順路
僕は夜のおつかいに出かける。
――順路通りに行けばいい。
そう言われ、歩き出した。
確かに矢印があった。
順路通りに行った。
薄暗い路地裏を抜けた先。
市場があった。
目当ての店の看板に従う。
順路通りに行った。
メモに書かれた物を買う。
家に向かって引き返す。
矢印に従って、順路通りに。
だが、先ほどの道とは違う道。
思わず振り返ると、
矢印が僕を嘲笑うかのようにひっくり返った。
正しい順路は元からなかった。
僕は夜を彷徨う。
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