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鮮明

 あそこはどこだったのだろう。
 
 僕の中に残り続ける鮮明な記憶、その景色。
 
 路地裏の込み入った場所だった。
 錆びた鉄筋が印象的だった。
 
 そこで僕はあまりに色鮮やかな飴細工をもらった。
 それは金魚だった。
 
 暗い路地裏。
 錆色の建物。
 真っ赤な金魚。
 
 僕の中に鮮明にこびりつくそれは、地図にない。
 
 どこにも存在しないのだ。

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