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生活の中の美術鑑賞(1〜4月まとめ)

お久しぶりです!

気づけば1ヶ月以上も空いてしまいました…。
このnoteではなんだかんだ美術系の記事が多くなっていますが、今年も3分の1以上が終わってしまったということで美術鑑賞録のまとめ記事を書こうと思います!
仕事のことなどでモヤモヤしてしまうことの多い期間だったのですが、美術鑑賞など趣味の時間のおかげで何とか折れずに進めました。

5月からはもっとイキイキと生活できるようにしたいです!(noteの更新頻度もあげたい)

1月

ゴッホと静物画 伝統から革新へ @SOMPO美術館

2024年初鑑賞はゴッホでした!
以前記事にもしましたが、大好きなゴッホの作品を一度に沢山みることができ、さらにその試行錯誤の過程を感じることができてとても満足感のある展示でした。年末年始にゴッホ関連の映画や小説を読んでいたのである程度人物像が頭の中にあったのですが、実際の作品たちが一番ゴッホという人物を教えてくれるものだと感じました。

黄の同系色でぼてぼてと厚みのある質感で描かれた「ひまわり」、黄の補色で流れおちるような花びらが描かれた「アイリス」、展示のハイライトでもあるこれら2つの名画からは画家独特の色づかいとタッチの凄みをひしひしと感じました。

孤独の中で、か弱く強く、そして美しく灯る光。
ゴッホが本格的に画業に取り組み始めたのが20代後半というのは、少し勇気をくれる気がします。
会社に行って帰る日々が繰り返される中で、自分の本当にやりたいことを見つめ直すいい機会にもなりました。ただ、そこを考え始めると現状に対するモヤモヤが浮かんできちゃうんですよね…。このモヤモヤをエネルギーに変えられたらいいんだけど。

SOMPO美術館の入り口


私たちのエコロジー 地球という惑星を生きるために @森美術館

たまたま六本木に行く機会があり、せっかくならばと立ち寄った森美術館。
展示内容というよりかは美術館に興味があり訪れました。
高層階から東京の街を見渡せる美術館。
景色はステキだけど、モデル風の外国人にヤな感じの視線を送られて六本木怖いようってなっちゃっいました。

あぁ、おかしな世の中。
「環境保護」を目的として、芸術作品を壊す人もいれば、芸術作品を創る人もいる…
これも思想・手段の多様性?
どちらにも違和を感じるところはあるんだけど、倫理的にはもちろん後者の方が受け入れやすい。インパクト?インプレッション?が大きいのは前者だろうな。
世の中アピール活動にばかり躍起になって実質的なものが後回しになってないか?と思うことは往々にしてあるけど、きっと自分にも当てはまることだから日々気をつけていたいな。

ところで「環境保護」に対して最も効果的な方法ってなんだろう?
年々厳しくなる暑さを身に感じてさえも自分の小さな生活行動とは結びつきづらいこともあるし、個人個人の意識に呼びかける以上に社会の仕組みを整える方が有効だろうか。
だから社会を動かせる「強い」人に向けてきちっと訴えかければいいじゃないかと思ったけど、個人の集まりこそが社会であり誰もが社会を動かせる可能性はあるんだから、結局個人個人の意識に届けることは重要なんだと思う。(これは一般市民の戯言?社会の裏側で起きる大きなことは我々にはどうしようもないのかなぁ。)

そんなとりとめもない考えをぐるぐると巡らせつつ…
こういう展示は、個人が日常生活の中では知り得ない地球上のどこかで起きていることを「知る」「感じる」そこから「考える」きっかけになるなと思いました。 
それに、現代アートらしい表現の多様性は…うん、面白いですたぶん。

森美術館の入り口


CHALKAK ASIAN PHOTOGRAPHY @PARCO MUSEUM TOKYO

珍しく人と一緒に見に行った写真作品の展示会。
アジア人アーティストの作品が集まってました。

商業施設の中のギャラリーだし喋りやすい雰囲気だったのですが、普段作品を見てその場で何か感想を言おうという外向きの意識はあんまりなかったから新鮮でした。(全然大した感想は言えないんだけど)
たまにはこういう見方も刺激になっていいなと思う一方、外向きの意識に持っていかれて作品鑑賞自体をじっくり味わうことはあまりできなかったかもです…。

背景が綺麗に分割されてる木の写真が印象に残りました。
視覚的に好きな作品。自分もこういう写真を撮りたいな。

渋谷パルコ内のギャラリー


2月

村居正之の世界 ー歴史を刻む悠久の青ー @郷さくら美術館

本当に素晴らしくて、以前別の記事でも熱弁しました。なので、ここでは多くは語りません!
その場の空気感まで伝わるような繊細な質感で、描かれた世界に吸い込まれるような体験ができました…!
大満足の鑑賞体験。
素敵な画家の方を知れてよかったです!

