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#17 NCAAを目指す未来の子供達へ

「本場アメリカの大学でアイスホッケーをしたい」一度は夢を見たことがある人もいるのでは無いでしょうか。NCAAでスポーツをする事は北米ではアメリカンドリームと称され、「アメリカの子供達が一度は夢見る、大学史上最高峰の舞台」であることを意味します。今回はNCAAについて、アイスホッケーのゴールキーパー観点から話していこうと思います。


NCAAとは

NCAA.com

簡単にNCAAについて説明します。

National Collegiate Athletic Association、通称NCAAは一般的にアマチュアカテゴリーの中で世界最高峰のリーグとされています。NCAAに在籍する多くの学生アスリートはレベルの高い教育を受けながら、さらに大学競技レベルでスポーツを継続出来ます。大学スポーツはアメリカの文化の一つと言って良いほど人気と注目度があります。中でもアメリカンフットボール、バスケとボールは二強でDivision 1でプレイするものならばプロ並みの施設と環境でプレイできることは間違いありません。アイスホッケーは比べると少し規模は小さめですが、それでも環境はこの上ないと言えるでしょう。個人的にはDivision 3では正直アイスホッケーが一番盛り上がると思います。Divison 2が存在しないいNCAAホッケーはDivision3部が2部としてカウントされるのでその分、人気や有名度は大きくなります。

NCAA の詳しい説明ついては後日、述べるとして
今回はゴールキーパーとしてNCAAに挑戦すること中心で話していきます。



GKとしてNCAAに挑戦するということ

NEC hockey

正直な話、ゴールキーパーとしてNCAAに挑戦する事は、プレイヤーがNCAAに入学する数倍難しい事だと思います(勿論プレイヤーも相当大変です)。基本的にチームが一シーズン公式なロースター枠として抱えるキーパーは3人のみです。知っておいてほしいのは

どの学校も毎年GKを獲得するわけではありません。

そのチームの四年生GKが卒業したり、在学中にTransfer(転学)したタイミングで新しいGKを獲得するのが基本の入れ替え方式だと言う事です。

NCAA Div1に所属する学校(アイスホッケー)が64校、NCAA Div3に所属する学校は85校と数にすると多く見えますが、実際、一シーズンでGKを獲得するチームは全体の1/4程度です。(※プレイヤーはどの大学も毎年5-10人程は入学します。)ここがゴールキーパーがNCAAでプレイする一つ難しいとされるところです。基本的にチームの正式なロースターには三人しか入ることが出来ないので自ずと競争率は高くなります。

勿論、ジュニア時代にどれだけの結果を残したかが重要視されますが、その他にも学業も必須、運やタイミングもGKとしてNCAAに進学するのには侮れないという事です。

Division 1 GKのレベルとは

一般的にDivision 1でプレイしているGKはハッキリ言うとレベルが違います。ジュニア時代に殆どがUSHL(北米ジュニア一部リーグ)で成績を残した経験がある選手で、最低でもTire2(ジュニア2部/BCHL,NCDC,NAHLなど)のトップゴールキーパーレベルであることが条件です。もう少し簡単に言うとディビジョン1に在籍するGKはNHLにドラフトされるか、されないかレベルという事です。

https://msuspartans.com/sports/mens-ice-hockey

例えば今年のMichigan StatesのスターターGKはUSNTDP(USA Hockey National Team Development Program)アメリカ代表育成プログラム出身で、Detroit Redwingsにドラフトされています。その世代で全米一位のGKということです。バックアップのGK二人もBCHL(USHLの次にレベルが高いとされているカナダのジュニアリーグ)出身です。その他、NCAA Div1にも全体で25人程はNHL Draftの権利があるGKが在籍しています。Michigan Statesは今年の全米ランキング6位ですが、最下位チームのGKでもUSHL出身のGKが在籍しているのが事実です。

気になる方はこちらのElite ProspectsからDivison 1のゴールキーパーを調べて見て下さい。調べる際には大学を選んで、スタッツからスターター(試合数が多いGK)、バックアップの二人を目安にすることをお勧めします。


