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夜道

 夜道には何かがいる。
 だから、出歩かない方がいい。

 といっても、必要に迫られることはある。

 僕は薬を持って急ぎ足。
 家に着くまであと少し。

 突然、左腕を引かれる。
 大きな舌が巻き付いていた。

 そちらは路地裏、巨大な口。
 よだれを垂らし、歯をカチカチ言わせている。

 やはり、夜道は危ないのだ。

 終わりを悟った僕。
 風が、強く吹いた。

 怪物の悲鳴。
 切れた舌。

 僕は慌てて駆け出す。

 後ろから声が聞こえる。

 ――夜道は危ないからね。

 優しい声だった。

 夜道には何かがいる。
 怖い何かもいるが、優しい何かもいた。

 だけど、やっぱり出歩かない方がいいとは思う。

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