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#映画感想文 名画の帰還 オーストリアという国
たまに名作を放送してくれるBS松竹
録画で視聴
なかなか、見応えがある作品
クリムトの「黄金のアデーレ」に纏わる物語
絵に纏わる詳細は山田吾郎氏のyoutubeに任せます
宗達、光琳を下品にしたような黄金色がバブリーすぎ、この絵は全く好きではない
桃山期の黄金は、躍動感を強め、自然の無地背景を際立たせる技法だった
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ところが、アデーレは黄金の背景すらもどこか記号の塊で薄っぺらい印象が強い
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/125522320/picture_pc_f1a6cf617c2e28fa13af4f143115c7bc.png?width=1200)
オーストリアハプスブルク家没落直前に制作されて、日本もバブル末期に流行っていた気がする
没落間際にアダ花的な金ピカが流行るのかもしれない
この映画はクリムト金ピカ絵画よりも、
描かれたアデーレのユダヤ系一族をクローズアップした物語
描かれることの少ない近代オーストリアの混乱によって祖国を離れた、
マリアおばあさんと若い弁護士のルーツ回復がメインテーマになっている
オーストリアが気になって、調べると、
独露と同盟敗戦した第一次大戦後、
ハプスブルク帝国崩壊時に、ロシア同様に社会主義革命があった様子
ただ、革命は早々に収束、民族主義化しナチスと連携した歴史があり、
ユダヤ系のマリアが「二度と戻りたくない」の言葉が理解できる
一族の遺産を国から取り戻すテーマで
相手になるオーストリアを悪く描いているが、
神聖ローマ帝国以来の封建的なハプスブルク家と直結し、
現在もつづくオーストリアの固陋な現在性は、日本と似ているのかもしれない
結局、マリアは固陋オーストリアと和解するはずもなく、
絵画はユダヤに優しいアメリカの所有となっているのも、どこか当然な歴史と感じられる
ところで、返還交渉のために訪れたウィーンベルベデーレでアデーレを観るシーン
ウィーンで撮影されていそうですが、映画撮影のためにホンモノを持ち込んだのでしょうか?
だとすれば、皮肉な帰還ですね
作品全体に流れるウィットな感じが映画制作にも貫いているようで、楽しくなります
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