留学GKの鬼門USHL

ushl.com


NCAA Div1でプレイする=USHLで活躍しなければいけない

ことがわかったと思います。

しかし外国人GKとしてUSHLでプレイするのは簡単なことではありません。USA Hockeyは自国出身の最高の選手を輩出することを目的としています。その為USHLにはImport枠が存在しており外国人選手(アメリカ人以外)はチームに4人しか在籍してはいけないルールを決定しました。中でもGKの育成に力を入れ始めているアメリカは、外国人GKを獲得する場合はImport枠を2枠としてカウントする規則を定めました。それが何を意味するかというと「Import枠で獲得した外国人GKはUSHLでトップレベルであり、年間チームを任されるスターターでなければならない」ということです。現にUSHLに在籍する外国出身GKは世界ランクトップディビジョンの北欧(フィンランド、スウェーデン)の様な国から獲得しています。

そうすると優秀な外国人GKはTire2レベルに落ちてきます。どの世界もそうですが、ゴールキーパーの母数は年々増え、有り余っているのが現状です。上のレベルからゴールキーパーがカットされてくるという事は、チームGKの一人がカットされる事を意味します。上に上がるのは難しいが、下に落ちるのはタイミングによって多く起こりうるのが今の北米アイスホッケーです。

NCAA D3はレベルが低いのか

NCAA.com

(※ GK目線で話します)

よく日本人選手にありがちなのが「NCAA Divison1以外は選択肢にない」という考えを持つ選手です。近年、NCAAにコミットする日本人選手(プレイヤー)が増えてきていますが、それはアメリカでも特別なことである、のです。まして、GKでDivison1にコミットするという事は18歳-20歳の年齢でNHLにドラフトされるようなレベルでなければなりません。しかし、そう言葉にする選手の気持ちは痛いほどわかります。私自身もジュニア時代は「NCAA Divison 1に行く気持ちしかありません」と言ったこともあります。留学前は「USHLでプレイします、最低でもNAHL、NCDCに行けたら良い」と思っていました。しかしそれはただ「世界のレベルを知らなかった」、井の中の蛙だっただけに過ぎません。

そう考えるとNCAA Divison 3は決してレベルが低い訳では無いということです。基本的にDivison3はほとんどTire2(北米2部)選手がコミットします。Divison1を目指せるレベルはありながらいろいろな事情がありコミットできなかった選手から獲得されていきます。上記でも述べましたが、NCAAでは毎年GKを獲得する訳では無いので、一シーズンNCAAディビジョン3に入学(コミット)できるのは多くて30人(30校)程でしょうか。実際、私がプレイしていたTire3のUSPHL Premier(北米3部)からは2019-2020シーズンでDivison3にコミットしたGKは私を合わせて6人程でした。USPHL Premierは全部で61チーム、180人ほどのGKが在籍しているのでかなりの倍率と言えます。その他にもジュニアリーグTire3(NA3HL,EHL, WSHLなど)は数多く存在します。大学スカウトはシーズンが始まる9月頃からスカウトを開始し、5月頃には大体のスカウトを終了します。私が現在、在籍しているNew England Collegeにコミットしたのは5月の中旬頃だったので運とタイミングが味方にもなりコミットできました。



NCAAを目指す上で一番大切な事


簡単に言います。それは

勉強です。

どれだけ上手くてNHLにDraftされるようなレベルでも、素晴らしい人間でも、勉強が出来ない人はNCAAに入学することは許されません。

NCAAアスリートはあくまで

Student-Athlete

アスリートである前に一人の学生でなければならないのです。中学時代の成績、高校時代の成績、英語力、全て提出しなければなりません。入学してもある程度の成績、GPA2.5/4.0をクリアしなければそのシーズンは練習、試合に出る事はできません。私自身もジュニアで活躍したが大学に入学できなかった選手、大学で単位を落としてチームを辞めていく選手をも見てきました。勿論、大学によって成績やSAT、TOEFL ibtの基準点も異なります。高いスコアを持っていればいるほどそれだけ選択肢は増えます。

特に留学生はTOEFL ibtスコアが必須になります。
正直、難しいです。でもやれば出来るレベルだと思います。

であるので、勉強しましょう!


