終盤の得点バリエーションを増やした原采配3選
まえがき
2019シーズンの原ジャイアンツは試合の終盤にかけての得点パターンが豊富であった。7月後半~8月前半の連敗の影響もあり1点差勝率はそこまで良くないが、通算8度のリーグ優勝を誇る名将の用兵術や戦術には感嘆している。
今回の記事では終盤の得点バリエーションを増やした原采配にスポットをあてていきたい。
1.代走増田大輝の抜擢
第二次原政権の際には鈴木尚広が終盤に代走として出てくる機会が多く、得点バリエーションの増加に大きく寄与した。
実際に鈴木尚広が持っていた役割の例
○盗塁をして得点の可能性を高める
○あえて盗塁しないことで投手を警戒させて配球などを制限する
○短打で更に先の塁まで陥れる
2019シーズンはどうだろうか?
キャンプの時点で代走屋の発掘に関して報道されていたが、誰が担うのかは分からずシーズンは始まった。
そんな中抜擢されたのが増田大輝であった。
守備走塁が一級品の増田は終盤に代走として出場し難攻不落の投手から何度もホームを踏んできた。
ここではその一例を紹介したいなと思う。
①阪神ジョンソンを揺さぶり決勝点のホームを踏む(7/8)
同点で迎えた8回に代走として出場した増田は好投手ジョンソンを揺さぶって、牽制の悪送球を誘い二塁へ進塁。その後にはジョンソンのモーションを完全に盗み、三盗にも成功した。結果的にそれが功を奏し増田は決勝のホームを踏む事となった。
②阪神岩崎を揺さぶりゲレーロがダメ押しの一発(10/13)
1点リードで迎えた7回に代走として出場した増田は盗塁こそしないものの好投手岩崎を揺さぶり、配球に制限をかけさせた。この状態になるとゲレーロは直球をある程度張る事が出来て、ホームランでダメ押しの追加点という最高の結果を招いた。
高い野球IQで代走屋としての役割を果たした増田大輝とその存在感を最大限発揮させている原監督の用兵術には感服である。
2.絶妙なバントの使い方
バントという戦術は暫し賛否両論を生む。
27アウトの内の1つを消費するバントは使い方次第で大きく結果が変わる。
そんなバントの使い方が絶妙に上手いのが原監督である。ここでもその一例を紹介する。
①外国人選手にもバントをさせる鬼采配(8/17)
2019シーズンにセ・リーグで犠打をした外国人野手はゲレーロとビヤヌエバだけである。
外国人野手であれば打たせるのがセオリーであり、バント数が少ないのも頷ける。
しかし、この場面は1点リードで迎えた6回無死一塁二塁で確実にランナーを進めたい所であった。
ここで回ってきた選手が伏兵であったり投手であればどの監督もバント策を選ぶかもしれない。だが原監督はゲレーロにバントを指示したのだ。ゲレーロは見事初球でバントを決めて笑顔でベンチに帰ってきたのだが、そんなシーンに原監督の凄みを感じる。
気難しいと言われるゲレーロにも勝つ為に必要な自己犠牲の精神がしっかり浸透していてるのだ。
原監督は相手が外国人選手だろうが必要な場面であればバントもやらせてしまうのは使い方が上手くなければ出来ない技である。
②坂本勇人がバントをした後は必ず得点
前述した原監督がバントを必要と感じた場面は的確な場合が多い。
ゲレーロ以外の主力野手にも原監督はバントを指示しているが、中でも坂本勇人がバントをしたイニングは全て得点している。
これは原監督のバント利用の上手さを裏付ける結果だ。
③バントに他の戦術を絡める(7/4,8/24)
当たり前だがバントは1アウトを捨ててランナーを進める戦術であり、相手も警戒する。
だが原監督はその心理を逆手に取ってランナーを走らせる事がある。こうすれば取られる筈であったアウトが有効に使え、相手に対するプレッシャーも大きくなる。
このようにバントを単体として使うのでは無く他の戦術と絡め複合的に使うのは原監督のバント利用の上手さ、奥深さが際立つ所だと感じる。
ここまで3つの例を紹介したが、これだけでも原監督のバント利用の上手さが分かったと思うし、終盤の得点パターン増加に貢献していると感じる。2020シーズンはそこに目を付けてみると面白いかもしれない。
3.代打陣の形成
2018シーズンの終わりに代打陣の薄さが取り沙汰され、中島宏之の獲得に踏み切ったが、期待外れの結果に終わった。
ここまでは代走とバントの使い方に着目してきたが、一振りで流れを変えられる代打の存在は大きいし、2019シーズンはどのような起用になるのかと思っていたが、結果的には一定の形が出来たと感じた。
ここではそんな巨人の代打陣を紹介したいなと思う。
①阿部慎之助
序盤や先発がサウスポーの際に代打として主に起用された。
代打打率自体はそこまで良くなかったが、球場の雰囲気を一変させる登場曲と熟練された打撃技術でチームを支えた。
②陽岱鋼
丸の加入や亀井の活躍もありベンチを温める機会が多くなった陽岱鋼。
代打OPSは12球団屈指であり、守備走塁のレベルも高い事から主にサブとして良い働きをした。
③重信慎之介
重信も陽と同様にベンチを温める機会が多かったシーズンであった。
代打打率はそこまでではないが、犠飛をしっかり3本(チーム3位)放つ献身性や出塁したら足でかき回せる点は高く評価できる。
④石川慎吾
石川も陽,重信同様ベンチで出場を伺う機会が多かったが、代打で出てきた際に見せる対左の強さとパンチ力は素晴らしかった。
2019シーズンはこのような布陣を形成して主に戦ったが、2020シーズンは阿部が居ない中でまたどう形成していくのか注目である。
4.2020シーズンへの課題
2019シーズンは手元の戦力を中心に控えのレベルを上げたのは素晴らしいが、ソフトバンクの厚い壁はミスを連発するなど全く破れなかった。2020シーズンはそこをどう突破するのかが課題であり、注目したい所でもある。
5.まとめ
○増田大輝を代走屋に抜擢した
○得点の為なら外国人選手にバントをさせる事も厭わない
○バントをさせるタイミングが的確
○バントを他の戦術と絡めて使う時もある
○阿部を中心に代打陣としての形を作った
この様な用兵術や戦術で終盤の得点力を上げた原監督は素晴らしいし、その起用に応えた選手も素晴らしいと言える。
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