書くための練習日記-96

 板チョコが好き。
 コンビニで売っているような安いやつ。

 ゴディバのような高級店のものも、濃厚で舌ざわりも良い上品なものはおいしいと思うのだけど、なんだか舌に合わない。高級フレンチよりも、町にある中華屋の炒飯の方がうまいみたいな感じ。どこかチープなんだけど、甘くて懐かしくて寄り添ってくれる味。

 高級チョコがハリウッド女優なら、コンビニの板チョコは憧れの先輩みたいな近さ。私の青春にそんな先輩いなかったけれど。
 
 噛んだときのパリッとした音も心地よい。固いのだけど、弾けるような温かみある渇いた音は少しだけいけないことをしているみたいでわくわくする。

 本当に辛いときは板チョコを齧って生きてきた。
 食べている間だけは辛いことを忘れられるし、甘さというのは心の支えとなってくれる。壊れたときに塗り付ける瞬間接着剤みたいな感じ。

 板チョコを今、齧っている。
 懐かしさと寂しさと虚しさを忘れさせてくれる。

 全然、甘くないし固い人生だけどあと少しだけ頑張ろうかなって思えてくる。


 

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