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ペットショップについて思うこと

私たちは(ごく小規模ですが)ハリネズミのブリーダー業もやっています。ブリーダーにはペットショップなどに卸すタイプ直接販売するタイプの2種類があって、ハリんちは後者です。

今回は前者に関連した、ペットショップについて思うことを書いていきます。

あるペットショップで見かけた3匹のハリネズミ


ハリんちが直接販売するタイプのブリーダーをしているのは、ハリちゃんがペットショップでどのような扱いを受けるかわからないことが大きな理由です。

大阪市にはペットコーナーが併設されたホームセンターがちらほらあります。ハリネズミがいるお店、いないお店はまちまちですが、いるお店の場合、競合でもありますのでいろいろと観察してしまいます。

私の自宅近所にも大手資本の入った立派なホームセンターがあり、ペットコーナーが併設されています。ある日のお昼過ぎに訪ねた際、3匹いたので早速観察をしたのですが、飼育環境がとてもよくありません

うち2匹は、
・幅60cm、上部はワイヤー、下部はプラトレイのケージ
・(おそらく)ヒノキ系の床材
・(ハムスター用の)25cm径の回し車
・給水器

だけが設置されていて、回し車はうんちまみれのまま。

もう1匹は
・回し車を設置できない幅60cmの透明ケージ(ルーミィ60ベーシック)
・(おそらく)ヒノキ系の床材
・のぞいて安心ハウス(マルカン)
・給水器

だけ。もしかしたら夜回し車を設置してくれるのかもしれませんが、別の2匹のうんちまみれのままの回し車を見る限り、ちょっと怪しいと思いました。

月齢は4カ月、5カ月、6カ月の子たちで、値段は25,000~29,000円程度。

ハリ飼いさん、6カ月の子に60cmのケージ&25cm径の回し車というのはどうでしょう?
私の感覚では、快適にはほど遠いように思います。

お昼過ぎですので当然ハリちゃんたちは睡眠中。ケージの隅(回し車の下)、あるいはハウスの中で隠れていたので詳細な状態は確認できませんでしたが、とても複雑な思いを抱きました。

特に月齢6カ月の子。いつからこの暮らしをしているのだろうと想像し、胸が痛みました。通常ブリーダーからペットショップなどに卸される時期は1カ月半~2カ月の頃ですから、ストレートに考えて4カ月ぐらいはこうした環境で飼育されてきたはずです。
もしかしたら、売れずにショップを転々としてきた子なのかもしれない。
もしこの先もお迎え先が決まらなかったら、この子はどうなってしまうんだろう…。

余裕があればすぐにでも3匹とも引き取りたい、引き取るべきなのではないかと自問しましたが、残念ながら今私たちのところにそこまでの余裕はなく、後味の悪い思いでそのコーナーを後にせざるを得ませんでした。

療法食コーナーで抱いた複雑な感情

3匹のハリネズミがいた一画を離れ、ペット関連の棚を一通り観察。ハリネズミの飼育用品は値段もチェックしました(すべてうちより高値で販売されていました)。
観察中に、ロイヤルカナン(ROYAL CANIN)のコーナーがあるのに気付きました。

ロイヤルカナン、ご存じでしょうか。ハリ飼いのみならず、ペットを飼っていて動物病院のお世話になった方であれば、一度は獣医さんからこの会社のサンプルを処方されたことがあるのではないかと思います。ハリネズミの場合、ハリネズミ専用のフードはないものの、代替品として子猫用のものを処方あるいは推薦されます。

そうした背景から、昨年ハリんちでもロイヤルカナンの療法食やフードのうち、ハリネズミにも使えるいくつかの商品を取り扱いたいと思い、卸業者の方に相談しました。しかし、ロイヤルカナン社の商品の取り扱いには、同社の審査があり、規模が小さいお店とは取引をしていただけないということを知りました。

そう、このホームセンターはペットショップは併設とはいえ規模は大きいため、ロイヤルカナンの商品の取り扱いができているのです。

私はこう思いました。
あんなにひどい飼育環境のここはOKで、清潔で快適な環境で愛情を持って飼育している私たちがNGなのか。
とても複雑な気持ちになりました。

ペットショップの環境改善ができないか

もちろん、すべてのペットショップがこのような環境ではないはずです。清潔で快適にお迎えを待つ環境の子もいるでしょう。残念ながら私はこれまでそういうお店に巡り会ったことはないのですが、きっとあるはずです。

これまで、清潔な環境という意味では数店ありましたが、ハリんちが考える快適な環境
・暗い場所で安心して活動できる
・幅70cm以上のケージ
・身を隠せるハウス
・30cm径程度の大きな回し車
・ハリちゃんが自身で清潔を維持するための砂場
・給水器

で展示しているお店はありませんでした。

また、ペットショップに来る子たちは、必ずしもブリーダーが卸した子とは限らない点も注意が必要だと思っています。動物取扱業免許を持たない一般の方から譲渡されるケース、海外(特にタイ)からドサッと卸されるケースもあります。

いちばん怖いのは近親交配。体が弱くなるのはもちろん、ハリネズミがかかる重篤な病気の一因にもなり得ます。ですが、見てわかるものではありませんし、お迎え時に取り交わす小動物販売契約書からもそれを知ることはほぼ不可能です。

このようなことが起こりえるため、ハリんちでは家系図を作成・公開して近親を避ける努力をしていますが、最初に外部からお迎えした子たちは血縁関係が不明ですし、これからも外部から(血縁関係が不明な)新しい血縁を取り入れていかなくてはならず、完ぺきにはできません

販売にあたっては、事前に飼育環境を確認させていただき、お迎えまで快適な環境で過ごしてもらって直接販売をする形にすることで、ハリちゃんが極力健やかな心身状態で引き渡せるよう努めています。

とはいえ、私たちがやっているのはとてもとても小さな規模。本来、ペットショップ・ブリーダー直販を問わず、どこからお迎えしても健康でわんぱくなハリちゃんであってほしいと心から思っています。

そのために何ができるのか…。
難題です。

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