見出し画像

湯呑

 湯呑に温かいお茶を入れる。

 何物にも邪魔されない、贅沢な時間だ。

 気持ちは落ち着いていく。
 静かになっていく。

 心が決まっていく。
 これで、良いと。

 お茶を飲み終えると、僕は動き出す。

 だけど、もう一杯。
 僕は台所へ向かう。

 震える手が、湯呑を落とした。

 砕けた湯飲み。
 言い訳を失ってしまった。

 泣き笑いながら、僕は覚悟を決める。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?