将棋の藤井聡太棋士は語彙力だけではない。彼は文章力があり、業界からも驚きの声が上がっているほどだ。将棋界でも文章上手な棋士たちが多い中、藤井棋士の文章力はトップクラスに入ると言われている。
雑誌『将棋世界』の田名後健吾氏はこのように述べる。
一方で、国語学者の石黒圭氏は藤井棋士の文章を読んで驚きがなかったという。
その文章の内容とは、2017年4月に開催した「四段 藤井聡太 VS. 三冠 羽生義治の自戦記」のことだ。列挙してみよう。
将棋に詳しい読者であれば、上述の対戦の中身を想像できるだろう。この文章を読む限り、藤井棋士と羽生棋士の将棋戦は熾烈な戦いであった。藤井棋士は相手の読みを鑑みながらも一手一手を指すたびに、自分の頭の中で詰めの甘さと反省すべき点を考えていることが理解できる。熟語や慣用表現に限らず、感情表現も取り入れて記述している。
書いた内容を読んだ他の棋士たちも単に文章力だけでなく、将棋戦の局面を行う度に成長意欲を感じることが伝わってきたのだ。
やはり、日頃から文学作品に親しむことが語彙力や文章力の向上につながる。お気に入りの作者の文体を真似て、自分のものにしていくことが望ましい、との結論に至った。
藤井聡太棋士の今後のご活躍に注目していきたい。
<参考文献>
日経おとなOFF『おとなの語彙トレ』日経BP社 2018年5月6日号