#12挑戦し続けるということ
はじめに
皆さんこんにちは、冨田開です。まず初めに、最後にnoteを書いた日から半年以上更新がなく「ホッケーを辞めたのではないか」という声もありました。ご心配をおかけして申し訳ありません。ここ半年は少しSNSから離れて自分のするべき事、今後の将来について考えていた時期でもありました。18歳で高校を自主退学してカナダに渡り早いもので5年目、私自身は23歳になりました。大学も残すところあと2年となり厳しい現状から目を背けてはならない状況に置かれています。今一度「挑戦するとは何か」このnoteとともに話していきたいと思います。
競争の毎日
大学3年目も簡単なスタートにはなりませんでした。まず初めに大きくのしかかってきたのは去年まで在籍していた四年生ゴールキーパー二人がチームに戻ってくるという厳しい現実でした。NCAAは2020-2021シーズンがコロナウイルスによりキャンセルされたことによって当時チームに在籍していた選手は卒業しても5年目のシーズンもプレイできることが確約されています。一昨年、昨年と四年生ゴールキーパー二人がスタメンで出でいた為、私自身の出番はありませんでした。その二人が戻ってくるのは正直な話、喜ばしいことではありません。ハッキリ言うと、最悪です。しかし勝負の世界ではこれは普通のことなのです。プロやジュニアリーグでも選手の入れ替わりは日常茶飯事であるのでこればっかりは仕方ありません。自分にはコントロールできない事も必ずあります。決して悲観的になっている訳ではなく、少し不利になったなと言う感じです。不利な状況は嫌いではありません。ましてこの状況で上級生を越せないレベルだとしたらこれ以上前には進むことはできないのです。
さて、ここ二週間はチームのトライアウト期間がありました。大学に入学してもチームでプレイできる確約はありません。メンバーに入る為にはまずはトライアウトで結果を残し、自分を証明しなければいけません。そこで驚いたのがトライアウトに参加する今季のゴールキーパーの数でした。私の大学にはコミットと呼ばれる大学側から奨学金のオファーを受け入学する選手と、オープンスペースと呼ばれる大学に入学してから直接チームのトライアウトを受ける選手に分かれます。私もコミットして入学しましたが正直トライアウトの結果次第ではチームに入れない可能性も大いにあります。基本的にロースターに入れるゴールキーパーは4人、試合に帯同できるキーパーは3人です。そして今回のトライアウトのキーパーの総数はなんと
内訳は
5年生 (2人)
4年生 (1人)
3年生 (私)
2年生 (1人)
1年生 (7人内コミット3人)
いつになってもアメリカでは洗礼を受けます。12人の内チームに帯同できるのは3人。正直、5年生二人は前2シーズンをプレイしていた為、ほぼ確実にチームに入れるといっても良いでしょう。そうすると残りの1枠を私を含む10人で争うことになるのです。こんな事が現実に起こるのかと毎日驚きの連続です。結論を言うとチームには入れそうです (確約されている訳ではありませんが)。恐らく今週末にあるエキシビションゲームでどう結果を残すかが一つの大きな分かれ道になると思います。この1試合で全てが決まるかもしれない、こういった気持ちは人生で滅多に味わえるものではありません。オフシーズンにはこの胸が締め付けられるような緊張感とそれを超えてくる熱い想いは経験できないものです。
今年もまた、アイスホッケーのシーズンが始まります。
自分自身と闘い続ける為に
私は決して強靭な精神力を持っている訳ではありません。前に述べた事もあると思いますが、私が小学3年生の頃は3点取られたら試合中にも関わらず泣いていましたし、高校時代も顧問やチームメイトの言動に納得がいかないとキレて帰るようなヤンチャ坊主でした。当時、その状況を見かねた顧問からお豆腐メンタルというあだ名をつけられ、それについてもキレて帰りました。渡米してからは競争の日々と、幾度となる挫折のおかげて絹ごし豆腐から木綿豆腐くらいのメンタルには成長したのではないでしょうか。冗談はさておき、私はこの米国での競争と緊張の日々は嫌いではありませんが、決して好んでいる訳ではありません。