谷底
僕が見つめるは、谷底。
じっと目を凝らすけど、あまりに深くて底が見えない。
だから、みんな捨てていく。
いらなくなった物、見たくない物、大嫌いな人。
それをぼんやり見る。
急に谷底から変な音が聞こえてきた。
何かの叫び声のようで、誰かのお腹の音のようで。
びっくりして、谷底に目をやる。
何かが蠢いている。
正体は分からない。
だけど、とっても良くないもの。
きっと、それは化け物。
僕は逃げ出した。
その間も、人々は谷底に向かって、化け物に向かって、いろんなものを捨てていく。
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