巣
公園の木の上。
見たことのない鳥が巣を作っている。
鳥は黒紫で、目がやたら大きい。
白目が見えていて、
それが妙に目立つものだから、
気味が悪い。
その鳥は先ほどからせっせと、巣に何かを運んでいる。
くわえているものは見えない。
確かに何かを挟んでいるが、それが何かわからない。
僕は首を傾げながら、それを観察する。
しばらくそうしただろう。
その鳥は突然、巣を蹴りだした。
そして、それを地面に落とす。
雛鳥がいるのではないか。
僕は思わず、巣の落ちた方へ走る。
地面に落ちたそこには卵が散らばっていた。
どれも砕け散っている。
そして、その卵の種類は多種多様だった。
やがて、公園は黒紫の鳥でいっぱいになった。
他の鳥の姿は、もう、しばらく見ていない。
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