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読もうよブルーピリオド11巻

こんにちは。
外資コンサルタントのあるぱか(@botchidana)です。
ここでは、自分に刺さったinputを備忘代わりに書きなぐっていく…
つもりでしたが、今回はブルーピリオド最新刊が出てしまったので
そちらの感想を。
それでは今回はブルーピリオド11巻読んだです。

以下、ゴリゴリのネタバレになるのでご了承下さい。


私的この漫画がすごいランキング1位ブルーピリオドの最新巻。
何事も要領よくこなしてきたヤンキーが芸術に出会い、
徐々にその世界にのめり込んでいくお話。

最新刊が出るたびに、まっすぐな八虎(主人公)にボロ泣きさせられるし、
我が身を振り返って自己嫌悪に追い込まれるし、
明日からの活力をもらって鼻息荒くなるしと、
感情を乱高下させられる個人的問題作

今回のハイライトは4つ 
-上達じゃなくて達成 
-見える絵画から見るために知的作業を必要とした絵画様式
-ずっと好きでいさせてください
-飛び込める君は本当にすごい 


上達じゃなくて達成

夏休み前の制作で少しだけ芸術から離れたくなった八虎は、高校の恩師 佐伯先生が営む美術教室でバイトを始めるんだけど、初めて教える側を経験する八虎は当然うまくいかない。
そんな中、佐伯先生に一番最初に教えてもらったことがこれ。

ちゃんと完成まで持って行ってあげて
小さな成功体験を積ませることがとても大事ですからね。

この言葉で八虎は、子供たちにいま必要なのは、
「上達じゃなくて達成」ということを理解する。

いろんなことに同じことが言えると思っていて、
教育する側は、なんとかしてこの人のこの部分を伸ばそうとか、ここは弱みだからもっと練習させなきゃとか、躍起になるだけれども、人の成長過程において、スキルの習得じゃなくて、健全な自信が求められる時もある。
そういう時は、あれやこれやの助言より何か達成させることの方が大事。
その人に今必要なのは、上達に向けた助言なのか自信を育てるための達成なのか見極められるとよい。
コントローラブルじゃない瞬間もあるけど、人間なにかと減点主義に走りがちだから、達成そのものが必要なタイミングがあることは理解しときたいね。


「見える」絵画から知的な作業を必要とした絵画様式

これは8巻で渋谷を表現する制作物を持ち込んだ八虎に
中間レビューで猫屋敷先生が話していたこと。

君は渋谷で何を表現したいの?
渋谷の何を何に表現したいの?
渋谷の何で表現したいの?
それを人に伝えるためにはどんな思いつきがぴったりくる?
どんな書き方? どんなモチーフ? どんな素材? どんな大きさ? 
どこにどうやって置く? 
それが本当に伝えたいことにぴったりくるのか、
吟味して検証して繰り返して 君の選んだものが君の作品になるの。

何かを相手に伝えようとするとき、いつもこのしんどめな知的?作業伴うよな… 8巻で読んだ時のぶっ刺さり再び。君はいつもここまで考えぬけてるかい?って感じ

絵画でも、パワーポイントでも、noteでも、
何かを伝えたい人に、猫屋敷先生が教えてくれるこの世の真理。


ずっと好きでいさせてください

集中できない、周りのお友達にちょっかいかけちゃう、おまけに乱暴者と
トリプルコンボを決めてくる美術教室の問題児 小学校6年生の翔也くん。
八虎は初日から翔也君にナメられっぱなしで手を焼くけど、ひょんなことがきっかけで、社会に取り残されてる感を互いに共有して打ち解けるエピソード。

いつのまにか「社会的価値」が存在することに気づいて、それを選べてない自分が不正解みたいで、
受験とか、恋人とか、好きなものとか、藝大に行くなら作家になるべきとか、自分が急に遅れてるみたいに感じるよな…

