「直感と論理をつなぐ思考法」
今日は、「直感と論理をつなぐ思考法」という本について。
まず本書の「主張」や「構成」の説明後、「私の考察、感想」を書く。
本書の主張
まず、世の中の流れとして「データ、ロジックから論理的に考えた」アイデアが力を失っている。
例えば、VUCAという言葉に代表されるように、そもそもデータから予測しても当たらないことが増えてきている。
また、個人においても、データに基づいたアイデアは「自分の内から湧いてくるもの」を原動力にしていない為に、いつの間にか閉塞感やモヤモヤが溜まってしまうのである。
では、打開策はあるか。それは「妄想」である。妄想を駆動力にできる人・組織は、やはり強いのである。
もちろん、ただの妄想ではダメで、
妄想からスタートして、単なる妄想で終わらせない為の思考法、「ビジョン思考」について説明していく。
構成
序章から始まり、1〜5章、そして終章という構成である。
では、どういう展開か。
まず、序章では、「ビジョン思考」がこれまでの思考法と比べ、どう違うのかについて説明している。
これまでの思考法は3つあり、それぞれ「カイゼン思考」「戦略思考」「デザイン思考」と呼ぶ。
そこに「ビジョン思考」も含めて計4つの思考法を対比させながら、「ビジョン思考」の輪郭や境界線を浮かび上がらせている。
そして、1章ではビジョン思考に必要な「2つの前提」と「4つのステップ」に言及する。
2つの前提とは、「ビジョン思考のスペース」と「ビジョン思考のメソッド」である。
「ビジョン思考のスペース」とは、空間的な余白だけでなく時間的な余白の事も指している。
要するに、ビジョン思考をする為の時間なり場所は自分で確保せよ、という事。
では、「ビジョン思考のメソッド」とは。
まず、思考法を身につけるためには継続出来なければいけない。習慣が思考法を身につけさせるという事である。そして習慣にするには、個人の資質やスキルによって左右されない方法でないといけない、という事である。
(しかしこれに関しては、読者からすれば関係のない話ではないか。つまりメソッドを考える側の気をつけるべき事項ではないか。)
そして、4つのステップは「妄想」「知覚」「組替」「表現」である。それらを2〜5章で説明している。
2章では「妄想」について。
妄想、つまり「ビジョンドリブン」な思考は、今までの「イシュードリブン」な思考法に取って代わろうとしている。
理由は様々であるが、やはり「イシュードリブン」では人々が疲弊してしまう事が原因の1つであろう。
そして、いかに「妄想」を作り、膨らませるか、具体策を示している。
では、3章。
ここでは「妄想」を単なる妄想で終わらせない為に必要なことを説明している。
それは、「現実と妄想とのギャップの認知」である。この章では主に、現実の認知、つまり「知覚力」を鍛える方法を説く。
「外界の状況を感じ取り、その中から自分固有の意味を作り出す」という事である。
そして4章。
妄想を作り育てる事は大切だ、という事はわかった。とはいえ、「妄想」がつまらない、という人も多いのではないか。
しかし、それで良い。「なま」の妄想に加工を施していけばいいのだ。
ここでは、加工することを「組替」と呼び、具体策を示す。
そして5章では、「表現」について。
ここまでは、「主観的な妄想を組替えながら磨き上げる」という説明であった。
この章では、いかに早く失敗し反復出来るかが重要と説く。その表現方法の具体的な仕方が示されている。
ざっくりとした流れは以上である。
考察
空虚な「好きなことをして生きる」に対して、中身を与えてくれる本だった。
「好きなことをして生きる」といった言葉をよく耳にするようになった。それはとても理想的に聞こえるし、実際に「好きなことをして」楽しそうに生きている人がいる。
では、実際のところはどうか。具体的にどうすれば良いかも分からず、「好きなことをして生きる」人たちはお金があるから遊んで暮らしているんだ、とか、もともと才能があるから出来るけど自分には出来ない、と思う事が多いのではないか。
そんな「空虚な理想」に対して具体的な方法を与えてくれる本。
つまり、「好きなことをして生きる」とは「遊んで楽に生きる」事とは違うという事。
終章にある、以下の文がまさにこれを示している。
おそらく結果が出てくるまでは、長きにわたる停滞期が待っているだろう。ただし、そこをくぐり抜けるまで耐え続けた者には、爆発的な成長という恩恵が与えられるのが、いまの時代なのだ。
その停滞期を耐える為には「イシュードリブン」ではなく、
「ビジョンドリブン」、つまり「妄想」しながらワクワクするべきなのだ。
停滞期を乗り切る方法が、詳細に、そして数多く記されている。
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