これらの事実は決して「夢を見るな」と伝えたいために書いた訳ではありません。それでもこれから挑戦する、しようとする選手達を私は心の底から尊敬します。夢は大きい方が良いに決まっています。挑戦するということは、僅かな可能性を信じて、自分の才能を信じてがむしゃらに進み続けることだと思っています。

そして最後に、これは選手、そして、選手の父兄の皆さんにも知っておいて欲しい事です。ただ漠然とホッケー選手になりたいからという理由でアメリカには行かないで欲しいです。自分はどこを目指しているのか、その為には何歳でどこでプレイしていなければいけないのか、留学する地域、チームによる選手の使用方法、など考えることはいくらでもあります。大切なのはビジョンを立てて、しっかりと準備する事です。それでもアメリカに来て初めて知ること、経験することはあります。壁に当たるときも沢山あります。

そこで初めて、自分の真価が問われる時です。


これから海外に挑戦しようとしている選手の皆さん、そしてそれをサポートしてくれる家族の皆さんを心より応援しています。




応援して下さる皆様へお知らせ


今回、新たな試みをしようと考えました。

私の武器は「情報力」だと考えました。18歳からゴールキーパーとして海外に渡り、色々な経験をしました。高校を中退し、英語も分からないままカナダへ留学しました。ジュニアリーグ一年目は一週間でチームをカットされました。NCAAでは二年半試合に出れない経験をしました。(もちろん、良い経験もそれ以上にたくさんありますヨ)そこでこの経験を、文章とは違う媒体で皆様にお伝えできればと思い、新たに音声、動画の作成を始めようと思います。私は文章を書くのは好きです。言葉(文字)は人の心を動かすことが出来る、と信じています。同時に文字だけで伝える難しさも感じています。文章の温度感だったり、想い、は文字にすると時に冷たく感じてしまったり、そっけなく感じ取られてしまうことも多いと思います。

そこでnoteを使い、Youtubeなどで音声、動画を発信していければと思います。Youtubeで有名になってやる、動画で沢山お金を稼いでやる、という訳ではないので、見たい、聞きたいと思って下さる小さなコミュニティの中で会員制としてひっそりと発信したいと思っています。

コミュニティの中では

限定note更新
練習動画(解説付き)配信
Youtubeアメリカ大学生の日常
ラジオ、ポッドキャスト配信 
(noteで書ききれなかった部分など)

を予定しています。
最初は無料でスタートしようとしたのですが(ホント)、コミュニティを作る際は月会費を徴収しなければいけないnoteのルールがあるらしいので

300円/月 (初月無料)

とさせて頂きます。ちなみに一ヶ月換算すると1日10円になります!!
Netflixの月会費1,490円と比べると格安サブスクリプションとなります!!!

メンバーシップ名は「とみた会」とさせて頂きます。
※不満、ご要望等は一切受け付けておりません。

[メンバーシップ参加方法]
noteアプリをダウンロードして頂くとスムーズにご利用いただけます。

ホーム→メンバーシップ→シルバー(参加手続き)


とりあえず第一回目は

「NCAAを目指す未来の子供達へ、続き(ポッドキャストver)」
・ジュニア3部からD1に入学した友達GKの話
・最近の北米のGKの使い方事情
・D3のキーパーは果たしてどれくらい上手いのか

など

「アメリカ大学生の1日(YouTube)」配信予定です

趣味程度にひっそりやっていくつもりです。
興味のある方は初月無料なのでお試しに来てください。

勿論、今まで通りnoteも更新する予定です!!




最後まで読んで頂きありがとうございます。
今回は親友の首を絞めて寝るアーサー君とお別れです。

それでは! See you later!! #17


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