翔也くんが6年生なのに特撮好きって設定は、読んでいて引っかかったんだけど、その辺の違和感、このエピソードで理解した。

古ーい記憶をさかのぼると、特撮好きって公言できるのって、小学校低学年ぐらいまで… 中学年まで上がってくると、語るべきはスポーツで、特撮好きって少し恥ずかしい雰囲気あった。仮面ライダーは小学校高学年くらいまで見てたけど、話題に出せなかったもんな。あれは八虎の言う「自分が遅れている」っていう感覚だったのか。
翔也くんは八虎と話して、好きなものは好きでいいんだって解放されて、
好きなものを表現する力をつけるために真面目に制作に取組むようになる。

自分は高校くらいから社会的価値に乗っかることに違和感を覚えなくなってきて、社会人になってからは従順に社畜をやってきた自負がある。だからこの辺の葛藤あんま感じないんだけど、だからなのか、今は逆に自分の好きをゴリゴリに追及している人を見るとメタクソ焦る。アラサーにもなって、自分の好きなものとか、人生賭けれるものとか、そういうものないんかいってツッコミが自分に突き刺さる。
やりたいことなんてある人の方が少数派とは言うけれども、未だに何者かになりたい呪いから解放されてない自分としては、人生賭けて好きなもの追いかけてる人への羨望ハンパないぜ…
みんな何者かになりたい願望とどう折り合いつけて生きてんだよ。
なんでそんな割り切って生きれるんだよ――――ていう最近の叫び。

話がまとまらないながらも思ったのは、
自分の「好き」探しは続けていきたいし、
他人の好きは全肯定して、背中を押していく人間でありたいし、
このエピソードのタイトルが「ずっと好きでいさせてください」っていうのは素敵が過ぎるということ。


飛び込める君は本当にすごい

優等生の小絵ちゃん。親の期待に応えて、習い事も8つこなして、美術教室でもお利口さんの小絵ちゃんだけど、まわりの期待に応えるために結構無理をしていて、期待に応えられない重圧から徐々に病んでいく。
そんな中で八虎の予備校時代の友人橋田(八虎と同じタイミングで美術教室のバイトを始める)と息抜きがてら合作をするんだけど、

絵が好きで、絵を描く人も好きで、僕も絵を描いているけど、
そういう人を知れば知るほど自分はそっちに行けんなあって
思わされんねん
泣きながら筆を動かせる人を僕は尊敬してるんやで。
みじめでも自分を褒める根拠がなくても飛び込める君は本当にすごい

小絵ちゃんが壊れるシーンの後にこれが来るから、橋田の言葉が優しく染み渡りすぎて、ボロ泣きしてしまった… 11巻で一番泣いた。

自分が頑張ってる頑張ってないじゃなくて、刺さったのは橋田のような目で人を見てあげられるだろうかという反省。
橋田は絵画を介して人を観察する。画風が変わったのはこういう心境の変化がありそう、タッチが変わったのはこういう表現を目指しているからだろうか。とか、絵画を介して人の機微を理解できる橋田だから、追い込まれている小絵を理解している。
自分を褒める根拠がなくても、愚直に絵画に打ち込む小絵に対する橋田の本気のリスペクトは「僕にとっては特別やで」って言葉で小絵にしっかり届く。あぁ…よい。

人間 外側に滲んだ言葉や行動しか観察できない。人の内面は言葉や行動から推察するしかない。だから観察できるものだけで人を理解しようとすると人を見誤る。言葉や行動は結果であって、その人の一部でしかない。理解しようと思ったからといって、すべてを理解できるわけではないけど、そこに至った原因とかプロセスに想像力を働かせて、相手の内面を理解しようと努力しないと、その人の本質に触れる機会さえ与えられないんだろうな。

ナンジャコリャ成果物がメンバーから上がってきたときも、こいつは頑張りたくないのか、頑張りたくても頑張り方が分からないのか、頑張りたくても今回は頑張れなかったのかによって、対応全然変わってくる。

てか、橋田の、芸術家から一歩引いてる感じはなんなん?
 八虎や小絵へのリスペクトは自分への諦念の裏返しのようにも思えて、
この先どんなエピソードにつながるのか期待が高まる。


というわけで、書きすぎたかなと思いきや3,000字強だった。
うーん、自分の好きなポイントとか晒すの恥ずかしいけど、どうしても書かずにはいられなかった… 気になった人は是非買ってください。ブルーピリオド。
まだ11巻なんで。追いつけますんで。


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