H122_11月に去りし者_カバーラフ

祝4冠達成! 傑作犯罪小説『11月に去りし者』ルー・バーニー

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※書影をクリックするとAmazonにジャンプします。(『11月に去りし者』ルー・バーニー著・加賀山卓朗 訳)

56年前の今日、1963年11月22日に何があったかご存じでしょうか。

それはケネディ大統領暗殺事件――。

1963年11月22日、ダラスでパレード中にケネディ大統領が狙撃され、そのニュースはアメリカ中、いや世界中に衝撃を与えました。

しかも、直後に逮捕されたオズワルドは、事件のわずか2日後に容疑を否認したまま別の男に射殺されます。事件はオズワルドの単独犯と片付けられたものの、不可解な点が多く、今も多くの陰謀論が囁かれています

そのなかで黒幕だったといわれているのが、マフィアのボス、カルロス・マルチェロ。そのマルチェロに仕えるのが本編の主人公、フランク・ギドリーです。

犯罪組織の若手幹部のギドリーは、腕利きの交渉役の伊達男。
組織から引き受けた仕事がケネディ大統領の暗殺絡みと気づき、命を狙われる身となります。
さて、そこで旅の道連れに家出主婦シャーロットと子どもたち、ギドリーの追っ手に非情な殺し屋バローネが加わり、ロードムービーが始まるわけですが、「殺し屋」「主婦」「ロードムービー」というキーワードから予想される筋とはひと味もふた味も違う物語が繰り広げられます。

この作品は本国でも高く評価され、なんと2019年度のハメット賞アンソニー賞長編賞、バリー賞長編賞、マカヴィティ賞長編賞を受賞し、4冠を達成しました!
パチパチパチパチ。

賞の詳しい説明は某インターネット上の百科事典にお任せしますが、いずれもミステリー小説に贈られる名誉ある文学賞。

ちなみに、ハメット賞の「ハメット」はハードボイルドを確立したと言われるミステリー作家のダシール・ハメット氏から。

アンソニー賞の「アンソニー」は同じくミステリー作家でアメリカ探偵作家クラブ(MWA)の設立者のひとりでもあるアンソニー・バウチャー氏から。

バリー賞の「バリー」はアメリカの批評家バリー・ガードナー氏から。

マカヴィティ賞はひとり変わり種で、T・S・エリオットの『キャッツ ポッサムおじさんの猫とつき合う法』(筑摩書房)に登場する謎めいた猫の名前「マカヴィティ」(マキャヴィティとも)からつけられたそう。(ちなみに「マカヴィティ」という猫の名前はシャーロック・ホームズに登場する「モリアーティ教授」がもとになっているそう。この名前の付け方がすでにかっこいい。)

一生に一度受賞するだけでも素晴らしいことだと思いますが、一度に4つも受賞するとは! 幸運を使い切ったのではないかと作家が心配になります。

が、そこは心配ご無用。これがルー・バーニーの真の実力なのです。

一挙4冠!の贅沢をこの11月の夜長にぜひぜひお楽しみください。

編集担当N

◇『11月に去りし者』試し読みはこちら↓から



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