この一角、吸い込まれそうだった。


マリー・ローランサン ー時代を映す目 @ARTIZON MUSEUM

気になっていたアーティゾン美術館。
初めて訪れましたが、この美術館自体が5つ星!
全体的に洗練されていながらコレクションも充実していて素晴らしい美術館でした。
都心だけど駅から少し離れているからか、休日でもそこまで混み合わずゆったり鑑賞できたのも良かったです。
この美術館を創設したブリヂストンを好きになっちゃいましたね~

美術館自体もさることながら、
「マリー・ローランサン展」もやはり良かったです!
20世紀フランス、激動の時代に活躍していた女性画家です。
最初に自画像が2枚ほど展示されていましたが、初期と後期のものを比べると時を経て独自のスタイルを作り上げたんだなということがはっきりわかります。その間にいろんな人生の変動があったのを展示全体を通して知り、後からこの2枚の自画像を見返すとじーんときました。

左が1904年、右が1927年の自画像

初期の自画像の方は、写実的でスタイルは定まっていなくてもメイクの描き方など節々に女性ならではの気配を感じます。
後期の方は、パッと見てマリー・ローランサンの絵だとわかる、スタイルが確立されたあとの作品です。
明るさと暗さが同居するパステルカラー、大胆だけどやわらかい塗り、キュビズムがちらつく形の分割が印象的なスタイルです。
表情の描き方や柔和な雰囲気は、どことなくいわさきちひろさんの絵とも似てるなぁと思いました。

本展覧会では彼女の描いた様々なジャンルの作品のほか、ピカソをはじめとする同時代の画家の作品も多数展示されていました。
そんな中、終始気になったのはマリー・ローランサンの目の描き方ですね。
サブタイトルに「時代を映す目」とありますが、描かれる目がとても印象的なんです!
基本ハイライトのない黒のベタ塗りでシンプルな描き方なのですが、犬だけは目に光が宿っていたり、画面で一人だけ目の色が違う女性がいたり…いろいろと意図を探ってしまいます。
憂いを秘めた虚ろなようで深く強いまなざし、大変動の時代を生きた彼女の人生観が現れているのではないかなと感じました。

1人の魅力的な画家について深く知れるいい展示会でした。

アーティゾン美術館の入り口


3月

「春よ来い」 @長谷川町子美術館

サザエさんでおなじみの長谷川町子さんは美術収集家でもあり、彼女が創設した美術館にはそのコレクションが展示されています。

国民に愛される作品を生み出した長谷川町子さんの審美眼で選ばれた作品たちは、やはり私たちにも響くものが多いのではないかなと思います。
なんというか、心地いいものしかないコレクションって感じ。
美術館自体こじんまりとはしていますが、吹き抜けで上階が地下階を囲むように一周できる2層構造となっていて、こだわりを感じます。
外観も赤レンガっぽくてかわいくて素敵!
(ちなみに、今回が2回目の来訪ですっかりこの美術館のファンです。)

今回の展示「春よ来い」では、地下階には晩冬の雪が残る景色が集まっていて、上階に上がると梅や桜など花盛りの景色が輪のように並んでいます。どれも心地よい絵たち。
地中で春を待ちわびたのちに階段を昇ると春が訪れる…というような構造で、展示作品の並びにも工夫を感じました!

派手さはないけど「親しみやすさ」と「心地よさ」のセンスが日本人にマッチしている美術館だなと思っていて、個人的にはかなり推してます!

併設の記念館も、サザエさんを見たことある人…つまり日本人の大半におもしろポイントがあるはずなのでオススメです。(というか、記念館メインで訪れる人の方が多い?)
例えば、カフェで整理番号の代わりに「サザエさーん」とか「ワカメちゃーん」とか呼ばれます。こういうクスっとできるポイントがちりばめられてるのがいいんですよね〜
ついでに言うと、立地もよくてですね…!(早口)
世田谷区の住宅街なんですが、落ち着いた普通の町なのにどこか垢抜けた…いや、垢抜けてないのにどこか惹かれる…そこは曖昧なんですがとにかく雰囲気が個人的に好きな町なんです!!
町に溶け込み地域に愛される長谷川町子美術館、これからも定期的に通いたいお気に入りの場所です!!!

