着したのは7時過ぎ。その後すぐ医師と、ご家族の方が来苑されました。

ご家族の方は号泣をされていました。

今まではどちらかと言うと、家族の方も既に心の準備が出来ている方が殆どでした。

こういった状況に管理者として家族にどう声を掛けて良いか分からず、医師の話が終わった後にさりげなく席を外す事しか出来ませんでした。

葬儀屋が来るまでの間事務所で様々な事を考えました。

後悔はしていません。

一介護職員として当たり前だけど一つひとつの関わり方に手を抜いた事は一度もないし、

いつ私が関わる認知症の方が亡くなっても恥ずかしくないケアの在り方を考えてきました。

ただ、一管理者としてはどうかと考えると少し考えさせられます。

後悔ではなく、自分を見つめ直しているのかもしれません。


Aさんは2年前の開設直後から入居をされていました。

はじめは杖で歩いていましたが、外出先で転倒をして車椅子生活を余儀なくされました。

そんなAさんですが、足は動かずとも調理をしたり、野菜を切ったり、洗濯物を畳んだりするのがとても上手な方でした。

また入居当初からのご縁で、A様も私の名前を覚えてくれていました。

私がA様の前を通る度に、

「〇〇(私の本名)さん!!」

と言って声を掛けてくれます。

たまに名前を間違われ

「小松さん!!」

と言って呼び止めます。

名前は違くとも、私だと分かり声を掛けてくれています。

認知症を抱えた方に名前を覚えてもらうこと程自分にとって光栄な事はなく、また嬉しい事はありません。

また私が休み明けで出勤して挨拶をすると

「久しぶりだこと」

と声を掛けて下さいます。

何かを話掛けて聞き取れない時に耳をこちらに近づけて目を見開くあの表情。

野菜を切っているあの姿。

一緒にご飯を食べに行きご飯をぼろぼろとこぼす私に、使い古しのテッシュを渡してくれたこと。

笑った時の笑顔。

トイレに行きたい時に手招きをする姿。

体調を崩されてからもお部屋に訪れた私の頬や腕をさすってくれたこと。

手の温かみ。

A様の行う動作や言動の一つひとつが全てが愛おしいです。

振り返ると涙が止まりません。

休みや夜勤の職員もお見送りにきてくれました。

ほぼ全ての職員が集まりました。

そんな職員達は本当に素晴らしいと思います。

最後のお見送りの際は、入居者の方もお見送りを行いました。

一緒に生活をしていた方で、どちらかというとあまり仲が良くなかった入居者様(以下B様)が

「もう一度最後だから顔が見たい」

と言って一旦車に乗ったA様を葬儀屋と家族にお願いをして顔を見せていただく事が出来ました。

あれだけA様の事を嫌っていたB様が「顔を見たい」と仰った時は少しびっくりしました。

A様のご遺体に涙目で話しかけるB様の姿を見て、心の底から嫌っていた訳ではないのだという事を確信しました。

お見送りの時は管理者として恥ずかしながら、号泣してしまいました。

ご家族の感謝の気持ちを頂戴したこと。

A様との別れ…

管理者として職員の目の前で泣いてしまった事に対して、本来はいけないことなのかもしれません。

だけど

管理者である前に…

介護職員である前に…

ひとりの人間として接してきたつもりなので、涙をこらえる事は出来ませんでした。

自分が携わる入居者の方々から沢山の事を学んできました。

それは物事を学ぶというよりかは精神性とか、人間としてあるべき姿…

道徳観のような物を伝えられてきたような気がします。

今回もA様に様々事を教えられました。

この学んできた事を活かして、これからも自分が関わる高齢者に接していきたいと考えます。

最後にこの場を借りてA様へ感謝を述べさせて下さい。



〇〇さん

本当にありがとうございました。

一緒に過ごした日々忘れません。

うちでの生活はどうだったでしょうか?

調子を崩されたり、私たちなりに何とかしようとしてきましたが、人間関係で悩んだ時もあったのではないでしょうか?

いつもの食堂のテーブルに〇〇さんが座って、居眠りをしたり、小松さんを呼ぶ姿がもう見れなくなると思うと本当に悲しくて、悲しくて仕方がありません。

最近小松さんが、なんとなく考え事をしているのを分かったんですよね。

あの〇〇さんが苦しい時にも関わらず、そっと頬と腕をさすってくれたこと…

あれは小松さんに

「もっとしっかりしなさい!」

って言ってくれたんだと確信をしています。

小松さんはまだやるべき事が沢山あるので、そちらには行けませんが、どうか見守っていて下さい。

色々世話のやける管理者でしたよね。

まずはゆっくりお休み下さい。

本当に、本当にありがとうございました。


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