間違いなく体のどこかに多大なるダメージを与えていることでしょう。私は決して人にスポーツ留学を勧めるということはしません。なぜなら自分が思っているほど日本という国の外には困難が多く、挫折の毎日を乗り越えなければいけないからです。現にアメリカという国でスポーツをすることは当時18歳の自分が夢見ていた現実とはかけ離れ、想像できないほど苦しいものでした。アメリカンドリームを追いかける選手と日々競争し続けなければいけないのです。人生を賭けている彼らはとてもハングリーです。食うか食われるかの世界では生半可な気持ちは命取りなのです。外国人として異国の地でプレイすることは一人で戦わなければいけないと言うことです。だからこそ、それなりの覚悟がなければ度重なる試練の連続に自信を失い、自分で抱え込み、ポッキリと心が折れてしまうのです。一度心が折れると自信を取り戻すのにかなり時間がかかります。その自信はプレイに影響し、また上手くいかないと折れ、という悪循環を生み出すのです。
よく「プレッシャーを楽しむ」と言う考え方を耳にしますがそれは私には無理でした。あの緊張感をどうやって楽しむのか不思議でたまりません。プレッシャーがかかるのは仕方のないこと、その中で結果を残すしかないのです。そこで私は常日頃から「意識的に自分にプレッシャーをかける」ことにしています。私は正直、試合を心の底から楽しめるタイプの人間ではありません。勿論、試合が開始し徐々にリズムに乗ってくると心地よい感情も生まれますが、フェイスオフから一本目のシュートまでは生きた心地がしません。私にとってそれを克服するのは至難の業なのです。だからこそ
その状況を習慣化することが自信を生み出すのだとわかりました。
私にとって、プレッシャーがかかる=覚悟を決める。そのプレッシャーに普段から打ち勝ってきたという自信が、自分の闘うための潜在的なスイッチになっているように思えます。「一点取られたらヤバい」なんて状況はゴールキーパーをしていれば幾度とあります。結果を残すにはその状況で何がなんでも止めなければいけないのです。だから私はプレッシャーを楽しもうとすることはやめ、覚悟を決めることにしました。怖くても、不安でも、逃げ出したくなる状況でも、その中で一歩踏み出して進まなければいけない時があるのだと思います。
自分にとって今がその時なのです。
挑戦の原動力、なぜ挑戦するのか
この夏のオフ期間、私はなぜ挑戦しているのだろうかと考え続けていました。誰もこの挑戦を強制している訳ではありませんし、ここで辞めても誰も何も言わないだろうと思います。今すぐ帰国してこの緊張感から解放されたらどれほど楽になるのだろうか、と思う事もありました。私の同期は今年からほとんど就職し、久々に再開し食事をする際も仕事終わりにスーツを着ていたりと23歳という節目の歳を実感する場面がよくありました。正直、「周りは働いているのに」という焦りや、「このまま自分はどこに向かうのだろうか」という不安もありました。いつからか安定や現状維持が居心地が良いという考え方に行きついている自分がいたのも事実です。当時、海外挑戦を決めた18歳の自分はどう考えていたのでしょうか。勿論、成長するにつれ考え方は変わってきます。しかし私はいつまでも挑戦者でありたいです。
私が思うに挑戦とは
と言うことなのだと思います。
自分が信じているもの、積み上げてきたもの、それを捨てて手探りで前へ進む事は孤独で、不安な事です。しかし自分の全てを賭けなければ手に入れることの出来ないことがあります。確率は低いとしても「闘い続けること」それに意味があるのだと思います。
だからこそ、この一瞬に自分の人生を賭けるのです。
一試合に、一回の練習に自分の人生を賭けるのです。
一本のシュートを止めるのに自分の人生を賭けるのです。
そして私はそれが好きです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今年は出来るような気がする、そんな自信があります。
今回は全くプレッシャーを恐れていなさそうなアーサー君とお別れです。
それでは! See you later!! #12
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