このとき記念館では、ワカメちゃんの企画展がありました。


木村伊兵衛 写真に生きる @東京都写真美術館

写真を撮る方なら木村伊兵衛さんの名前は聞いたことあるかもしれません。
日本の写真界では登竜門的な賞となっている木村伊兵衛賞のあの方です!
私は名前だけ知っていたのですが、今回の展示でどんな写真を撮る方なのかよく知ることができました。

人を写した作品からはその場・その人の空気感が伝わってきます。
パリのドアノーを連想してしまう、写真家の市井の人々への深いまなざしを感じました。(実際にドアノーとは交流があったようです。)

スナップ写真の作品って、通り過ぎるとそのイメージがすぐに雑踏に紛れて消えてしまうことが多いのですが、記憶に残る作品だらけですごいなと思いました。
作られていない一瞬の場面を切り取っているものだけど、その一瞬を決して場当たり的な要素だけでは撮っていないんですよね。
特に印象深かったのは、ウィーンで撮影された「地下の酒蔵」という作品。
ストーリーを伝える構図の巧みさが際立っていました。

自分も趣味で写真を撮るのでこういった作品(街と人の風景)を撮ってみたいなぁと憧れはあるのですが、現代社会だと気軽に街の人々にカメラを向けるのは難しいなぁと思います…。

東京都写真美術館の地下階にて


4月

モダン・タイムス・イン・パリ1925 @ポーラ美術館

4月の年度始まりにいきなり有給を使って、平日箱根旅行という贅沢をかましてきました…!
お目当ては、ポーラ美術館。
月曜の朝イチに行ったので人もまばらでした。(人混み苦手なのでこれは大事なポイント!)
そして、その日は小雨で霧が濃く、なんとも幻想的な雰囲気…入館前から、もうずっとワクワクしていました。

こんな景色、ワクワクが止まるはずないじゃん…!

モダン・タイムス・イン・パリでは、産業革命の時代からのアートの変遷を流れるように鑑賞できました。

最初の方にモネの描いた機関車の絵が展示されていて、モネもこういう画題を描くんだと印象的でした。
この展覧会の始まりを飾るにふさわしい、出発の汽笛が聞こえてくるような絵。お気に入りで、ポストカードを今もベッドに飾っています!

その後も数々の工業的な要素を含むような作品達が並んでいたのですが、特に香水瓶の整列には魅了されました!ルネ・ラリックのデザインはほんとに素晴らしいです…!

段々と時代も進み、最後は現代的なSFっぽい機械系アートが展示されていましたが、これらも壮観でした。
テクノロジーの進化とともにアートにおける表現も拡大しているんだなぁと感じました。

もちろんCGじゃなく、実際に展示されてます…!

企画展にすっかり満足した後にも、まだまだ楽しみは残っていました…!
名画揃いの常設展に、センスのいいアイテムがずらっと並ぶミュージアムショップ、外には幻想的な霧世界を探索できる遊歩道…。
いや〜〜夢のような時間でした…!

(企画展以外はあっさり書き終わろうと思ったけど、これだけは書き残しておきたい…常設展のピカソの青の時代の作品!初めて見ましたがすっごく素敵でした。)


モヤモヤがしばらく続いていた時期だったので、久しぶりに特大満足感を得られて心を回復できました。
時々仕事を休んでここに通いたいです笑

米津玄師の「地球儀」を聴きながら霧の遊歩道を彷徨うの、控えめにいって最高。


法然と極楽浄土 @東京国立博物館

美術展ではないですが、珍しく日本の文化にも触れてきました。

法然は夢の中に現れた先生のお告げに従って、「南無阿弥陀仏」をひたすら唱える専修念仏を布教するようになったそうです。
その夢の中の場面を描いた絵巻は印象に残ってます。

元々仏教自体に特別興味があるわけではなかったですが、すごく大きな曼荼羅の国宝や、とても繊細に螺髪が彫られている仏像、髪の毛で編まれている織物など視覚的にも楽しさがあって良かったです。知らないことが沢山あって新鮮でした。

動物と仏像


マティス 自由なフォルム @国立新美術館

昨年の夏頃にもマティスの展覧会に訪れたので、懐かしい感じがありました。
前回訪れた展覧会ではマティスの「色」に焦点を当てていましたが、今回は「フォルム」なんですね。
色と形どっちをとっても特徴的、色も形も自在に操れるのがマティス…ということでしょうか。

特に、切り絵作品を見てると、シンプルな色・形なのにモチーフの動的イメージが浮かび上がってくるようで、本質を捉えて単純な表現に落としこむ力が卓越してるんだなぁと思いました。
病気で身体が思うように動かなくても、「切り絵ならアシスタントの力を借りて作れる!」っていう創作意欲もすごいです。

微妙に色を使い分けている…!


野草:いま、ここで生きてる @横浜美術館

ここはデート?で行ってみました。
展示概要をみてなかなか挑戦的な行き先だろうなとは予感してましたが…まぁ的中しました笑


おわりに

1〜4月、現状と将来のことに思い悩みながらも美術展などを通してリフレッシュする時間を意識的に持ち、最近は心の状態も良くなってきました!
これからは頭の中でグルグルする時間を減らして、勇気を持ってパッと行動するようにしたいです。
ときどき美術展から活力を得ながら、イキイキと歩みを進めていこうと思います💪

noteの方も更新を再開しようと思うので、今後ともよろしくお願いいたします!

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