それ半導体のおかげです:入門 1-01これ半導体です-電卓の中
みなさんは、半導体もしくは半導体が使われている製品を、「見たり触ったり」したことがありますか?。ほとんどの人が、「無い、わからない」もしくは、「このスマホに入ってるらしい」と答えるでしょう。そう、21世紀の現在、
「半導体は、そこにあるけどわからない」
まるで
「空気みたいな存在」
と言えるのではないでしょうか。
ただ、空気と違うのは、半導体は、見て触れることができるものもあります。みなさんの近所に、博物館や科学館があるかもしれません。もしかすると、半導体が展示されているかもしれません。
ここでは、博物館や科学館で見学する予習として、
電卓に使われている半導体
を、見てみましょう。
本記事は、製品の分解を推奨するものではありません。
なお、製品の分解は、エンジニアのみならず販売する人、事務をする人など製品に関わる人にとって、悲しいことです。なぜって、その製品は、使えなくなってしまうからです。興味を持ってもらえてうれしいこととは別です。
また、製品の分解は、とても危険です。
適切な場所、
適切な保護具、
適切な道具、
適切な廃棄方法
適切と判断できる知識、
作業の技量
などが、必要不可欠です。どれが欠けてもいけません。特に半導体は、結晶やガラスでできており、誤って破損すると鋭利な刃物になります。しかも、とても小さく肉眼では見えにくいです。製品であれば安全であっても、場合によっては分解すると人に害を与える可能性のある物質があります。
御理解の上、続きを御読みいただきたく思います。
分解するのは、100均で数十年前に購入した電卓です。大きさは、約5cm×8cmです。すでに、液晶が暗くなってしまっていました。
裏フタのねじを外して中身をとりだすと図1のような構成になっています。半導体製品の基本構成がそろっています。電源としての太陽電池、半導体に指示(お願い)をするための入力装置であるボタン(ボタンと回路基板のセット)、結果出力装置としての液晶パネルです。この電卓では、11個のボタンがついています。図1の中で半導体は、太陽電池だけです。液晶は、材料として半導体ではありません。ただし、スマホやTVで使われている液晶パネルは、画素がとても小さく半導体回路も一緒に作られている場合がほとんどです。
図2は、回路基板の裏側です。太陽電池は、取り外してあります。真ん中にボタン電池があります。黒い丸穴は、回路基板の表と裏をつなぐ配線の役割をしています。回路基板の中にたくさんある曲がりくねった明るい線も電気を流すための配線です。図2の中での半導体は、ダイオードと赤い樹脂で隠されたIC(アイシー、integrated circuit、集積回路)です。
よくみると、赤い樹脂から放射状に配線がのびています。上に配置している液晶に向かって27本、スイッチにつながる黒い穴や電池に向かって19本の46本の配線がつながっているようです。
半導体は、水分や衝撃に弱く、光によって誤動作する場合があるので、このように頑丈で光を通さない樹脂で覆われています。今回は赤ですが、新聞やニュースやnoteの他のみなさまの記事では、黒い樹脂に覆われている製品が多いと思います。
図3では、側面からみてみました。赤い樹脂で覆われている部分は、ボタン電池の1/3以下の厚みしかないことがわかります。ちなみに液晶は、2枚のガラス板を貼り合わせしてあることが見て取れます。この2枚のガラスの間に液晶と電極が入っています。
では、エンジニアのみなさまに感謝しつつ、樹脂の中の半導体をとりだして観察してみましょう。
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